モンスターいっぱい、頭はいっぱいいっぱいい
「それではダンジョン講習の最後の試験を行います。内容は、この『1-1名駅前ダンジョン』を攻略することです。現在10階層にボスを確認していますので倒すことで合格となります。本日の試験が終わると全員にB級ライセンスが発行されます。それでは最後まで気を抜かないように」
佐藤さんの話が終わると、渡辺さんが中心となり今日の試験の作戦会議を行う。
「まずは、各階層に出てくるモンスターの確認を行います」
取り出したのは、モンスターのイラストを描きこんだカードを取り出し、順番に並べ始めた。
「前回と同様に1階層に『グール』と『フライングレフト』が出てきます。2階層になると『フライングレフト』と獣型1種の『大鼠』が出てきます。『大鼠』は1mくらいの大きさのねずみです』
佐藤さんの娘の作品に感化されて、今日のためにわざわざ作ってきたらしいカードには、デフォルメされたかわいらしいキャラクターとなっていた。
「3階層になると幻獣種1種の『騙り沼』が出てきますが、水たまりと間違えて入ると、自力での脱出は難しいだけの存在なので今回は無理に討伐せず無視します。」
次に取り出したカードを3列目に並べると、カードには『弱点は火』や『触らない絶対』など書かれていた。
「4階層になると人型2種の『鼠人』が出てきます。これに関してはグールとそこまで強さは変わらないので問題ないでしょう。次に5階層ですが『鼠人』と合わせて幻獣種1種の『転がる岩』が出てきますが、これも壁に当たるまでただ転がるだけなので無視できる場合は無視します」
『転がる岩』のカードには自分を模したキャラクターが回転している岩をコミカルに避けるイラストになっていた。
「6階層には、魚型1種『トビウオ』が『騙り沼』と出てきます。『騙り沼』の横を通るときは『トビウオ』がダーツのように襲い掛かってきますので気を付けてください」
『トビウオ』のカードには社長とわかるキャラクターが抜いた刀と『トビウオ』の先端がぶつかり火花を散らしているイラストになっていた。
「7階層になると、虫型1種の『蝗害』と植物型1種の『広がる蔓』が同時に出てきます。どちらとも直接の攻撃はしてきませんが、『広がる蔓』は足を取られやすく成長速度があまりにも早いため、一度転んでしまうと無傷での救出が出来ません。『蝗害』は名前の通り、バッタの群生です。こちらのバッタと変わりはありませんが、もし誤って口に入れてしまった場合、高熱や湿疹、嘔吐や下痢に見舞われますので7階層に進出するときにマスクをつけます。それと『蝗害』に関しては、討伐せずに進みます。もし、討伐してしまった場合。『広がる蔓』によりダンジョンが塞がれて身動きが取れなくなってしまいその場で失格となりかねません」
『蝗害』のカードには飛蝗に飛び掛かられる田中さんのイラストが、『広がる蔓』には蔓に飲み込まれながら、ポーズを決めながら歯を光らせている東さんのイラストが描かれていた。
「8階層になると、獣型3種の『血濡れの猫』という2足歩行の猫が出てくるからここからが、本当の戦いになる」
『血濡れの猫』のカードにはなぜか前足が赤い毛子が顔を洗っている名前に似合わないイラストになっている。
「9階層には、人型5種の右手がない『隻腕騎士』が出てきます。これは1体しかいないそうなので、できるだけで会わないようにします」
9列目に置いた『隻腕騎士』のカードには、隻腕の鎧に抱きしめられうっとりした顔をで騎士を見上げる藤沢ちゃんのイラストが描かれている。
「最後のボスは、獣型5種の『大狗』が待ち構えています。大きさは3mで土佐犬に似ているといわれています」
最後に、私が土佐犬に踏まれているイラストが置かれた。
「この試験が失敗しても次があるんだから無理はしないように。試験官としてついてくる2人に助けを求めてたら失格らしいけど、いのちだいじにだからね」
命を大事にすように強調されたことに頷くと、なぜか落ち込んだ渡辺さんを社長と東さんが慰め始めて出発が遅れることとなった。
『隻腕騎士』はイギリスで初めて確認されたモンスターで、誰かが言い出したアーサー王伝説のベディヴィアと呼ばれていたのが定着してしまった。
かなり強いので5種に位置するのは他の事例から見てありえないことだが、階層で1体しか出ないため出会っても逃げればいいので、困ったことにはなっていない。




