W 第一部 第二話 22
アストラの会議が終わり、ヤタガラスは待合室へ戻る
「お、ヤタじゃねえか、どうだったんだ会議は」
地べたでキーボードを打っている、汚いおっさんに話しかけられる
「汚い言うな」
「心読んでんじゃねえよ」
「で、ヤタっち、どうだったの会議は」
そのおっさんの横のソファで寝転がって爪のお手入れをしているギャルが会議の様子を聞いてくる
「世界連合への加入が正式に決まった」
とりあえず、今日の会議の一番の目玉を最初に伝える
「まじ、大丈夫なの」
「反発は相当のものになりそうですが」
「決まったもんごちゃごちゃ言ってもしゃあねぇだろ」
会議で決まったことを幹部の俺が覆せるはずがない
「それに、反発を抑えるのは私たち次第でしょ」
オカマが、これから来るであろう大仕事を準幹部全員に伝える
「まあ、そうだけど」
「世界連合への加入か、こりゃ忙しくなるな」
「同じ情報でも出し方ひとつで受け手の印象はだいぶ変わりますからね、バークさんの役割は大変重要になりますよ」
汚いおっさんことバークは俺たちの組織の情報においての要だ、世界連合加入が決まれば毎日大変なことになるだろう
「け、また大変な仕事持ってきやがって、俺は好きなことさせ出来てればいいのに」
「おっさん、息臭いから息しないでくれる」
「死ぬわ、てか、お前、こんな大事な話してる時にネイルやめろ」
おっさん立ち上がる
「いーじゃん別に、てか、近寄んないでくれる、キモいんですけど」
「こ、小娘がー、もう我慢ならん、てめー」
おっさん、ギャルに切れる
「ぎゃ、ちょ、やめてってば、ふけとばさないで」
おっさん、汚い頭をかきむしり、ギャルにふけを飛ばす
と、まあこいつらはいつもの調子なんだが
「どうかしたんですか」
「いや、なんか腑に落ちなくてな」
今回の会議、いつもと違う気がする
まあ、俺、ここ3年ぐらい会議出てなかったけど
「なにがですか」
「わからん、でも、何か裏がある気がする」
何か得体のしれない何かが裏に潜んでる気がする
あんま気が進まねえが、明日の朝にでも電話してみっか
そういうと、ヤタガラスはさっさっと寝室に入っていった
ホテルの一室、褐色の女性が電話をしていた
「ヘラクレス様」
「ヘラ、問題はなかったかい」
受話器から聞こえる声はとても心配していた
「はい」
「どうして護衛をつけなかったんだい」
その声は優しかったが、少し、怒ってもいた
「私のようなものに護衛などいりません」
「君もしものことがあったら、俺は・・・・・・悲しいよ」
その声はとても優しく、とても暖かった
「話し合いの方は、どうだった、ヘラ」
しばしの沈黙の後、今日、話し合った内容について尋ねられる
「はい、依然として反対派の人もいるようですが、だいぶ減ってきたと」
褐色の女性、ヘラは今日、話し合った内容をヘラクレスに告げる
「いままでの皆の努力が、頑なだった上のものを動かしているようだな」
「はい」
みんなの努力が実を結ぼうとしていることに、喜んでいるのが受話器越しからでも伝わってくる
「こちらも、会議で世界連合への加入が認められた」
「本当ですか」
驚きのあまり、声がそのまま出てしまった
「ああ、意外だったか」
「はい、正直」
あの人達のことだ、議論が二転三転して、結局、地球サミットまでに結論は出ないと思っていたけど、まさかたった1日で結論が出るなんて
「皆、心の底では争いなどしたくはないんだ、反対したものも、世界連合加入後に起こるだろう争いを見据えてのものだった」
「・・・・・・」
日ごろの言動があれな人もいるが、全員人の上に立つもの、心の底では平和を願っているのでしょう
「だからこそ、俺たちでその争いを抑えていくんだ」
「ヘラクレス様」
その声を聴いているだけで、この難しい問題も簡単に解決するような気がしてくる
きっと、この人がいれば、争いのない世界も、きっと
「今そちらに向かってる途中だから、明日には到着できると思うよ」
「はい、お待ちしております」
ヘラクレスの明日の予定を聞き、電話を切ろうとすると
「ヘラ、やっと、君との誓いを果たせそうだ」
「・・・・・はい」
きっと、果たせます、あなたなら




