最終話 立場激変
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「お父さんどういう事? ソティ君どうなっているの?」
「わからない……城壁の上から魔術を放ったかと思うと……落ちてきたんだ」
「その時に気が付かなかったの?」
「……足を滑らせて落ちてきたものだと……」
「姉さん……」
「エストは、何が知っているの?」
「ソティ、私を転移させたときに魔力がもう無いって言ってた」
「魔力が無いって……魔術を放って盗賊達を倒したでしょ?」
「ソティは、生命魔力って言ってた」
「生命魔力!」
「自分の命で魔術を放つと」
「俺にも言ってた。イサーラ村で、竜を倒したり、村の人達、盗賊、魔獣魔物を燃やしたりしていた。少し寝ていたが魔力が全然回復しなかった」
「お父さん! 何故、止めなかったの」
「ソティは、大丈夫だと」
「お父さん! エスト! 生命魔力って命その物なのよ! 生命魔力で血液が流れるし心臓が動くし脳を動かしているから……生命魔力を使い切れば死ぬの当たり前でしょ!」
「「……!」」
王都を救ったのがソティアスと知った人達が集まって来たが死んでいる事に気が付き少しでもソティアスと付き合いのあった者達は、悲しみをあらわにしていた。
「「「ソティ」」」
「ソティ君」
「ソティアス殿」
リキド、ミール、エスト、王妃、ラピス、そして……孤児院の子供達が悲しみに包まれていたその時……ソティアスが神々しい光を放ちその場の全員が目を眩んでしまった。
「こ、この光は!」
「知っているのミール姉さん?」
「この光を見たのは、2度……ソティ君を見つけた時、お爺様に殺されそうになった時」
「今回で3回目? ソティに何が起きる時に光るのかな?」
「分からないけど……そうなのかも」
皆が見守る中、光は収束されていきソティアスの体の中へ入って消えてしまった。
「ソティ君?」
「……ん」
ミールが声を掛けるとソティアスが反応した。
「ソティ君?」「ソティ?」
「ミール姉様? エスト?」
「おおおおおおぉぉおぉおぉおおお――――」
「おお生き返った」
「奇跡だぁ――――」
歓喜に沸いている中で、顔を青ざめている集団があった。
「「「「「あ、悪魔だ!……」」」」」
「アンデッドだあ!」
「ゾンビ――――」
「な、何を言っている」
「死んだ奴が生き返る訳ないだろー」
「そ、そう言われてみたら……そうかも」
その場に居たらよくないと思いリキドは、ソティアスを連れて家の中へ連れて行った。
「お父さん、何あれ?」
「……集団催眠だな」
「おそらく……最初に騒いだ人達が門を開いた盗賊達の内通者だと思います」
「ソティ、本当か?」
「証拠はありませんけどね」
「どうするの? この状況?」
「このまま騒ぎになると王宮から警備隊などが来ると思います」
「来たらどうなるの?」
「さあ、来てみないとわかりません」
ソティアスは、普通に話をしていたがラピスは、気になっている事を聞いた見た。
「ねえ! ソティ……なんで、眼を開かないの?」
「……眼は……”古竜”の”無属性大息吹”に焼かれて……失明しました。あと……悪い事に治療しないで、ほっといたら瞼がくっついで開かなくなりました」
「そ、そんな……治癒魔術は?」
「僕の治癒魔術では、失った部位は、回復できないです。……それに、”無属性大息吹”を食らった後に”治癒”を掛けましたが発動しませんでした」
「なぜ?」
「おそろくとしか言えませんが……”無属性大息吹”の毒が治癒魔術を阻害しているとしか思えません」
「「「「「……」」」」」
家の中は沈黙に包まれているが家の外では、騒がしかった。
暫くすると騒がしかった外が静かになった。
「王宮からの使いが来たようですね」
「えっ!」
リキドが外に出ると警備隊はもちろん王都憲兵とその中央に国王陛下も来ていた。
「おお、リキド・フォルティス大将軍、この度は大義であった」
「ははっ! しかし此度は、我が息子、ソティアスが功績が大きいかと思われます」
「……」
「イサーラ村の住民を助け、襲撃者を全て倒しその足で、王都に戻り盗賊共を倒しました。此れほど功績は無いかと思います」
「……そうじゃの……たしかに功績は大きい……」
「はっ!」
しかし、国王陛下の態度がおかしいのに気がつきリキドは、聞いてみた。
「……何がございましたが?」
「……これじゃ!」
国王は、リキドに手に持っていた手紙を渡した。
「これは?」
「先の襲撃者の1人が兵士に手渡し余に渡せと言って来たようじゃ」
「読んでもよろしいですか?」
「かまわぬ……皆に聞えるように声に出して読むがよい」
「はっ!」
その手紙に書かれていた事は、『今回のイサーラ村と王都イプハールを襲撃した理由は、ソティアス・フォルティスが居た為である。ソティアス・フォルティスを王都イプハールから追い出すまで続けるつもりだ。追い出せば、襲撃を止めるつもりだ。ソティアス・フォルティスを1人で、王都イプハールから追い出す事、誰も付いて行かない事を返答とする。確認できたら襲撃を止めようと思う……英断を期待する』
リキドが手紙を読み終わるとソティアスは、「やっぱり、そう来たか」と呟いた。
「陛下これは?」
「手紙の通りである。罪人ソティアス・フォルティスを此処へ」
「はっ!」
「陛下!」
「陛下、ソティアス・フォルティスを連れてまいりました」
「よし……危うく其方の所為で王都イプハールが滅ぶところであった。イサーラ村は、其方の所為で滅ぼされた様じゃかな」
「……」
「ソティアス・フォルティス、一応見様によっては、其方が英雄に見えなくはないから身分は、平民とし罪人、奴隷の身分には落とさないでおいてやる。有難く思えよ!」
「陛下! こんな奴にまで、情けを掛けられるとは素晴らしいです」
「……」
「もちろん、ラピスとの婚約も破棄じゃ……其方に傷つけられた慰謝料をもらおうか」
「お父様!」
「まず、各種指輪を外し、”お金カード”を奪え」
「はっ! ”成長記録カード”は、どうしましょう」
「ギルト関係は、王とて手を出す事が出来ない事になっておから放っておけ。紋章師」
「はい」
「此の犯罪者の”身分記録カード”の変更を頼む」
「はい、いかように」
「フォルティス家の養子関係を取消、持ってる奴隷の破棄、土地と建物を接収し身分を平民に」
「お父さん! 何とかして」
「陛下、それではあまりです」
「犯罪者として処刑されないだけ儂の優しさと思え」
「陛下!」
「陛下、完了しました」
「よし、その者が着ている服を抜かせるのじゃ。その服は、元々王宮から貸し出したものじゃからのう」
「はっ!」
「陛下!」
「リキド・フォルティス大将軍、分かっていると思うが誰一人として付いていくことはまかりならん」
「陛下、しかし、ソティは、眼が見えないのですよ!」
だからなんじゃ? 付いて行こうとすれば、フォルティス家はお家お取りつぶしの上、反逆者としてフォルティス家3代すべて処刑いたす」
「なっ!?」
「構いません。父様……いえ、リキド・フォルティス大将軍閣下、お別れです」
「早く王都から出て行くのじゃ」
「ソティ君」「ソティ」
「……」
「失礼致します。リキド・フォルティス大将軍閣下、ミール・フォルティス様、エスト・フォルティス様、そして、ラピス・レイノ・イストリア王女様、皆様もお体にはお気を付けて頂きたいと思います」
「「「「……!」」」」
ソティアスは、体力が落ち魔力も無く眼が見えない体で、さらに下着のみで服も武器も無く、完全なる無一文で家を街を追い出されてしまった
街の北門に到着するまで、人々から「犯罪者」「悪魔」「お前の所為でいっぱい死んだ」等言われながら石をぶつけられた。
家から城門まで、歩いて5分の距離だが今のソティアスは、一時間以上掛かった。目が見えないので道がはっきりと分からないし街の人達に足を引っかけられて転ばされたりと嫌からせをされながらなので、時間が掛かってしまった。
石をぶつけていた者の中には、ソティアスが助けた人族の子供達、奴隷達の姿があった。当人達は、周りの空気に流されておこなった事だがソティアスは、気配で何となくわかっていたので、短い間ではあったが家族として過ごしてきたのにと悲しくなったがその時、犬人族のメリスが大声で怒鳴った「あなた達止めなさいソティアス様が居なかったら私達、奴隷になっていた者や殺されていた者も居るのに恩を仇で返して恥ずかしくないの?」言い終わった後、メリスは、兵士に止められてしまった。
ソティアスは、メリスの言葉に少し嬉しくなったがメリスの立場を悪くする訳にはいかないので、声を掛ける事はしなかった。
やっとの思いで北門に到着し何処に行くが悩んだが東に向かう事にした。
最後まで石をぶつけてくる者がいたが、ソティアスは石をぶつけられることよりも助けたはずの人々がぶつけて来る事に悲しかった。
2km程東に歩くと盗賊二人が待ち受けていた。
「やっぱり待ち伏せですか……人数が少ないと言う事は、イサーラ村の方へ行くと思っていたようですね」
「まあな、仲間をよくも大勢殺してくれたな」
「どんな気持ちだ? 助けた奴に追い出されるのは?」
「別に……何となくこうなる事は、わかっていましたし」
「「ほう!」」
「なら、此処で死ぬ事も分かっていたのかな?」
「……」
「眼が見えないようだし……魔術も使えないお前に何が出来るかな」
「……」
「実際は、此処では、殺さねえよ……アジトに連れて行って皆で嬲り殺しだ」
「ここでは、殴るだけで我慢しておいてやるぜ!」
「それは、ありがとうございます」
「へらず口も其処までだ」
盗賊が殴りかかってきた最初の攻撃は避ける事が出来たが2撃目は避ける事が出来ずに殴られて後ろへ吹っ飛んでしまった。
「ぐぅ……」
「へっどうした? さっきまでの強がりは」
「おらよ!」
「まだまだ」
ソティアスは、殴られたり蹴られている間に意識が遠のいた。
気絶する寸前、争うような声を聞いた気がしたがソティアスは、気を失ってしてしまった。
どれくらい気絶していたが分からなかったが、ソティアスは、焚き火の音と男女の話し声で目を覚ました。
「うーん……」
「あっ、お兄ちゃん! 起きたみたいよ」
「起きたのか? しかし目を開いていないようだが」
「……ここは、あなた方のアジトですか?」
「アジト? 違うよ……ここは、街道から少し入った所だよ」
「……あなた方は盗賊じゃないのですか?」
「……ああ、お前を襲っていた奴らは、俺が倒しておいた」
「あなたは?」
「覚えていないのか? 俺の事」
「どこかで会いましたか? ……! あなたは、フレトゥム」
「正解!」
「僕を殺しに? いや、殺すなら助ける必要ないですね」
「正解! お前本当に子供か?」
「ええ、2~3日前に7才になったばかりです」
「マジか」
「ええ……ところで、僕に何か御用ですか?」
「ああ……その前にお前目をどうかしたのか?」
「ええ、貴方と別れた後に”古竜”の”無属性大息吹”に焼かれて眼を失明しました」
「!? もう見えないのか?」
「今は、見えません」
「今は?」
「ええ、必ず欠損した部位を回復できる魔術を覚えて見せます……あなたに殺されなければです」
「俺の用事を伝えて置く……俺はあの時、お前が見逃してくれなければ死んでいた」
「……」
「それを妹に話をしたら……お礼を言わなければ駄目だと言われてな……お前を探していたらあの場面に……と言う訳だ」
「お前は、俺に礼を言われても嬉しくないと思うがな」
「お兄ちゃん?」
「俺は、こいつの……母親を殺したんだ」
「!}
「……まだ、死んでいません。心臓が止まる前に仮死状態にしましたから」
「お前は、本当に凄い魔術師なんだな」
「……今は、全然魔力が無いですけどね」
「回復しないのか?」
「ええ、生命魔力も使い切り一度死んでいますし、”無属性大息吹”の毒の所為で回復が遅れていますので」
「そんな状態のお前がどうして。あんなところにいたんだ!」
ソティアスは、此処までの経緯を話した。
「ひどい!」
「ああ、本当に酷いな。英雄扱いするなら分かるが犯罪者扱いか」
「お前は、此れからどうするつもりなんだ?」
「此処は、どの辺りですか?」
「お前が襲われていた場所から東へ3kmの位置だ」
「2km北へ行くと山があります。その山の滝へ……滝行を行ないながら体力と魔力の回復と新しい魔術を覚えようと思います」
「……」
「……お兄ちゃん!」
「……分かった。俺がお前の護衛をしてやろう。俺の実力は知っているだろ?」
「……盗賊のあなたが何故、僕の護衛を?」
「……俺は盗賊じゃない……傭兵だ!」
「傭兵ですか……見ての通り僕に報酬を払う事はできません。無一文で放り出されましたから」
「報酬はいい……いや、何年後でも構わないが俺の仕事を2~3度手伝ってくれ」
「人殺し等の闇の仕事ならお断りですよ」
「そんな仕事じゃない……普通に傭兵の仕事だ! 人殺しの仕事はもうしない」
「……分かりました」
「よし! 改めて自己紹介しようぜ……フレトゥム・カティーア16才で、こっちが妹の」
「ルチル・カティーア6才です。よろしくお願いします」
「ソティアス7才です。家名は無くなりました。あなたも家名を捨てたんじゃないんですか?」
「ああ、あの仕事は、俺の本意ではなかったからあの仕事中だけ捨てていたんだ」
「もう寝ましょう! ソティアスさんも寝てください……私達が守りますから」
「……有難う御座います」
翌朝3人は、滝に向かって歩き始めた。
5年後
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