表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/350

大司祭

 シュバインは吹雪の中一人歩き続けていた。

「まるちゃんたちとはぐれてしまったな! あの竜王子の小屋はついていてもおかしくない。私は今いったいどこを歩いてるんだろうか。」


「ドサッ!」

 シュバインはとうとう力尽き雪の中に倒れこんでしまった。

「ダメだ、もう歩けない!」

 シュバインは目を開ける力もなく目を閉じるとだんだんと気持ちよくなってきた。

「眠いな、寝てしまいたい! だけど寝たら死ぬんだろうな」

「・・・・・・」

 シュバインは眠ってしまった。


「母さん、母さんだ!会いたかったよ!僕いろいろ頑張ったんだけど、母さん見ててくれた!」

「シュバイン、頑張ったわね、ゆっくり眠っていいのよ」

 魔王軍大幹部であったシュバインは夢の中にいた。

 夢の中で、数百年あっていない母の腕に包まれて、ゆっくりと眠るように逝った。




  ◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「おぎゃあ おぎゃあ」

 元気な赤ん坊の声が響き渡る!


「生まれたか!」

 父親らしい男が勢いよく部屋の扉を開け入ってきた!

「おお、男の子か!」

 この男は世界最大の宗教組織、マンズーキ教の大司祭、その父親は大教皇であった。

 この世界の半分の人類は、マンズーキ教の信徒である。帝国を含む多くの有力国でも、マンズーキ教会を無視することはできない。世界の一大勢力である。


「大司祭、ただいま報告が入りました!例の赤子の件ですが、無事達成しました!」


「おお、あの吸血鬼をやったか!!」

 この大司祭バインがテオの暗殺を主導したその人であった。

「今日は良き日だ! 待望のわが子が生まれ、忌むべき存在が討たれたのだ!」

 バインはこの上ない幸福感を味わっていた。

 バインが信託を受けたのが1年前、バインは寝食を忘れ、吸血鬼の捜索をした。やっと見つけた吸血鬼は大伯爵の子息であった。何度か伯爵に訴えたが相手にしてもらえず、とうとう強硬手段に出た。

 決意をもって討伐隊を送ったが、何度も返り討ちにあい、今回とうとう討ち果たしたと報告を受けたのだった。


「神よ! 私はとうとう念願を達成しました。 わが子も無事生まれました。ありがとうございます」

 バインは神に祈った!


「よし、この子はシュバと名付けよう! 神から声が聞こえたような気がした!」


 そう、このバインの子はシュバインの生まれ変わりであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ