第9話 昔の事
どうも皆様、こんにちは。カナデです。
今回のお話は今までになく長くなっておりますが、それでも楽しんでいただけたら幸いです。
今回は下校中のシーンの続きとなっております。
それでは、お楽しみくださいませ。
2人は他愛のない事を話しながら、川辺の道を歩いている。
といっても、主に奈々さんが昔の話をしているだけなんだけどね。
僕がよく通る通学路には、「樹上川」という川がある。
中くらいの規模の川で、流れも緩やかなので、僕もこの川が好きだった。
「そうそう、2人でよくここの川辺で遊んだりもしたのよ?」
ふいに奈々さんがそう言った。
そのおかげなのか、僕は少しだけ昔の事を思い出した。
「そういえば、奈々さんが転んで怪我をした時に僕が泣いてる奈々さんを家まで連れて行った事もあったよね。」
何気なく僕が言うと、奈々さんは嬉しそうな顔をする。
「思い出してくれた?」
奈々さんは無邪気に目をキラキラさせている。
「少しだけ、ね。」
僕がそう言うと、少しだけ悲しそうな顔になる。
「そっか。まあ、だんだん思い出してくるよ、きっと。」
少し悲しそうに微笑みながら、奈々さんはそう言ってくれた。
またしばらく無言で歩いていると、不意に
「一つ、気になる事を聞いてもいいかな?」
と奈々さんが不満そうな顔をして言った。
僕は内心、少し驚いたが、
「うん、いいよ。」
と平静を装いながら答える。
「なんでずっと『奈々さん』ってさん付けで呼んでるの?」
奈々さんは不満げな表情でそう聞いてきた。
そういえばなんでだろう、と少し考えた。
だけど理由が思い浮かばなかったので、
「なんとなく、なのかなぁ…。」
と、気の利かない答えになってしまった。
「じゃあさ、昔みたいに『奈々』って呼んで?」
奈々さんは、上目使いでそう頼んできた。
その仕草に、不覚にも僕はドキッとした。
「うん、分かった。」
半ば無意識のうちにそう答えると、奈々さんは嬉しそうな顔をした。
「じゃあさ、今呼んでみてよ。」
と、今度はいたずらっ子のような表情を浮かべながらそう言った。
「…え?今…?」
僕は恥ずかしくて、そう質問する。
「じゃないと、証明にならないでしょう?」
奈々さんは、表情を変えずにそう答えた。
「分かったよ…。」
僕は半ばやけになってそう言った。
「な…奈々…。」
僕は恥ずかしさを懸命に堪えながら、小さな声で呟くように言った。
「聞こえないよ。もう一回。」
奈々さんはいたずらっ子のような笑みでそう言った。
「奈々」
今度は聞こえるようにはっきり言った。
―その時の僕の顔は、とても赤くなっていたであろう。
―でも、奈々さんの顔も、僕に負けないくらい、とても赤くなっていた。
如何だったでしょうか。
この話を書いている時にふと思ったのですが、そういえばもう片方の小説は全く更新して無いんですよね…。
もしかすると、このまましばらくの間更新しないかもしれません。
ですが、また暇があったら書いていこうと思います。
それでは、また次の話でお会いしましょう。




