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消える内履き
一年で、二足やられている。
一足目がなくなった時は、うっかり誰かに履いて帰られたんだろうと思った。ここで働く人の内履きなど、どれもこれも同じだ。
二足目が消えた時は、盗難を疑った。
けれど、安いクロックスのために防犯カメラを確認してほしいとは、言い出しにくかった。
安いというわけは、本当はクロックス社製でもないからだ。
正確には、東京靴流通センターで売っている「マチョッパーズ」というサンダルだ。安いし、軽いし、汚れてもすぐに洗える。介護職員の内履き用なら、マチョッパーズで十分だろう。
とられたマチョッパーズは、人参色、というのか、淡い橙色をしている。何年か前に、店頭で安売りしていたから、同じ色、同じサイズをまとめて買った。
緊急出勤した或る晩、三足目のマチョッパーズを盗られた彼女は、「澄香」の二階で介護リーダーを務めていた。




