表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/124

【第21話】ヒロインさんはツンデレでした

 水中に避難した朝霧だったが、その後結月が水中にまで追いかけにきた。結月は昔からのカナヅチで泳げないため、朝霧を追いかける途中で水没した。

 そのため朝霧は結月を助けたのだが──、


「……絶対に手離さないでよ!」


 朝霧は、少し涙目の幼なじみ──結月の手を握りながら海を歩いていた。なぜこんな状況になっているかと言うと、結月いわく『人に恥ずかしい思いさせた償い』らしい。

 しかしこれでは自分が泳げない……。が、結月はそんな朝霧の気持ちなど気にもとめず一所懸命ばた足をしている。


「ん? そういやお前いつもの髪型じゃねーな」


 このとき、朝霧はいつも髪をロングにしている結月が、ポニーテールにしているのに気がつく。可愛らしい身体(幼児体型)にはかなり似合ってると思った。

 ──が、結月は「今更……」なんてことを言いながら不服そうな顔をしている。

 何か間違ったことでも言っただろうか……?


「あっ……でもポニーテールの方が可愛いぞ」


 朝霧が、ご機嫌をとるため褒めると「ほ、本当!? …………ならこれからポニーテールにしようかな」と、結月が顔を赤らめながら言った。

 最後らへんの言葉は聞き取れなかったが、機嫌が良くなったのなら安心だ。にしてもなんで女の子は、見た目を気にするのだろう……。結月はなんだかんだ言って優しいし、普通に可愛いんだから普通に自身を持っても良い気がするが……。

 ふと、そんなことを考えているとビーチから声が聞こえてくる。


「はやて~。砂のお城作った~」


 それはファンの言葉だった。朝霧は、ふとファンの方を見る。

 と、朝霧は無意識のうちに目が釘付けとなった。いや、フリフリの水着を着たファンにというわけではない。その横にである。

 と、言うのもファンの横にはベタなお城が建築されていたのだ。それも、かなりバランスのとれた物で、どこかのネズミランドの城の縮小版のようにも思える。あまりの出来映えの良さについ体をビーチの方に向けた。

 ──つまり手が結月から離れた。


「ちょっ……ハヤ……っ!!」


 恐らく約束を破った朝霧のことをぶっ叩こうと思ったのだろう。その際バランスを崩したのか、結月の体が頭から水中へと溺れていく。

 ──やばっ!!

 朝霧は、勢いよく水中へ潜り結月を抱きかかえる。いくら彼がバカで体力少なめとは言え、一応高校の体育はこなせるだけの体力はある。この程度の救出作業は簡単だった。

 結月の小さい体をしっかり抱きしめ素早く浮き上がる。


「ぷはぁ……。大丈夫か?」


 怒られることを覚悟で結月に話しかける。いや、下手をすれば殺されるかもしれないのだが……。


「…………」


 が、結月からは返答がない。

 なんでだろうと思い結月の方を見る。そこで、水着姿の結月を朝霧が抱きしめていることに気がついた。


「わっ……ご、ごめん!」

「あ、謝るなら離しなさいよ! バカ!」


 抱きしめたまま謝るバカがどこにいるんだ。と、自分につっこみを入れる。


「は、離すぞ?」


 いきなり離して、また溺れられても困る。とにかく確認してから離そう。そう思い彼は聞くが──、


「あっ……待って! あの、その……足がつったからもう少しこのままで」


 朝霧は「えっ……」と、動揺する。

 殺される覚悟さえできていた人間にとって、このお願いは完全に不意打ちとなったのだ。

 すると、「だめ?」と少し上目遣いで結月が聞いてくる。

 結月の意外──というより、予期せぬ行動に圧倒され、朝霧は「別に良いけど……」としか答えられなかった。

 真夏の日差しのせいなのか、それとも少し運動をしたからなのか。とにかく朝霧の心臓はバクバクと破裂寸前であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ