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【第二章 第四話  村人たちの反応と力の習熟】

誠人が村の外れを歩き回り、力を試した後、村人たちが誠人の周りに少しずつ集まってくる。


「……本当に、何があったんだ?」


「昨夜の影、どうして消えたんだ?」


人々の視線は誠人に集中している。


誠人自身は手を下ろし、呼吸を整えた。


「……昨日の出来事は、俺が……やったことなんだ」


小さな子供たちは目を丸くし、恐る恐る近づいてくる。


「すごい……」


その言葉に、誠人は思った。


自分でもすごいことだと思っていたが、村人からすれば神のように見えるらしい。


リルは肩に乗り、誠人の耳元で小さく囁く。


「気を抜いちゃダメよ。油断して力を過信しすぎると……あなたが暴走するかもしれない」


誠人は頷き、心の中で力を整える。


掌に残る熱を静め、波動を最小限に抑えたまま、平然と振舞う。


彼の中では、力を制御することが今の第一課題だ。


ここは戦場ではない。ただ力を振るうことだけになってしまったら今の日常が崩れてしまう。


村の長老が、ゆっくりと歩み寄る。

「……若者よ、昨夜のこと、感謝する。村が壊されずに済んだ」


誠人は軽く頭を下げた。

「いや、俺一人の力だけじゃなく、リルの助けもあってです」


リルは軽く手を振る。

「そんなことないわよ。あなたが動いて初めて、私の魔法も意味を持つんだから」


長老は眉をひそめ、誠人の肩を軽く叩いた。

「だが、気をつけるのだぞ。力を持つ者には、時に試練が訪れるものだ」


その言葉に力を過信した者ほど無惨に敗れていった前世の記憶が蘇る。


誠人は、その力をコントロールするということを改めて胸に抱くのだった。


リルは誠人の背後から、軽やかに舞い上がった。

「よし、じゃあ次は少し応用編よ。村周辺の小さな雑魚なら、手を使わず、意識だけで威嚇できるはず」


誠人は頷き、森の方に目を向ける。


小さな影がちらつく。


昨夜の黒い影より弱い存在であることは一目で分かる。


掌を広げず、意識だけで力を送る。


すると影は身をすくめ、逃げ惑う様子もなく、ただ静かに消えていった。


威圧だけで敵が排除される感覚は、記憶の中にある戦場での経験とはまた違った感覚である。


村を守りながら、力の微細な調整を学べるのだ。


誠人は小さく息を吐き、リルを見る。

「……なるほど、力って、ただ出すだけじゃなく、抑えることも大事なんだな」


「そう、それが制御よ。暴走させれば大惨事、抑え過ぎれば意味がない。ちょうどいいバランスを目指すのよ」


村人たちは遠巻きに見守る。


恐怖と敬意が混ざった視線だ。


誠人は、村人たちに向けて軽く手を振った。

「安心してくれ。村を守るために、この力を使う」


リルは肩に降り、誇らしげに微笑む。

「よし、これで今日の訓練はおしまい。でも、力は日々変化するから、感覚を忘れないで」


誠人は頷き、視線を遠くの森に向けた。

「……前世の俺は、ここまで考えずに戦っていたな」


リルは小さく笑い、肩を叩いた。

「だからこそ、今のあなたは違う。前世の力と転生後の力を融合させ、次の戦いに備えるのよ」


村の小道を歩きながら、

誠人の胸の奥で力が静かにざわめき、未知なる未来への期待が膨らんでいく。


小さな事件を通じて、彼は自分の力の本質と向き合い、村を守る責任を実感したのだった。


こうして、誠人とリルの新たな日常は始まった。


力の習熟と制御、そして村の安全のための小さな戦い。


それらすべてが、やがて訪れる大きな試練への布石となる。

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