W 第一部 第二話 19
露天風呂はヒノキで作られており、雨の時でも入れるよう、屋根も付いていた
「いやっほー」
まず、服を畳まずかごにばっといれた優が露天風呂にバシャンと、飛び込んだ
「何やってんのよあんたは、てか、あんた、タオル巻きなさいよ」
次に、彩夏が露天風呂に入ってきた
「えー、タオル巻いてお風呂入っちゃダメなんだよ」
「飛び込みする馬鹿に言われたくないわよ」
マナー違反であるのは彩夏だってもちろん知っているが、これだけは死守しなければ
そうでなければ、彩夏は一生癒えることのない傷を負うことになる
「あきあきは小さいね」
「っ、どこ見て言ってんのよ」
優が、胸のあたりをじっと見て言ってくる
「いいのでしょうか、私まで」
いつの間にか、ミーサも湯船に入っていた
ちなみに、タオルはまいてなかった
「うわ、みさみさもなかなか」
「な、何がですか」
「おっぱい」
「っ」
ミーサがとっさに胸を隠す
「あんた、セクハラよ」
彩夏が呆れていると、ミーサが少しうつむいていた
「どうかした」
「いいんでしょうか、私まで、持ち場を離れて、こんなことしてしまって」
どうやら、ケインに護衛の任務を押し付けてしまって申し訳ないと思っているようだ
「あんたって、日本人より日本人らしいわよね」
「そう、でしょうか」
「まあ、いいんじゃない、アリサもいいっていってくれたし」
ミーサもいっしょにお風呂に入ることはアリサに言ってある
生真面目な子だから、いっしょにお話しして気分転換させてほしいと頼まれてもいる
「アリサ大使の部屋には、備え付けのお風呂がついているのよね」
「はい、そう聞いています」
「へえ、どんなお風呂だろう、さっき見てくれば良かった」
「あ、アリサ大使の部屋に入ったのですか」
「うえ、えーと」
ミーサが怖い顔でじっと見てくる
その視線に優がどう説明しようか言いあぐねていると
「ふぁー、ひろーい」
助かった、という顔を一瞬して、冬華に絡んでいく
「ふゆふゆはふつうくらいだね」
「なにがー」
「おっぱい」
「あんたねえ」
絡み方がさっきと一緒だった
あんたそれしか興味ないの
「Cカップだよ」
「は」
まさかの自己宣告
「ぼくはB」
「あんたらねえ」
この流れはまずい、すがるような気持ちでミーサを見るが
「ふう、私はEです」
「ミーサさん!」
その願いはあっさり、消え失せた
どうやらミーサは、勝手に優がアリサ大使の部屋に行ったことは見なかったことにしてくれるらしいが
だからって、なんで答えるの
「あきあきはトリプルAだね」
「なっ、何よトリプルAって、BよりのAよ」
思いっきり胸を張るが、冬華はおろか、優とやっといい勝負だった
「騒がしいぞ、何を言い争ってるんだ」
「おー、」
「ひぇー」
「すごい」
スーツを着ていてもすごかったのだから、すごいのだろうとは思っていたが
実物は想像以上だった
ちなみに、タオルは巻いていた
「秋、あんた私に恨みでもあんの」
「え」
彩夏の恨みがましい目に、秋はただただ混乱した
一悶着を終え、優たちはお湯に浸かっていた
ちなみに、タオルはみんな外すことになった
「いいお湯だな」
秋は天井を見上げながら、全身でお風呂を楽しんでいるようだ
「全くです、誘っていただきありがとうございます」
ミーサが私たちの方を向いて頭を下げてくる
「いいのよ」
「お構いなくー」
秋は無言で首を振り、彩夏も冬華も気にしないでと返す
「ぼくもみさみさと入れてうれしいよ」
優がいつも通りの満面の笑みで返す
どうやら、もう本当に大丈夫らしい
「ありがとうございます」
ミーサも笑って返してくれる
いつの間にか、みさみさと言われているが気にしていないようだ
「あんた、ついさっきまで旦那のことで落ち込んでたのに、一気に元気なったわね」
「うん、アリサのおかげ、任務が終わったちゃんと話し合うよ、ケンカ別れは嫌だもんね」
「ふ」
優に言葉にミーサが悲しいような、寂しいような笑みを浮かべる
「ん、どうしたの、みさみさ」
「いえ、優はいいですね、ケンカできて」
「え、どうして」
「私はケンカどころか相手にもされないので」
それを聞いた瞬間、優の目に好奇心が宿る
「うえ、みさみさ、好きな人いるの」
「あ、いえ」
ミーサがしまった、という顔をするも優に詰め寄られる
困って、私たち3人の方を見るが、
優の発言を聞いて私たちの目にも好奇心が宿る
そりやぁ、まあ、女なら好きよね、そういう話
「えー、ほんとー」
「どんな男だ」
「もしかして、ケイン」
「ち、ちがいます」
ミーサがもう勘弁してというような顔をするも逃がすつもりはない
必ずゲロさせてやる
そう闘志を燃やす3人を余所目に優がまた素っ頓狂なことを言い出した
「じゃあ、アリサ」
「そ、そんなことあるわけないじゃないですか」
「じょーだん、じょーだん」
「こんな時に何言ってるのよ」
「全く」
「・・・・・・」
一瞬、冬華の目が暗くなったような、気のせいね
「も、もうこの話は終わりです、お風呂を楽しみましょう」
長湯のせいか、ミーサの顔は赤くなっていた




