51話
「一週間くらいは街を出るなとよ」
「・・」
「ああ、調査にそれくらいかかるってよ。関係者だしな。まぁ、嫌になったら無理やり出てくけどな」
「・・・・・」
「とりあえずは宿だな、いいかげんベッドで寝たい。あとは・・・・街を見て回るか」
「・・」
「助かったわ。薺が金を回収してくれたおかげだな」
「・・・」
「もちろん良かったに決まってるさ!俺も同じことをしただろうからな」
「あと、あのツッコミ兵士が言ってたんだが。この街、見た感じはまあまあ綺麗だが奥に行くのは止めといたほうがいいらしいぞ」
「・・」
「治安が悪いんだと。まあ、関係ないかもだけどな」
戦闘に関しては全く心配していない。だが、問題はこの世界の法律を全く知らない事だ。暴れ回った挙句、兵士たちに追われ続けるのは避けたい。
「お!」
良い匂い。
「買ってみるか」
屋台。おっさんが屋台で肉の串焼きを焼いている。150ゴールドって書いてあるな。ということは・・・
「一本くれ」
デカい十円みたいなやつ1枚と小さい十円みたいなやつ5枚を出す。
「あいよ!」
正解だったようで串焼きを一本差し出される。
まあまあ重量感がある。間近で見ると思ったより黒い。何の肉なんだこれは。どこにもなんの説明も書いていない。不親切な店だ。
まあ、とりあえず食ってみるか。食えないものを売るはずが無いし。
「硬!」
スジ肉か!?硬てぇ、、この世界の人間、歯強すぎる。しかもタレの味がなくなったら肉の臭みが出てくる。
「うーむ。薺も食うか?」
「・・」
「だよな。この世界に来て一度も美味いと思うものを食ってないぞ。薺も食いたいものがあったら遠慮なくいってくれ」
残金52万7652ゴールド
どうやって金を稼いでいくか。それが問題だ。ベタにいくなら冒険者か、戦闘には絶対の自信がある。勇者がいるからな。だが、もっと楽に稼げる手段があるんであればそっちの方がいい。
だが、それよりもとりあえずは飯。少しくらい高くてもいい。がっつり系だな。
チョイ、チョイ、
「ん?」
考えながら街の大通りを歩いていると薺が袖を引っ張っていた。
「・・・・・」
「いい店があった?」
カラフルなレンガで装飾された店。ドアは木でできていて、同じく木星の看板には「モルブーウラン」と書かれている。
「ここか?」
コクリ。
なぜだ?
何をもってしてこの店を選んだ?一体何系の料理を置いている店なのか全く分からない。情報ゼロだ。
薺。目がキラキラしとる。初めて見た、こんな薺は初めてだ。
そしたら、まあ。
「入ってみるか」
率先して木のドアを開けた。
この街に入ってから薺が先頭を切るのは初めてだ。ずっと俺の後ろをついてきてたというのに。
「いらっしゃいませ!」
甘い匂い。
パン屋だ。
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