新たな仲間
「うっううう」
「く、くそ――っ」
盗賊たちはシンとシュバになぎ倒されて地面に横たわっていた。
「お前たち、全員オレのハンマーパンチでとどめを刺してやる」
イオは盗賊たちに向かってシャドーボクシングをした。
「バカッ」
「ドカッ」
シンとシュバはイオを強めに殴った。
「うっ、いっ痛いじゃないかー」
イオは頭を抱えて座り込んだ。
「馬鹿はほっておいて」
「お前たち、そんな弱いのに、どうして盗賊なんてやってるんだ」
シンは盗賊たちに斧を突き出し、質問した。
盗賊たちは顔を見合わせ、きょろきょろしているだけだった。
「おい、またやられたいのか」
シュバは持っている剣をケイに突き付けた。
「ひ、ひえーっ」
「は、話します。剣を引いてください」
ケイは正座をして神妙になった。
「じ、実は私たちはもともと同じ村の出身で、冒険者です。」
ケイは涙ながらに話しだした
「村を出て、魔物を狩ろうとしたんですが、どの魔物も私たちよりもはるかに強くて、1匹も倒せなかったんです・・・・ぐすっ・・・・」
ケイは号泣して話せなくなった。
「そんな時、ある商人の一団が我々の前を通りました」
ケイの隣にいた、小柄な男が代わりに話しを始めた。
「空腹で、どうしようもなくなった私たちは商人の列の前に立ちふさがりました。」
「そして皆さんにやったのと同じように・・・・」
「それから、ずっと盗賊として生きているのか」
シンは冷たい口調で尋ねた。
「はい、お恥ずかしながら・・・・」
盗賊たちは、改めて自分たちの事を話して、いたたまれなくなっているようだ。
「ただ、成功したのは最初の1度のみです。 その後は反撃にあい命からがら逃げました」
ボス以外の盗賊も皆涙している。根は悪い奴らではないようだ。
「理由はどうあれ、罪は罪だ。われらは冒険者としてお前たちを連行するが、どうだ」
シンは淡々と話している。
「はい、私たちはもう抵抗しません。どうぞ、お連れください」
ボスをはじめ盗賊団全員が両手を突き出して、降伏してきた。
3人はなんだか、かわいそうになり顔を見合わせた。
「少し待っていろ」
シンは盗賊団を1か所に集め、シュバとイオと話し合いを始めた。
「どうする?」
「なんだかかわいそうになってきた」
「逃がすわけにはいかないし」
「よしお前たち、おれたちの下で働け! お金をためて今まで奪った金銭をしっかりと奪った人たちに返すと約束しろ!」
シンは突然盗賊団に提案した。
「お、おいシン! どういうことだよ」
シュバはびっくりして、シンに駆け寄った。
「ずっとじゃないダンジョンに行くまでの荷物持ちとしてだ! 今後魔物を倒すたびに困るだろう」
シンは迷ったが、自分たちも1歩間違えれば彼らのようになっていたのではないかと感じ、見放せなかったようだ。
「お前がそういうなら・・・・」
「うん」
シュバとイオも納得したようだ。
こうしてシン達一行は6人の配下を手に入れた。