これは、サブイベント…なのだろうか???
後程、修正予定です。
昨日の雨は朝方に上がり、緑生い茂る木々に残る雨露がキラキラと光る爽やかな朝。
廊下を歩いていると。少し先に、一人の男子生徒を囲んでキャアキャアと騒ぐ女子達の姿が見える。
おーおー、朝からお盛んですなぁ…って、今ツッコんでくれる人居ないんだった。少し黙っておこう。
えーと、エルヴァが女子達に囲まれているのだ…けど。
じ、邪魔だ…!!
廊下の真ん中に集まっているんじゃないよ!周り見て、周り!通れなくて困ってる人が居るでしょ!?私も含めて居るでしょ!?…と、言う訳にもいかず。
…うーん。私のクラス、あの集団の先だし…どうしたものかなー。
ジッと、見ていた訳ではないのだけど。エルヴァの取り巻きの一人の女子生徒と目が合ってしまった。
な、何か言われちゃったりするのだろうか?(いや、私は何もしてないけどね)
彼女が口を開こうと、口を“あ”の形にした時だ。
スッと。私の斜め前に、スラリとした背の高い、ダークブルーの髪色の男子生徒が立った。あれ?この人…
「君達、通行の邪魔だ。話をするのならば他の場所でしてくれ。ここは廊下で、沢山の人が通るだろう事は認識していると思うのだが?」
「ス、スヴェン様っ!?」
やっぱり、スヴェン王子だ。
「申し訳ございません!」
「大変失礼致しました…!」
女子達は驚きながらも両脇に避けて道を開け、スヴェンに謝罪の言葉を述べていた。
エルヴァは…と、言えば。
「スヴェン殿下、申し訳ありません。お嬢さん方との話に夢中になってしまい、他の方々の迷惑に気づきませんでした」
うっすらと笑みを浮かべて、スヴェンに頭を下げた。本当に反省してんの?と聞きたい位の上品さだ。
「いや、私は今来たばかりだ。だから、謝罪をするのならば先程から、ここに居た者達にするのが良いだろう」
あっ、王子余計な事を言った!
エルヴァとの接点は無かったのに…!!
どうする?回れ右をしてダッシュする?…いや、それでは返って怪しいな。それなら、素知らぬ振りでササッと通り過ぎてしまえばいい。
エルヴァが廊下に居た生徒に謝罪(と言っても、自分より家の身分が下な生徒ばかりだったので軽い謝罪だ)し、道を開け、通れないでいた生徒はスヴェンにお礼を言って通って行く。
私も今の内に…と、スヴェンに『ありがとうございます、スヴェン王子』と言いながら通り過ぎようとしたら…。
すれ違いざまに手を掴まれた。誰にって?
「エレン、待ってくれ」
スヴェンに。
「は、はい?何でしょうか?」
スヴェンは何故か拗ねたような顔をしている。
「この前、話した事を覚えているか?」
「え?ええ、勿論ですわ」
「ならば、何故そんなに余所余所しい態度を取るんだ?」
人が周りに沢山居るからですよ!…って言っても無駄そうだな。
「すみません、スヴェン先輩。まだ、慣れなくて」
ヘラっと笑って誤魔化す。
「…そうか、それならば仕方ないな」
スヴェンもまた、小さく微笑んだ。周りにいた女子達から『きゃあ』と声が上がった。私もそちら側なら貴重すぎる氷の王子の微笑みを見て、喜んで声を上げていただろう。
「へぇ…驚いたな。君はスヴェン殿下と親しいのかな?」
エルヴァが『珍しいものを見た』と言いたげな表情を浮かべながら私に問い掛けてきた。
「さ、さあ?どうでしょう?あっ!私、急いでいたのでした!スヴェンお…先輩、私はこれで失礼します!」
「そうか。またな、エレン」
「は、はい」
ちょっと強引だったかもしれないが、私は逃げる事にした。
競歩並の速さ(走ってないよ!)で、二人の前から立ち去った私の後ろ姿を…
「ふふっ。あからさまに逃げられると…追いかけてみたくなるね?」
「? エルヴァ、何か言ったか?」
「いいえ、何でもありませんよ。殿下」
一瞬。獲物を狙うかのような目をしたエルヴァが、ジッと見ていたなんて事を、私が知る由はなかった。
“ここまでのストーリーをセーブしますか?”
→YES
NO
…遅刻はしなかったのに、朝からめっちゃ疲れたわ。セーブポイントで体力(HP)も回復してくれないかなー?……って言うかセーブポイントどこよ?