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何とか誤魔化そう

評価・ブックマーク有難うございます。

 お茶会が終わり、ビータ家の皆さんが帰った後お姉様が話しかけてきた。


「兄様と義姉(ねえ)様、恋人同士だっていうのにあんまり甘々な雰囲気がなかったわね」

「うーん、そう言われればそうですけど、家族の前でイチャイチャしないように気を付けてたのではないでしょうか」

「それはそうなんだろうけど、それししては自制が効きすぎっていうかなんていうか……ま、それはいいわ」


 お姉様が急に悪戯っぽい顔になった。


「フレンちゃんってああいう子が好みだったのね」

「え? 何の話ですか?」

「もちろんユージン君よ。気になるんでしょ」

「えっと……別に好みとかじゃないてすよ」

「なーに言ってるの。ずっとユージン君の事見てたじゃない。ちゃんと見てたんだから」


 おおう、転移者かどうか観察していたのを誤解されたらしい。


「違います。そんなんじゃありません」

「そう? でも大分積極的に話しかけてたよね。

 自覚ある? 新年パーティーの時、同世代の子たちとはあまり積極的に話さなかったじゃない。話しかけられた時だけ返事をする程度。家にお客様がいらした時もそんな感じよね。ユージン君だけが例外。パーティの日も今日も自分から話しかけに行ってたよね」


 それほど受け身じゃなかったと思うんだけど……誰も彼も3年前の私の大暴れの話ばかりするのでうんざりしていたのだ。パワーとか勢いとか迫力とか褒められても嬉しくない。怪力ハエタタキ娘の事はもう忘れてほしい。だから淑やかさをアピールするため出来る限り控え目な振る舞いを心掛けていたのだ。

 ユージン君には確かに積極的に色々と話しかけた。でもそれは転移者かどうか見極めるため。それだけが理由だ。(結局分からなかったんだけどね)


 でもどうやって説明しよう。ちゃんと説明するには異世界転生や異世界転移から話し始めないとならない。まだ誰にも転生云々を打ち明けていないのだ。

 なにしろ転生はこの世界でもオカルトに属する胡散臭さ120%の用語。迂闊に口にしたら頭の心配をされてしまう。

 最悪また医学所に検査入院させられてしまうかもしれない。

 あの思い出すだけで気分が悪くなる検査食! もう二度と食べたくない。


 よし、この場は何とか誤魔化そう。


「好みとかじゃないんです……」

「そうなの? じゃあフレンちゃんの好みってどんな人?」

 問われて一瞬クマオの姿が浮かぶがすぐに打ち消す。アレは違う。


「えっと、わからない、かな。私異性との接触ってあまりないし」

「ふーん、ま、そういう事にしておいてあげるわ。

 で、まあ、ちょっと心配してたのよ。例のお父様の結婚できない宣言のせいであなたが男子と無理に距離を置こうとしてるんじゃないかってね。ユージン君と話している所を見た感じでは杞憂だったみたいだけどね」

「男の子は3年前の王宮事件で私が暴れた話ばかりしてくるので反応に困るんです」

「あー成程。ユージン君はその話自分からは一度もしなかったものね。そういうところがポイント高かったと」

「だから! そういうのじゃないです!」

「冗談よ冗談。でも本当に好きな相手が出来たら言いなさい。場合によっては結婚できる可能性もあるから」

「え? ……えっ!? そうなのですか? 本当に?」

「こんなことで嘘は言わないわ。もちろん相手方の理解は大前提だけど『白い結婚』のまま養子を取って跡継ぎにしたって事例がそこそこあるの。偶々学園図書館で見つけたんだけどね。うちみたいな子爵家程度ならそれほど煩くないみたいなの」

 偶々とか言ってるけどきっとわざわざ調べてくれたんだろう。結婚できる可能性自体よりもそれが嬉しい。

「有難うございますお姉様! とっても嬉しいです!」


 それからお姉様に関係する法律やいろんな事例を教えてもらった。何故か全部恋愛小説風に脚色されていたけど……


「そうそう、一つ言い忘れていたわ。兄様との馴れ初めを聞いた時義姉(ねえ)様が名前を言いかけてたよね。覚えてる?」

「はい、確か『マリア』と」

「それ、兄様が昔好きだった子の名前だから、触れないでおいてあげてね」

「は、はい、わかりました。お兄様の前でその話は一切しません」


 それまでとは打って変わって真面目な顔になったお姉様に、私は頷くしかできなかった。

 それと同時にお姉様が二人のラブラブ度を妙に気にしていた理由が理解できたのだった。


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