W 第一部 第二話 34
夜も更けてきたころ
あるホテルに泊まる男の携帯が鳴った
「こんな時間に何の用だ」
「なんだよ、その口のきき方は」
声だけを聞くと、かなり年のいったおっさんと思われるが、実際はそこまで年はいっていない
「あんたにだけは言われたくない」
男の口調は呆れていた
「なんだと、相変わらず減らず口の減らねえガキだなあ」
「で、用件は」
別に忙しいわけじゃないが、長くこのおっさんと話していたくはない
「お前、会議欠席したろ」
「ああ、用があってね」
「何の用だよ」
「言うわけないだろ」
「ま、そりゃそうだ」
さっきまでと異なり、冷静に話を進めるおっさんに、男は警戒する
「何、そう構えるなよ、ただ今回の会議でUAが世界連合へ加入する方向になったことを教えてやろうと思っただけだ」
おっさんは男の警戒もお見通しだと言わんばかりの口調で嘘の要件を伝える
「そんなこと、後で通達が来るだろ」
「そりゃ、そうだが、一刻も早く知りたいかと思ってね」
「もう切るぞ」
「ちぇ、愛想の悪いガキだぜ、全く、せっかく人が親切で教えてやろうと思ったのに、わあったよ、もうてめぇには二度と電話しねえ」
そう言って、おっさんは一方的に電話を切った
なにがしたかったんだ
おっさんは誰もいない寝室で電話をかけた後
しばらく、目をつぶっていた、そして、さっと、飛び起きると、うるさい奴らが集まるリビングに向かった
「おい、ラヴ、頼みがある」
「へ、あたし」




