ランクアップ
シン達はたらふく食べて、広場で寝てしまった。目覚めころはすでに夕方になっていた。
「冒険者登録するか?」
シンはケイに尋ねた。
「・・・・」
ケイは少し迷っているようだった。おそらく盗賊をやっていたためだろう。冒険者登録をして鑑定した場合、職業が盗賊になる可能性が高い。
「シンに任せる! われらのリーダはシンだからな」
ケイはまっすぐシンを見て答えた。
「わかった。まずはケイとオレだけで、いってみるか」
大きな町のギルドで登録するよりはギルド長が一人でやっているこの町で登録に行った方が、臨機応変に動くことができるかもしれない。シンはリスクを少しでも減らすため、ケイと二人で冒険者ギルドに向かった。
他のメンバーには先に宿屋に戻ってもらった。もはや夕方なので、この町でもう1泊する予定である。
「おや、また来たのかい」
カウンターの向こうに、あいかわらずギルド長が一人で座っている。
もう夕方だというのに、やはりほかの冒険者は一人も見当たらない。おそらく何時に来てもこんな感じなのだろう。
「このケイを冒険者登録してほしい。」
シンはギルド長に伝えた。
「1人だけかい? さっき渡すの忘れたけど。これはあんたの新しいギルドカードだよ」
シンがギルドカードを見ると、Eランクになっていた。
「依頼を受けたり、魔物を討伐したり知るとランクが上がるから、上がったときに新しいカードを渡すことになってるよ」
ギルド長は案外優しく説明してくれている。
「今回は討伐数が多かったから、飛び級だね!」
「途中で新しく加わったメンバーはどうなるんだ?」
シンはケイの顔を見ながらギルド長に尋ねた。
「ギルドカードは個人のものだから、彼女が今冒険者登録したら、Gランクからだね」
「ちなみに、今回の討伐は3人で等分してあるから3人ともEランクだよ」
シンはシュバとイオのギルドカードも受け取った。
「ランクが上がると何かかわりますか?」
シンはこの際だからいろいろと尋ねてみる。
「そうだねー、まずはギルドで依頼を受けられるのは、そのランクに応じたものだけだよ!」
「あとは、大きな違いといえば、ダンジョンに入ることができるのはEランク以上の冒険者だから、あんたも行くことができるようになったね。」
ギルド長は何気なくシンに伝えた。
「ええっ!」
このままダンジョンに行ったら入ることもできなかったのか! シンはドキドキした。
「じゃあ。ケイはダンジョンに入れないってことですか?」
シンは心配になって訪ねた。
「いや、パーティのリーダがEランク以上なら問題ないね」
どうやら、ケイも含めてダンジョンに入れるようだ。
「じゃあ、そろそろ、登録しようか」
いよいよケイの冒険者登録である。