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俺はしがない高校球児  作者: 猫帝
三章、我等はしがない無名校
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10/12

顧問登場

 総合体育大会の日がやって来た。今日は近隣校の運動部はそれぞれ各学校に分けられ試合を行い、運動部以外の学生はその応援に当てられる。どこの応援に行くかは自由に決められるが移動費等は各自持ちなため、多くの学生は自分たちの学校で応援を行う。

 また試合形式は野球部の様に一定数の試合を行うところもあれば剣道などはトーナメントを行うといったようにまちまちであり、これはこの体育大会が今日一日しかないための措置である。



 野球部は比較的近い城西高校での試合ということで6時半に城北高校に集合、軽くアップを行い、7時半に出発という予定である。開会式は8時半であり城西には自転車で30分程で着くはずだが時間に余裕を持たせるため、このようになった。



 軽い練習を終え全員が出発準備を行っているとジャージを着た女性が歩いて来た。

 それを見た、主将は全員を集め整列させた。


「え~と、今日は先生も……応援に行きます……え~と、はい……頑張ってください……」

 後ろに対し長く伸ばした前髪から覗く目はあちこちに飛び、明らかに挙動不審でこちらが可哀想になってくるぐらいに弱々しく、ビクビクしながら言う。

 また170cmの長身を精一杯小さくしようと肩を窄め、ジャージの上からでもハッキリと分かる大きな胸を隠すように前で腕を組んでいる。しかしそれが余計に胸を強調させ、視線を集める結果となってしまっていることに本人は気付いていないのだろう。


 なんというか……これはこれで。

 とんでもなく失礼なことを考えつつも、ふと疑問に思い隣に立つ先輩に尋ねる。


「誰なんですか、あの先生?」

「太田は初めてだったか。ウチの顧問の三澄先生、二年の英語を教えている」

「……いたんですね、顧問」

「まあ、形だけだけどな、一応は。みっちゃん、男が苦手らしくてね。女子高に女子大と箱入りだったらしいし」

 少なくともここ一週間の練習には来ないことから分かるように、本当に形だけの顧問なのであろう。見た目からして進んで運動部の顧問なんてしそうにないので、押し付けられたのだろう。

 

 新人はどこも大変だよな、と同情してしまう。


「あんなんで授業とかは、大丈夫なんですか?」

「授業中は意外と普通だな。とりあえず、男子についても座ってる分には安心出来て問題ないらしい。後は、休み時間に女子が聞きに行くと丁寧に教えてくれる。……そして、男子が行くと居留守される」


 ……どうやって。



 そうして挨拶を終えた先生は早々に立ち去って行った。一応、バットなど重いものは車で運んでくれるらしく、部員たちとしても大いに助かった。


 そうこうしているうちに時間が過ぎ、城西高校には予定より10分ほど遅れてしまったが、開会式前には問題なく到着することが出来た。

 開会式もつつがなく終わり、この後に今日の試合の抽選が行われた。


 城北野球部は9時からの第一試合で相手は葵坂高校ということになった。葵坂はこの辺りでは唯一の体育科のある高校ということで運動部全般が総じて強い。野球部も強豪校とまでは行かないがベスト8に名を連ねることも多く、7年前には甲子園にも出場している。

 城北にとっては格上となり、また自分たちの今の実力を測る上では丁度いい相手とも言える。

 その為、スターティングメンバーにはベストメンバーを揃え、交代も含め基本的に公式戦を意識したものになると事前に主将より連絡があった。

 

 三澄先生も言葉通り応援に来てくれ、今はかなえとあかりに挟まれ若干元気を取り戻しているように見える。

 荷物を車に取りにいった部員達に囲まれたときは本気で泣きそうになっていたので、とりあえずは安心した。



 そして、両校が整列し試合が始まった。


感想・ご指摘・質問等ありましたら、よろしくお願いします。

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