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親を探す旅に出ただけなのになぜ世界を救うことに…?  作者: 黄昏の大陸
第3章 少年編 ~傭兵団の仕事~
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第13話 北の領都

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 西の領都ヴェストからイストリア国に四つある領都の一つ北の領都セーヴェルの領城の謁見の間に転移したソティアスは困惑していた。


 ……なんだろこの状況? どうしてこんな事になったのかな? 領主代理のリュシン・ロータスさんって確か……領主のリュセ・ロータス大将軍の実弟だったはず。


 そう呟いたソティアスの眼前には……領主代理リュシン・ロータスを始めとする近衛兵、執事、侍女からメイド等の領城で働く全ての者が跪き懇願していた。


 ソティアスが謁見の間に転移すると其処には、城で働く者全てが集まっていて話し合いをしていた。

 その中心部に突如と現れたソティアスに全員が驚き騒ぎになったが素性がわかったリュシン・ロータスが皆を落ち着かせた。

 ソティアスの姿を見たリュシン・ロータスは、約束を破った自分と領城を破壊しに来たと思い込んでいたが話し合いに着た事を知り心底安堵した。


「約束を破った理由を聞きに参りました」


 リュシン・ロータスは悩んだが話す事に決め話し始めた。

 結局ソティアスは、ここでも長い話を聞かされる事になり……またもや同情してしまった。


 リュシン・ロータスは、イストリア国建国以来北の領地を任されてきた名門中の名門ロータス家の現当主であり領主のリュセ・ロータス侯爵の実弟に当たる人物である。

 北の領地にある村町街のすべての代表がロータス一門が関わっており王家であろうとなかなか手を出す事が困難な場所の一つだ。

 が! ロータス家は武門の家であり軍事は得意だが内政が出来る者がいない男も女も脳筋の家柄であった。

 脳筋の家には何故が脳筋が集まって来るのでロータス一門には、内政が出来る者がいなかった。

 内政が出来る者がいなかったら領地経営が出来る訳ないのだが建国以来の名門を潰す訳のも行かないので、これ幸いと王国から内政の出来る者を派遣し領地経営を行いロータス家を監視・管理を何百年と行ってきた。

 ロータス家はそれを苦々しく思っていたが自分達で領地経営を行なうと破綻するのが分かっているので口を出す事が出来ずにいたのだがロータス家にリュセ・ロータスの弟に麒麟児リュシン・ロータスが生まれる事により全てが変わってきた。

 リュシン・ロータスは、よわい六才にして全ての学問を習得してしまった。

 剣術、魔術の才能が全くなかったが学問だけで言えば歴代でもトップであり知識の神に愛された男と噂された。

 しかし、王国側からするとそのような者に北の領地の経営をされると王国から人を派遣し監視、監督が出来なくなり王国の派遣料としての収入が減る為に困ってしまい解決策を考える事になった。

 王国が考え出した対応策は異例であった。

 いくら才能があったとしても六才の子供に宮廷伯の爵位を授け王宮で働かせる事に決めたがその企みに先代ロータス侯爵が野生の感で気がつき王宮からの使者が到着する前にリュシン・ロータスを領主代理に任命してしまった。

 リュシン・ロータスの領主代理への任命を聞いたハイマート・レイノ・イストリア国王は、顔に出さなかったが激怒していたが本当の意味で怒っていた人物がいた。

 その人物は、リュシン・ロータスの五才年上の学校に通っている兄リュセ・ロータスだった。

 まだ六歳の弟が北の領地の領主代理であり実質の領地経営の責任者になった事を僻み逆恨みをしていた。

 学校でも弟の人気があがり面白くない兄は、弟の無い事ばかり噂を流し人気を急降下させた。

 リュセ十五才、リュシン十才の時領主だった父が急死した。

 表向きは病気で死んだ事になっているが真相は、暗殺だった。

 暗殺した人物は現在も分かっていないが捕まらない理由が噂されていた……噂された人物は国王ハイマート・レイノ・イストリアとリュセ・ロータスの名前だった為に誰も追及できなかった。


 暗殺? あの国王ならやりそうだけど……リュセ大将軍は、話をしたことあるけど詳しくは知らないし……もしかすると、とも思うし


 ソティアスが内心で考えていたがリュシンの話が続いていた。


 先代の後を継ぎ北の領主と侯爵、大将軍となったリュセ・ロータスが最初に行った事は、領地内のいる王国から派遣されている役人を追い出す事から始めた。

 追い出すだけでは国王の怒りを買うので税金を多めに納める事で納得させた。

 優秀であったリュシン・ロータスでも王国から派遣された役人がいたからこそ領地内の全てを行なってこれたのに全てを一人で行う事になる。

 周りの者は、リュセのリュシンに対する嫌がらせだと全ての者が内心思っていた。

 

 役割的には西の領地の領主代理アル・アーシェルと同じ領主代理だが仕事量は何倍もあった。

 北の領地には、まともに内政が出来る役人がいないのだがら領地経営の全てを一人で行なわなければならなかった。

 少しでも仕事の量を減らす為に内政を出来る者を自分で育てるとリュセによって奪われて王宮に連れていかれていた。

 リュシンに好きな女、付き合い始めた女、婚約が決まった女が出来ると必ずリュセが現れて無理やり奪っていった。

 その為にリュシン・ロータスは、現在も独身だった。

 リュセは、定期的に領地内の隅から隅までリュシンの悪い話を流していたが領地内の全ての人誰一人として本気で信じる者がいなかった。

 

 リュセ・ロータスが北の領都セーヴェルに戻っていたときにグリフォス・レイノ・イストリアの反乱がおき領地内の事は何も指示をせずに領軍の一部を連れて王都に戻りそれから一度も領都に戻って来ていないそうだ。

 グリフォス・レイノ・イストリアの命を受けた王軍が北の領地に侵攻し領都以外の村町街を制圧し人質に取られリュシン・ロータスは降伏勧告を受け入れた。


 ……同情はするけど……アル・アーシェルさんもリュシン・ロータスさんも話が長い。別に子供時代の話は関係ないでしょうに! それにしても……


「リュセ大将軍って、本当に今の話のことをされているんですか?」

 その場の全員がソティアスの顔を見て頷いた。


 嘘みたいな話だが本当みたいだね! 


 ソティアスが呟いていると謁見の間に集まっている人の中から泣き始めている者がいたので聞いてみると王国軍に家族が人質に取られている為に朝になると兵をイサーラ村に向かわせなければならないそうだ。


  リュシン・ロータスは、兄リュセ・ロータスに対して思う所はあるが恨みが無いので兵を送ることを躊躇っているが人質になっている領民の事を思うと兵を送らなければならない為に話し合いをしていた所にソティアスが転移してきた。


「ソティアス殿、何が方法はございませんが?」

「……村等にいるのは、王国軍だけですか? 盗賊はいないのですか?」

「報告では盗賊のたぐいはいないようです。王国軍のみの様です。何故、盗賊がいると為なんですか?」

「僕がやる事をするのに盗賊がいると略奪行為などが起きると思います」

「略奪行為が?」

「ええ、領都の様な大きい場所なら二~三日位なら大丈夫なんですが村等の小さい場所では窮屈な生活になるので必ず起きます」

「窮屈ですか?」

「領都に出入りが出来なくなります。いえ、領地内の全ての村町街も出入りできなくなります」

「それくらいなら……構いません。お願いします」


 ソティアスは、リュシン・ロータスの返答に頷いてから領都の外へ転移し出入りが出来ない様に封印した。

 北の領地内にある全ての村町街を封印し出入り出来ないようにする為に回った。


 領地内の全てを封印し終わったのでイサーラ村に戻った。

 義父リキド・フォルティスとリュセ・ロータスの話を心にとどめたままに……


 ソティアスがイサーラ村の族長邸に戻るとグランツ、ミール、エスト、ラピス、リキド、リュセ、オスターと数人の兵士の姿があった。


 ソティアスの姿を確認したグランツが最初に口を開いた。

「ソティアス殿、どちらへ?」

「アル・アーシェル殿とリュシン・ロータス殿と話をしてきました」

 ソティアスの言葉にグランツが何がを言う前にリキドとリュセが怒気を帯びた言葉で話し掛けてきた。

「ソティ! もちろん殺してきたんだろうな? 親友の俺を裏切ったんだからな!」

「そうだ! まさか実の弟に裏切られるとは思わなかったぞ!」


 何言ってんだ? 降伏した理由も知らないで!


「いいえ、僕は、話し合いをしてきたと言いました」

「話し合いをする余地は無いだろう! 我々を裏切り偽王に付いたんだぞ!」

「ああ、必ず攻めてこの手で首を落してやる!」


 リキドとリュセの剣幕にその場にいた全員が困惑していた。

 いや、ソティアスを抜かした全員が……

 二人の剣幕を見たソティアスはイライラしてきていた。


 ……アルさんとリュシンさんの気持ちも知らないで言いたい放題……二人が受けてきた仕打ちを考えると最初から反乱に加担していてもおかしくなかったのに……


 ソティアスが内心で考え中の最中もリキドとリュセのアルとリュシンに向けての罵声が飛び交っていた。

 イライラを募らせていたソティアスは、とうとう我慢の限界を迎えてしまった。


 まだ、言い足りないのがソティアスに詰め寄りながらいまだにアルとリュセに対して言っていたが、拳を握り目の前にいたリキドの鳩尾に正拳突きを食らわせて頭が下がったところに頬を思いっきり殴った後にリュセに対して同じく殴った。

 その光景を見ていた兵士が剣を抜いて襲てきたがソティアスは、刀を抜いて剣を全て切り落とし襲ってきた兵士を全て蹴り倒した。


「ソ、ソティ君、一体何を?」

「ソティ、何をそんなに怒っているの?」

「……」

ミールとエストの言葉に反応する事無くソティアスは、リキドとリュセの二人を睨んだままだった。

 殴られた二人は一瞬困惑したがすぐに立ち上がりソティアスを睨み返し言葉を発した。


「ソティ! 何故いきなり殴った!」

「ソティアス! 理由を聞こうが!」


 二人の言葉に一度瞳を閉じ開いてから少し怒気を含んて、アル・アーシェルとリュシン・ロータスに聞いた話を全員の前で大まかに語った。

 

 ソティアスが語り終わりその場にあったのは、リキドとリュセに対して身も凍えそうなほど冷たい視線と項垂れている二人の姿だった。


「わかりましたか? 二人は裏切りたくて裏切ったわけじゃないのです。裏切るなら最初から反乱に参加しています。アルさんとリュシンには二人を恨む理由がありますから」

「お父さん、本当にそんな事を?」

「子供の頃だけじゃなく大人になってまで……」

 ミールとエストも最低な父親を見る目で見ていた横からグランツが口を開いた。

「リキド大将軍もリュシン大将軍も上級貴族ですから妻の二人や三人は義務みたいなところはありますが人の恋路を邪魔して横から全てを奪っていくのはどうかと思いますよ?」

 グランツの言葉に二人は見苦しくもいい訳を始めた。


「グランツ様、違います。そんなつもりはなかったのです。私とアルは親友ですよ?」

 まずリキドから……

「父様、なら何故親友の初恋の相手を奪ったのですか? アルさんの為じゃなっかのですか?」

「さ、最初は、君の事が好きな奴がいると声をかけたのだが、その子は俺の事が好きだった、と」

「だから自分が付き合った、と? それは、親友を裏切る行為では? それに何故、アルさんが好きになった女の子ばかり狙ったんですか?」

「子供の頃の俺とアルは、色々な物で競っていたんだ。だから女の事でも……」

「アルさんは、競っているつもりはなかったみたいですけどね……子供時代の事は百歩譲ってそうだとしても結婚したアルさんの奥さんにまで手を出そうとした理由は? その頃ってミール姉様が生まれていましたよね?」

「……一年の殆んどを王都と領都にいたから寂しくって、つい。俺の好みのタイプだったから……イルマに似ていたし……」

「お父さん! 最低!」

「うん、最低! お母さんに言うからね!」

 エストとミールに次々と攻められて撃沈したがソティアスの追及が止まらなかった。


「女性の話はここまでにして……父様は何故に領地経営に参加しなかったんですか?」

「! 参加していたぞ!」

「はい、領都の民の声だけ! 聞いていた様ですね」

「そうだ! 領都の民の声を聞いてアルに指示をしていたんだ。領都が良くなれば西の領地全てが良くなるからな!」

 

 本気でそんな事を思っていたのか……何もしないなら口も出さなければいいのに


 ソティアスが小声で呟くとそれが聞えたグランツが口を開いた。


「全くです。リキド大将軍あなたは、領地経営に参加するべきではないです」

 グランツに強い口調でそう言われたリキドは思いっきり俯いてしまったが何が悪かったのが分かっていなかった。


「グランツ殿ここは私が……父様の考え方は間違っているのです」

「どういう事だ?」

「領都が良くなっても他の領地内の村町街はよくならないのです」

「どうしてだ! 領都が良くなれば周りも良くなるだろ?」

「……良くする為に父様は、領都の税金を引き下げましたよね?」

「ああ! 税金を引き下げれば領都に人が集まる商業が潤う工業が潤うからな」

「税金が下がれば人が集まる……その人は、何処から来るのですか?」

「決まっているだろう! 領地内の村町街からだ!」

「分かっているじゃないですが、なら領都以外の村町街の人口が減りますよね? 人が減ったからと言って税金を上げる訳に行かないし元々領都は人口が多かったから他の村等に比べて安かった税金をさらに安くしてしまうと西の領地の税収は減る事になるし王国に納める税金も減ります。そうなると領主失格の烙印を押されるのは父様ですよ? そうならない為に寝る間も惜しんで働いているのに……褒められるのは、何もしていない父様、憎まれるのはがんばっているアルさん……よく耐えていると思います。アルさんがいなかったら西の領地は当に破綻していました」

「しかし、アルは、領主代理だ! 領地内の事で頑張るのは当たり前だろ!」

「そうですね、そうだと思います。アルさんを領主代理に指名したのは誰ですか?」

「俺だ! 出世できたんだから本人も喜んでいるだろ?」

「……アルさんの夢は、筆頭宮廷魔術師になる事です。現筆頭宮廷魔術師のオスター・グリフさん、魔術師の夢である出世とは何ですか?」

「宮廷魔術師もしくは、筆頭宮廷魔術師になることです」

「……」

「父様わかりますか? あなたはアルさんの夢を潰したんです。本来ならここまでやられて恨まない人はいませんよ? でもアルさんは全然恨んでいないのです。一戦もしないで降伏したのだって家族が人質にされて仕方が無くなんです。アルさん……僕に向かって、ずっと泣いていましたよ!」

「……」

 

 これで少しは、アルさんの事を考えてくれたらいいんだけど……どうかな?


 リキドの話が終わり次は自分だと思ったリュセは、身構えた。


「父様ばかり責めるのも酷なので平等に行きますね?」

「……気を使わないで結構だ!」

「いえいえ、遠慮しないでください」


 ソティアスは、リュシン・ロータスに聞いた話の全てを話すと全員、言葉を失い固まってしまった。


「リュセ大将軍、あなたは、自分の弟にそんな仕打ちを……」

「グランツ様誤解です。私はそんなつもりでおこなってはいません」

「しかし、事実ですよね?」

「……はい」


 グランツの言葉にリュセは、すべて認めた。


「お二人を殴った理由分かって頂けましたか? アル・アーシェルさんは、家族を……リュシン・ロータスさんは、領地の全ての民を人質に取られた為の降伏だったんです。それを理由も知らないで二人をあそこまで責めるとは、……二人は、酷い仕打ちを受けたにも関わらず恨みは無いと言っていたんですよ?」

「……」

「……」

 流石にリキドもリュセも言葉を発する事ができなくなった。

 

 全てを話し終わったソティアスにグランツが話し掛けた。


「ソティアス殿、二人は攻めてくるんですか?」

 ソティアスは首を振り説明した。

「いいえ、領都から出られないようにしてきましたから攻めては来ません。攻めてくるのは、王国軍と禁軍だけです」

「東と南の領軍は攻めて来ないの?」

 ラピスの言葉にソティの代わりにグランツが答えた。

「攻めて来ない、と言うが攻めて来られないよ! 内乱は、他国に知られているから東と南両軍が隙を見せると攻めて来るからね」

「なら北と西は?」

「ここから西に国は無いし北は、北で戦争をしているから攻めてくる余裕はないよ」

 グランツの言葉に全員が納得した。


「ソティアス殿、王国軍はいつ到着しますか?」

「いえ、現在攻めて来る部隊はないです。なので、こちらから攻めましょう」

「攻勢に出る時ですか?」

「ええ、こんな内乱は、すぐに終わらせましょう」

「わかりました。……総兵に連絡二時間で準備を終わらせて東の平原に集合せよ!」

「ハッ!」

 その場にいた兵士全員が部屋から出てイサーラ村中に伝令を始めた。




 最後までお読み頂き有難うございます。

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