朝の来ない日
翌日。
あまりよく眠れなかったため、早く目が覚めた。
元から、枕が変わると熟睡できないタイプであったが、昨日眠れなかった原因は多分他にあると思う。
オレは何故この世界にきたのか?
神社の中に入った瞬間を思い出してみる。
あの時、頭に直接聞こえてきた、女の声は一体誰だったのか?
もしかしたら、その声の主がオレを呼んだのか…。
それにしても…。
紫色の薄いカーテンを開けて深いため息をついた。
ここは、本当に朝が来ないんだなー。
薄暗いままの外。
昨日聞いた時は、冗談かと思っていたがこうも本当に朝がこないとは…。
「洋一、起きてる?」
ドアをノックする音が聞こえた。
この声はジュリアだ。
「今起きた。」
「朝御飯一緒に食べよう。」
オレが答えると同時にドアが開き、白の寝巻きのような服を着たジュリアが入ってきた。
「お、おい、急に開けんなよ。」
「ちゃんとノックしたでしょ?あれ?昨日と同じ服のまま…。早く洋服買いに行かないと。その前に朝ご飯ね。」
本当に人の話を聞かない娘だな。
まぁ、王女さまって言うのはたいていこんな性格なのかもな…。
と思いながら、ユリアのことを思い出した。
彼女はこんなこんな我を通すような女性じゃないと思う。
「てか、お前、いつもあの男を連れて歩いてるの?」
「ジュリアさまにたいしてなんだその言葉の聞き方は?」
オレの声に反応した男。
ジュリアのいつも側にいる従者、ロウだ。
ロウはあの日から、オレのことをかなり敵視して見てる。
「ロウ。お前は先に食卓へ行って私と洋一の朝食の用意をしときなさい。」
「しかし…。」
「私の命令が聞けないの?」
「ただいま用意して参ります。」
ジュリアの視線に、ジュリアの言葉に深々と頭を下げて、ロウはオレの部屋から離れた。
部屋を出てジュリアと二人で、食卓に向かう途中で、窓から外を見ると、ドアに向かって人の長い長い行列があることに気がついた。
「あの行列は何?」
「ああ。あれね。」
ジュリアは面白くなさそうに答えた。
「あれは、お姉様に求婚を求める人たちよ。飽きもせずに毎日毎日よく来るわ。ただ単にこの国が欲しいだけで。」
「求婚者…。まだ15.6だろう?君のお姉様?」
「年なんて関係無いわ。お父様が亡くなった今、早く次の後継者にこの国を納めてもらわないと…。でも、あのお姉様にこの国を納めるなんて無理だと思うけど。」
そんなものなのか?
まだ高校生ぐらいの人間に国を任せるとか、一体どこのお伽噺だよ。
面白くないようにジュリアは話続けた。




