W 第一部 第二話 40
ホテルの一室
「いってしまわれましたか」
ヘラは窓から今回のサミットのために建設された円形の建物を見つめていた
ついさっきまでこの部屋にいたあの男が向かっていった目的地
私たちの夢がかなう場所
彼はなんでもできる、なんでもやってきた
でも、私は、なにもできない、できなかった
だから、彼は私の願いのために頑張ってくれている
私は祈る
これが何もできない私が何でもできる彼のためにしてあげられる唯一のことだから
どうかご武運を
コンコン、誰かがドアをノックした
ヘラがドアを開けると
「っ」
ヘラの額に拳銃が突きつけられた
相手はマスクにサングラス、ニット帽までつけていて誰だかわからない
ヘラは拳銃を突きつけられたまま、後ずさりする
襲撃者は、部屋に入ると、拳銃を持っていない手でドアノブに触れたその時、
カランコロン
ボールペンが足元に転がってきた
一瞬、視線がボールペンに向いた瞬間、ヘラは懐に飛び込み、襲撃者を背負い投げの要領で投げ飛ばす、すぐさま寝技に持ち込み、相手の腕をひねりあげると
「あいたたたたた、参った、降参です」
聞き覚えのある声で降参を宣言する
他人の空似ということもあるので、寝技から解放した後すぐに襲撃者が落とした拳銃を回収しておく
襲撃者に反撃するそぶりはなく、解放された後、ひねりあげられた腕を少し揉んだ後
サングラス、マスク、ニット帽をすべてとった
「あ、あなたは、マカミ」
「お久しぶりですね、ヘラ様」
それは、黒髪の若き青年、マカミであった
「どうしたのですか、あ、いえ、それより、さっきのは何のまねですか」
突然の襲撃という緊張から、知り合いの顔に安心したことで一瞬忘れかけたが
襲撃の理由を追及する
「あなたに命を狙われるほど恨みを買った覚えはありませんよ」
ヘラはかなり怒っていた
命を狙われたのだから当然であるが
自分を睨みつけてくるヘラにマカミは
「いえ、ヘラ様は普段護衛をつけていないので、これを機に護衛をつけてくれないかと」
手を振りながら、張り付けた笑みで説明した
「だからってねえ」
同じことをヘラクレス様とアーサーに言われてるからあまり強く言えないけど
それでもこれはやりすぎだ
いまだに怒りの収まらないヘラにマカミが今までの笑みを消して、真面目な顔で話し始める
「ヘラクレス様に緊急の連絡があるのですが」
「ヘラクレス様ならもうサミットに出発してしまいましたが」
「っ、そうですか、では私も会場に参ります」
「待ってください、一体どうしたんですか」
ヘラクレス不在を聞くとすぐに追いかけようとするマカミをヘラがとめる
「実は今回のサミット、ヘラクレス様をはめるための罠が仕掛けられているようなんです」
「罠、それはどんな罠なんですか」
「今は一刻を争う状況ですので」
再びヘラクレスを追おうとするマカミを再び呼び止める
「待ってください、ヘラクレス様に危険が迫っているのですね、私も連れて行ってください」
マカミは一瞬考えるそぶりを見せた後
「わかりました、行きましょう」
そう言うと、二人はヘラクレスの後を追い、走り出した




