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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第55話 初めてのジューダス帝国

中央大陸南部――


広大な領土と千年以上の歴史を誇る大国。


ジューダス帝国。


双頭の鷲を象った紋章を掲げるこの帝国は、多種多様な種族を受け入れる多種族国家として知られていた。


特に帝都ネメシアは中央大陸最大の都市と呼ばれ、その繁栄は他国を圧倒している。


街路には魔導灯が並び、夜になれば蒼い光が街全体を照らす。


生活のあらゆる場所に魔道具が浸透しており、その発展度合いは魔王国ですら参考にしたいほどだった。


もっとも――


軍事分野においては話が別だ。


魔導兵器の開発競争ではアストリア王国に後れを取っており、帝国軍は今なお騎士団を中心とした伝統的な戦術を主軸としている。


その象徴が帝国最強の黒翼騎士団。


かつては周辺諸国から『黒き悪夢』と恐れられた存在だった。


――魔導兵器が戦場を支配する時代になるまでは。


◇◇◇


「ふぅ~……やっと着いたぁ……」


高台から見下ろす巨大都市。

その圧倒的な光景を前に、ライトは思わず息を吐いた。


眼下にはどこまでも続く街並み。


石畳の大通り。


空へ伸びる塔。


蒼い装飾が施された建築群。


そして何より――


人、人、人。


見渡す限り人だらけだった。


フィオレリアとの会談から三週間。

ライトはついにジューダス帝国の首都ネメシアへ到着していた。


本来であれば魔王軍再建を優先すべきだった。


王国との戦いで受けた被害は決して小さくない。

防衛体制の強化も必要だった。


だが、


アローラは本来の冷静さを取り戻し、


ホイズとベイルも順調に回復し、


シュプール率いる開発局も元気に暴走していた。


結果。


「まぁ……何とかなるだろう」


という結論に至ったのである。


もちろん責任者たちは泣いた。


主にアローラが。


だがライトは気にしない。


気にしたら負けだ。


「人いっぱい!」


「ご主人様見て見てー! あれなに!?」


隣から元気な声が飛んでくる。


ハクとヒメルだ。

二人とも初めて見る大都市に大興奮していた。


キラキラと目を輝かせている。


「お前らなぁ……」


ライトは苦笑する。


本来なら一人で来る予定だった。


だが。


『俺も行く!』


『ヒメルも行く~!』


『ダメ』


『『やだぁぁぁぁぁぁ!!』』


という壮絶な攻防の末。


現在に至る。


結果として。


「完全に子連れ旅行じゃねぇか……」


保護者ポジションになったライトは小さくため息を吐いた。


もっとも。

ハクは獣人の子供にしか見えないし、ヒメルも翼さえ隠せば普通の少女だ。


帝国の人々が二人を魔族だと気付くことはないだろう。


「ライト! あれ食べたい!」


「ご主人様! あっち行こー!」


「こら待て!」


早速二方向へ走り出そうとする二人。


ライトは慌てて首根っこを確保した。


「迷子になる未来しか見えない……」


帝都到着からわずか数分。


早くも胃が痛い。

そこでライトは懐から二つの魔道具を取り出した。


「ほら、お前たち」


「?」


「なにー?」


渡されたのはピアス型の小型無線機。


そしてペンダント型の発信機。


ハク用は三日月。


ヒメル用はハート。


ちなみにライト自身はクロス型だった。


前世の時からシルバーアクセサリーが好きだった俺が、シュプールに嫌な顔をされながらデザインに拘った自信作である。

ちなみに大好きなク○ムハーツを参考にさせて頂いた。


男ならこういうの好きだろう。


いや、絶対好きだ。


「これ付けとけ」


「なにこれ?」


「おしゃれー!」


「違う。迷子防止装置だ」


「「迷子にならないもん!」」


二人の返事が完全に迷子になる子供のそれだった。


ライトは無言で装着させる。


これで居場所も分かる。


会話もできる。


完璧だ。


文明の力は偉大である。


「よし」


準備完了。


ライトは改めて巨大都市を見上げた。

まずはフィオレリア皇女への到着報告だ。


恐らく王城にいるだろう。

ならば目指す場所は一つ。


「一番デカい城を探すぞ」


「おー!」


「おーー!」


ものすごく雑な方針だった。

だが他に手掛かりもない。


三人は人混みの中へ歩き出す。


帝国最大の都市。


ネメシア。


そこで待つ新たな出会いと騒動など、この時のライトはまだ知る由もなかった。

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