蹂躙
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
シンは咆哮をあげた。
ヴァンパイアバットたちは、その咆哮で体が硬直し、うまく飛ぶことができない。
シンの周りにはふわふわとうまく飛べないヴァンパイアバットが漂っている。
「うおおおおおーっ!」
シンは右手に持つ斧で次々とヴァンパイアバットを薙ぎ払っていく!
シンがひとたび斧をふるうと数匹のヴァンパイアバットがその体を引き裂かれ命を落としていった!
「ガンッ」
「バシッ」
「ドバッ」
「グシャッ」
シンは目の前のヴァンパイアバットを右手の斧で引き裂き、左手で握りつぶした。
「・・・・」
1時間ほどが過ぎたころあたりは静寂に包まれた。
洞窟と森を結ぶ草原には無数のヴァンパイアバットの死体が広がっていた。
「ドサッ」
シンはヴァンパイアバットの死体が広がる草原の中央で倒れた!
「お、おい! いくぞ!」
鬼化したシンとヴァンパイアバットの戦い、いやシンによる蹂躙を口を開けてみていたシュバとイオは シンが倒れたことで、われに返った。
二人はヴァンパイアバットの死体をかき分けシンのもとにたどり着いた!
すでにシンの額から鬼の角はなくなっていた。
「ごぉーっ! ごぉーっ!」
シンは大きないびきをかいて眠っていた。
30分ほど過ぎたころ、シュバはイオと二人でシンを洞窟に運んだ。洞窟にいたヴァンパイアバットはすべてシンによって倒されていた。
「すごかったな・・・・」
イオはそれ以上何も言わなかった。
「・・・・」
「さあ、行くぞ!」
シュバはイオの手を引いて、洞窟の外に向かった。
「シンの仕事は終わった。 後はオレたちだ!」
シュバはナイフを取り出した。
「やっぱり、そうだよね・・・・」
イオは肩をすくめた。
2人は数百匹はいた、ヴァンパイアバットの死体からすべて魔石を取り出した。
「ふうーっこれで全部か!」
シュバは魔石をすべて袋にいれ、一息ついた。
「やっと寝れるな!」
イオは洞窟に向かい歩き出した。
「ばかっ! まだだ」
2人は草原一杯に散らばった、ヴァンパイアバットの死体を一つに集め焼却処分した。死体をそのままにしておけば他の魔物を呼び寄せることにもなり、腐敗した死体があたりを汚染することもある。
「どさっ」
すべての作業を終えたシュバとイオは草原のど真ん中で倒れるように眠ったのである。