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【第二章 第三話 力の目覚め ― 予想を超えた力】

夜が明けると、

村はいつも通りの穏やかな空気を取り戻したかのように見えた。


だが、誠人の胸中は静かではない。


昨夜、村の広場で起きた出来事を反芻するたび、

全身に流れる力の感覚が鮮明に蘇る。


手をかざすだけで地面の振動を感じ、

指先で微細な空気の流れを捉えることができる。


リルは誠人の肩に立ち、小さく笑った。


「ふふ、昨日の光の奔流、見ていて楽しかったわ。

最初であの程度なら、魔法の制御がまだ未熟なのを考慮しても、

結構いい感じだったんじゃない?」


誠人は肩をすくめ、少し苦笑した。


「いや、でも……

俺、本当にここまでの力を持っていたのか?」


リルは軽く手を翳し、

空間をかき混ぜるようにして魔素の流れを視覚化した。


「見て、この流れ。

転生後に蓄えた力、長い間封印していた分だけ濃縮されていて……

単純計算でも村の周囲にいる魔物や獣の類は瞬時に排除できるレベルよ」


誠人の目の前には、魔素の光がゆらめき、

掌から放たれる波動が可視化されているかのように広がった。


まるで力そのものが言葉を持ち、誠人に語りかけてくるようだ。


「……マジか。

つまり、ここらの雑魚程度なら何の問題もなく潰せるってことか」


リルは軽く頷く。


「そうよ。昨日の山羊や森の影の件はあなたの力の片鱗に過ぎない。

もっと本気を出せば、この村周辺の脅威は一掃できるレベルよ。」


誠人は自分の掌を見つめ、意識を集中させる。


先ほどの光の感覚を思い出すたび、胸の奥が熱くなる。


制御はまだ完璧ではないが、

その力は確かに自分の中にあると実感できた。


「なら……ちょっと試してみるか」


誠人は村の外れへ向かい、小さな丘の上に立った。


そこから森へと続く小道には、

昨夜の黒い影の残滓がわずかに漂っている。


彼が手を振りかざすと、空間が微かに震え、

掌から放たれる光の波動が森の奥まで広がる。


すると、影はたちまち形を崩し、霧のように消え去った。


村人たちの家々や木々には一切の被害はなく、

音も最小限に抑えられている。


リルは誇らしげに誠人を見上げた。


「ほらね?この程度の小さな脅威は何も問題ないでしょう?」


誠人は頷き、少し笑った。


「……でも、俺、本当にこれをどう制御すればいいんだ?」


リルはフフッと笑い、真剣な顔になる。


「制御を覚えるには経験を重ねるしかないわ。

まずは少しずつ力の感覚に慣れていく、雑魚相手なら実戦形式が一番ね」


誠人は深呼吸をして、意識を集中させる。


手に力を込めると身体の隅々までエネルギーが巡る感覚がする。


少しだが自分の意思で力を使える実感がある。


雑魚程度の魔物や野生動物は誠人が意識を向けるだけで威圧され逃げ出してしまう。


その後、村の周囲を巡回したが昨夜のような不安な影は見当たらなかった。


力の凄さに、自分でも驚かされるほどだった。


リルは誠人の頬に手を当て、柔らかく微笑んだ。


「あなた、本当に強くなってるわね。

転生したことで力をここまで貯め込むなんて……

流石としか言いようがないわ……」


誠人は少し照れくさそうに頭を掻いた。


「でも、これだけ強くなってても、魔王にはまだ足りないんだろうな」


リルは小さく笑い、風に髪を揺らした。


「それはこれからのお楽しみ。まずはこの力を完全に掌握する。

そうすれば、次に何が来ても、あなたは必ず立ち向かえる」


誠人は拳を握りしめ、目を細めた。


「……よし、まずはここからだな」


村の小道を歩きながら、誠人の胸の奥で力が静かにざわめく。


前世の記憶の片鱗、転生後にため込んだ力、そして未知なる未来――

すべてが一つに絡まり、彼の覚悟をさらに固めていった。


小さな異変に立ち向かい、力を試す日々。


これが、誠人とリルの新たな物語の始まりだった。

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