W 第一部 第二話 2
会議が終わった後
優は素早く荷物をまとめて部屋を出て行った
彩夏も、優ほどではないものの、手早く片付けて部屋を後にした
冬華は、一眠りしてから、お家に帰るといって、隣の部屋に入っていった
残るのは春樹と秋のみ
もちろん、偶然ではない
「どうだった」
主語もなく問われても普通は分からないが
秋には、何のことかわかっていた
「高宮からの話だとウィルス開発に関わった三社はエレクトロツールに吸収合併されることが決まったらしい」
海原社長殺人事件
事件自体は、痴情のもつれによるもので、すでに犯人も逮捕しており解決済みではあるのだが、春樹はこの事件にはまだ何かあると考え、捜査を継続している
春樹といつもバディを組む秋もその捜査の手伝いをしている
「あの事件を解決した翌日、魚和周平が行方不明となった」
魚和周平、オーシャンネットワーク社長海原悟の秘書をしていた人物
優と彩夏は一度聞き込みで魚和に会っているが、その翌日から行方不明となっている
「タイミング的にも気になるな、何か事件にかかわっていたのでは」
最初は春樹に付き合っての捜査であったが、
ここまで来ると何か裏があるのではないかと秋も考えていた
「恐らくそうだろうな、だが、魚和の行方は依然わかっていない」
「ということは、今最も疑わしいのは」
「「エレクトロツール」」
春樹と秋の声がシンクロする
秋は少し照れ臭くなり、顔をうつむけたが、すぐに引き締めなおす
「エレクトロツールは、海外でも指折りの大手IT企業だ、そして、その親会社があるのは」
「オウル」
春樹が答えるよりも早く、秋がその名前を答えた
「つまり、春樹は私にシン国王からエレクトロツールについて探ってほしいんだな」
春樹が頼もうとしていたことを秋は言う前に理解していた
やはり、頼もしいな
春樹は力強くうなずいた
「そうだ、アリサ大使は女性、当然護衛も女性が望ましい、俺はお前たちがアリサ大使の護衛をしている間、地球サミット会場の警備をする、だから、頼む」
秋も力強くうなずき、答えた
「まかせろ」




