蟬樂・榮達道・投票・入道雲・刀・日長
蟬樂 2025/7/19
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煩熱僅衰蟬樂興 清風何隱止陽騰
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古人愁兆今何復 慼苦無悰地欲崩
【句形】
七言絶句、仄起こり、上平10蒸(興、騰、崩)
【語釈】
清風一句…唐・白居易・月夜登閣避暑「清風隱何處」
慼苦一句…南斉・謝朓・游東田「慼慼苦無悰」
【訓読】
煩熱僅かに衰へ蟬樂興る 清風何くにか隠るる陽の騰るを止めよ
古人兆を愁ふれど今何ぞ復たせん 慼しく悰しみなきに苦しむれば地崩れんと欲す
榮達道 2025/7/19
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淵明惡五斗 謝絶折腰情
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居易惜中辭 衣錦希就耕
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囘頭愁漠漠 視履恥營營
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富獨得遙恐 春秋一字評
【句形】
七言絶句、仄起こり、下平8庚(情、耕、營、評)
【語釈】
衣錦…出世して故郷に帰る。「衣錦還郷」
視履…足元の靴を見る。転じて、君主が臣下の様子を評価する。
【訓読】
淵明五斗をにくみ 謝絶す折腰の情
居易惜しまるる中辞せるも 錦を衣るは就耕よりまれなり
頭をめぐらせば愁へ漠漠 履を見るに恥ぢて營營
富めるものひとり遙に恐るることを得 春秋一字の評
投票 2025/7/21
七月二十日、余投票於参議院議員通常選挙。
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堯舜禪威民國經 人應自主數藩屏
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無忘不復讓湯轍 予彼同人常在醒
【句形】
七言絶句、仄起こり、下平9青(經、屏、醒)
【語釈】
無忘…上古の三皇五帝は、君主の座をそれにふさわしい者に譲ったのであるが、夏の禹や殷の湯王の時代になって世襲という悪習を始めるに至ったのである。
【訓読】
堯舜威をゆづるは民国の経へなり 人まさに自ら主たるべきにしばしば藩屏たり
忘るるなかれまた湯にゆづる轍をせざらんことを 予彼人を同じくすれば常に醒めたるにあれ
入道雲 2025/7/28
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盤鬱停雲如丈夫 摩天照地座邊隅
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星辰進簀無由度 遙散疎人徒好驅
【句形】
七言律詩、仄起こり、上平7虞(夫、隅、驅)
【語釈】
盤鬱…めぐり、まがりくねるさま。千字文「宮殿盤鬱」
進簀…東晋・陶淵明・贈長沙公「進簀雖微、終焉為山」
【訓読】
盤鬱たる停雲丈夫のごとし 天をすり地を照らし辺隅に座す
星辰簀を進めて度るに由なし 遙かに散りて人に疎く徒に好むは駆くること
刀 2025/7/30
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玲瓏矍鑠照諸邦 詠美勿忘兵不祥
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機巧鍾微和國匠 營營傳力九州商
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終窮百姓稱流星 初起工人恐不傷
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治世蔵堂精遇術 無揮應措刃如霜
【句形】
七言律詩、平起こり、下平7陽(邦、祥、商、傷、霜)
【語釈】
九州…世界各地。
初起一句…孟子・公孫丑上「矢人惟恐不傷人」
刃如霜…唐・賈島・剣客「霜刃未曾試」
【訓読】
玲瓏矍鑠 諸邦に照る 美を詠むとも兵は不祥なるを忘るるなかれ
機巧微を鍾む和国の匠 営営力を伝ふ九州の商
終に百姓流星をたたふるに極まるとも 初めは工人傷ましめぬを恐るるに起これり
治世には堂に蔵めむこそ精く遇する術なれ 揮ふなくはまさに措刃の霜のごとくなるを措くべし
日長 2025/8/3
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自鍛日知長 曾慷臀乏膚 未盈援貴顯 脾肉止心虞
【句形】
五言絶句、仄起こり、上平7虞(膚、虞)
【語釈】
臀乏膚…易経・天風姤「臀无膚」
【訓読】
自ら鍛ふれば日長ぜるを知る かつて臀に膚乏しきを慷けども
未だ貴顕をたすくるにみちねども 脾肉心にとどまる虞あり