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役所でランデブー


指示された通り、翌朝、佐野は市役所に向かった。余裕をもって、15分前には登庁するつもりで、8時15分にアパートを出た。


昨晩は遅くまで風花の相手をさせられ、仕事に出掛ける彼女にまた6時に叩き起こされて朝食にまで付き合わされたのは、二十二の彼でもこたえる事だけれど、木下リーダーとの約束をすっぽかすわけにはいかない。


市役所前でバスを降りると、すでに向こうは正面玄関で待っている。


「おはよう」


「お疲れ様です」


「佐野君、眠くない?」


「は」


「中、入ろうか」


適当な場所をみつけて腰をおろすなり、


「ゆうべ奥さんと喧嘩でもした?」


「は?」


「奥さん美人だよね」


「僕、結婚してません」


「そうか。正式な奥さんじゃないのか」


「正式って…」


「佐野君いるんじゃん。うそつき」


「…」


「わたし佐野君にだまされた」


「違います」


「違わないでしょ?彼女いないって言ったよ?」


「風花は彼女と違います」


「そんなこと言っていいの?」


「は」


「仲良くしな。逃げられちゃうよ」


と言って手提げの袋を開いた。ABC-MARTのロゴが入った紙袋だ。


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