『破壊者』が辛そうだ
「ダンジョンに潜ってから3時間以上経過していますが、このダンジョンに潜ったのが日の出後すぐでしたので、まだお昼には時間がありますが、軽く何か食べて休憩しましょうか」
途中で殿をかわった『破壊者』に気を使って遠藤さんが休憩を申し出てきた。
特に何も言わないが、『破壊者』はだいぶ疲労が顔に出ているように見えた。
それもそのはず、ひとつ前の階層で常時スキルを使い続けていたのでこの階層では休むはずであったのだが、かなりのハイペースで攻略してきた影響なのか、5階層で終わらない戦いをしていたからなのか注意力が散漫になっていた田中さんと遠藤さんの代わりに殿を務めるために5階層と6階層で連続して2時間もスキルを使い続けていれば疲労はかなりのものとなっていた。
「何かおやつになりそうなものはありますか?特に甘いものとか」
相変わらず戦闘では役に立たないのはもとより、何もさせてもらえないので、こんな時くらいはとDr.ヘーゲルシュタインにおねだりをしてみた。
「そうだね。甘いものか」
ソリか降りていきなりブリキの騎士が乗っている馬の形をした物の通常の馬なら肛門に当たる部分に手を突っ込んで取り出したのは、白い紙に包まれたものだった。
「これは、砂糖と小麦粉と水を1対1対3で混ぜて沸騰するまで煮た後に冷ましたもので、私のおやつだけどこれでいい?」
そう言って袋を開けると、中には黒い細長いものが入っていた。
「砂糖って黒糖のこと?」
取り出した場所から出てきた物に若干ほほが引きつりながらも気になったことを聞いてみた
「黒糖?黒以外の砂糖があるの?」
「こっちには白い砂糖があるんだけど、説明が難しいな。たぶん雑味を取れば白くなるんじゃないのかな?」
「雑味をね」
自分で振った話題だとは言えよく知らない分野に対してそうそう答えられるわけもなく、適当に言ってしまったが、何かが引っ掛かったのかDr.ヘーゲルシュタインは包みを私に押し付けつと考え込み始めた。
「これ他の人に分けても?」
私一人で食べるのも忍びないので、Dr.ヘーゲルシュタインに聞くと手を振ってこたえてくれたので、包みをもって他の3人に配るためにその場を離れた。
田中さんと遠藤さんはこの階層の反省会を行い、『破壊者』は適当なところに腰を落ち着けてレーションを食べながら休憩をしていた。
「Dr.ヘーゲルシュタインにいただいたお菓子ですが食べますか?」
そう言って、3人に配ると田中さんと遠藤さんも反省会をやめて飲み物を取り出して本格的に休憩を始めた。
「田中さん首のミミズ腫れだいぶ良くなりましたね」
「自分では見えないからわからないけど、痛みもなくなって呼吸も楽になったからDr.ヘーゲルシュタインには感謝しかないわ。このういろうもどきもおいしいし」
田中さんの感想の通り、Dr.ヘーゲルシュタインが渡してきたお菓子はういろうに似た食べ物でなかなかにおいしかった。
「それにしても、『破壊者』がいたので助かってますが4人でこのダンジョンの攻略がだいぶきついのに元の3人だったらどうなっていたことやら」
「それに関しては、『聖域』たる安藤さんを頼りにしていた結果ですね。今となっては無謀すぎた思ってます。まさかこんなに難易度が高いダンジョンを放置しているとは」
そう言って遠藤さんはこちらに頭を下げてきた。
「頭を上げてください。確かに私の『カード顕現』なら人数のかさ増しは可能です。でもさすがに遠藤さんや『破壊者』みたいに私自身のダンジョンに対する経験が少ないので、いくら強い眷属を召喚で来ても使いこなせないのであれば置物と一緒ですからね。『破壊者』が私たちについてきてくれたのには感謝しかないです」
そう言って、『破壊者』に対して感謝の言葉を告げると、まだ疲れが残っているのか無表情ながらも手を振ってこたえてくれた。
その後、『破壊者』の回復具合を気にしながら休憩を続けた。
異世界とかで、技術的革命や農業的革命を起こす作品ありますが、現実はこの砂糖のようにあいまいな知識しかない人の方が大多数ですね。
そこから正解を導く天才がいるのも事実ですが、それはすでに天才よりも変態(誉め言葉)なのかもしません。




