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カード顕現~眷属だけが頼りです~  作者: えでぃ
1章 教育、講習そして契約
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契約書の解読は専門家に

「こちらが今回の研究に当たり支払われる報酬と研究結果の使用方法について書かれた契約書になります。確認をお願いします」


つつがなくダンジョン講習が終わり、無事全員『B級ライセンス』を獲得できた。

連続しての1週間の教育と講習で、疲れをとるために3日間の休みを取ることとなった。


そして今日、初めての仕事としてのL型ダンジョン攻略の日、私だけは会社の顧問弁護士と一緒にダンジョンウォーカー代表と名乗る元衆議院議員とダンジョンウォーカーの顧問弁護士と対面していた。

ダンジョンウォーカーの研究者とヨーロッパに拠点を持つ『研究者』の異名を持つ男が代表の『WDR』(世界ダンジョン研究会)との合同でスキル『カード顕現』の研究が行われることとなった。

そう、すでに決定された状態で、契約書を突き付けられている。


「報酬は円での支払いではないのですね?」


「はい、今回はダンジョンウォーカーが主体となって行われますが、初確認のスキルとなると何から手を付けていいのやらわかりませんから『研究者』からの指示により動くことになります。そのため資金のほうは『WDR』からになりますのでご了承ください」


契約書には


スキル研究機関は1ヶ月間

この研究期間で判明したスキルの詳細は公表される

『研究者』からの指示には命の危険がない限り従う

報酬は研究期間後に支払われる

研究期間の延長は双方の合意の元行われる

この研究期間後で判明したスキルの詳細の報告義務はない


と以上のことが難しい言葉で10ページに分かれて記載されていた。


「疑問としては、研究期間が終わったとに判明したことは報告しなくてもいいのですか?」


「はい、基本的にスキルは使いこなすことにより強化スキルになりその人専用のものとなりますが、希少スキルはそのものがその人専用に近いスキルと思われますので、同じ名前のスキルであっても使用方法に違いが出ることがあります。そこはそれぞれの切り札となりえる部分といえるのでそれを差し出せとは言えなので」


希少スキルと言われているだけに、双方が契約書のやり取りに慣れていないため確認作業に時間がかかっていると別の書類を投げてから、


「いい加減サインしないか。私だって暇なわけじゃないんだ。希少スキル持ちが現れたからとわざわざ出向いてみれば若造がでかい顔してからに」


貧乏ゆすりが増えてきていた元警視長官が突然暴言を吐いてきた。それに慌てた相手方の弁護士の静止も聞かずに続けて言い放った。


「そちらに拒否権なんてないんだからさっさとサインしろ」


投げられた書類を見ると、研究期間後にダンジョンウォーカーにて年間100日間の経過観察期間という名の奴隷契約を出してきた。

怒りよりもあきれてしまった私と顧問弁護士は顔を見合わせると、席を立った。


「この話は今回無かったことにしましょう。もしこの話を進めたいのであれば話の腰を折ることのない方を同伴させてください」


「おい、私をコケにしてもいいと思っているのかお前の会社なんてすぐにつぶせるんだぞ」


「やめてください。この交渉の場では『研究者』からの要請で録音してるんです。めったなことは言わないでください」


「そんなこと知ったことか」


言い争いを行っている2人を後目に部屋から出る。


「まさか、相手方が『研究者』をあそこまで甘く見ているとは思いもしなかったです」


「今回の話はあの方が渡りをつけたとのことでしたので、それを足掛かりに政界に戻るつもりだったのでしょうが、まさか『研究者』について何も知らないとは」


文字通り飛んで帰った『研究者』が日本を離れる少しの時間で書き上げた論文と、今回のダンジョンウォーカーとの契約の際の注意事項を書いてよこしてくれた。


新たなスキルを手に入れた者に興味を持っているために、邪魔な存在を排除にかかった感は否めないが、『研究者』のおかげで余計な苦労を背負い込むことを阻止できた。

ここまでひどい人は現実にはいないと思いたい。

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