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親を探す旅に出ただけなのになぜ世界を救うことに…?  作者: 黄昏の大陸
第2章 少年編 はじめての冒険からイサーラ村の試験……そして
33/48

第19話 イサーラ村壊滅と王都襲撃

 最下層から8時間掛けて戻って来たソティアス、エスト、ミナの3人が洞窟を出て最初に見た光景は、まるで……地獄のような光景だった。

 「な、何これ? ソティ君」

 「……」

 3人が見たイサーラ村は、魔獣魔物と盗賊達に襲われていた。

 「ソティ……なんで、盗賊と魔獣達が一緒に襲ってくるの?」

 「多分……盗賊の中に召喚士と魔獣魔物使いが居ると思う」

 「それにしても……この数、異常だわ」

 「うん……目算で一万」

 「ソティ、魔術は?」

 「大丈夫、洞窟から出たら使えるようになってる」

 「なら、皆を助けに行こう」

 「そうだね、ミナちゃんは、大丈夫?」

 「うん、私も行く……大丈夫」

 「わかった……行こう」

 ミナが歩き出し後ろを見せた時にソティアスは、ミナに転移魔術を展開した。

 「ソティ君? 何これ?」

 「ごめんね、ミナちゃんが居ると……足手纏いになると思うから王都の僕の家に転移させるから」

 「ソティ君、そんなの酷いよ」

 「転移した先にミール姉様と父様が居ると思うから伝言をお願い……イサーラ村は、おそらく壊滅します。生き残りは、転移させますのでお願いします。僕は、なるべく盗賊、魔獣魔物の数を減らしてからエストと共に転移しますので、イサーラ村には来ないで結構です。王都にも攻めてくる可能性がありますので門を全て閉じ警戒するようにと……皆をお願いしますと伝えて下さい」

 

 「……ソティ君とエストちゃんも後から必ず来るのよね」

 「はい」

 「なら、待ってる。いいたい事いっぱいあるからね」

 「はい、全部聞きます。では、王都に転移させます」

 「うん」

 ソティアスは、ミナを王都へ転移させた。


 「ごめんね、エスト……本当は、エストも転移させたかったけど……僕一人では、流石に無理があるから付き合ってもらうよ」

 「もちろんよ。私を転移させたら後で酷いわよ!」

 「それは怖いね……さあ行こうか」

 「了解」


 まず、ソティアスが高台の上から村人に襲い掛かっている一団に向けて”火矢ファイアアローシャワー”で、100人ほど倒し村人の元へ向かった。

 「大丈夫ですか?」

 「ソティ君? 有難う大丈夫だ」

 「軽傷な人だけですね……今から王都へ送ります」

 村人の返答を聞く前に転移させた。その間にエストが10体のゴブリンを斬っていた。

 「倒しながら、族長邸へ向かうよ」

 「わかったわ」

 族長の邸宅に向かう際に盗賊、ゴボルト、ゴブリンを”水玉ウォーターボール””火玉ファイアボール””旋風フウァールウインド”を連続で放ち村人が居ないのを確認してから”酸雨アシッドレイン”で一気に3000体ほど葬った。

 エストもかなりの数を葬ったがあまりにも数が多いので減った様には思えなかった。

 西地区から中央地区まで、ソティアスとエストの足ならば全力疾走すれば5分程の距離なのだが魔獣などを倒しながらだと1時間近く掛かってしまった。

 やっとの思いで族長の邸宅に到着すると遅かったみたいで盗賊とゴボルトに囲まれていた中心部に数人倒れていた。

 ソティアスは、其処へ”風切ウィンドカッター”を放ち全ての敵の首を切り落とした。

 「! ソティアス様、エスト様、助かりました。ありがとうございます」

 「オブリーさんでしたが、大丈……」

 ソティアスは、周りを確認しながらオブリーと話していたが、倒れていた人物を見て話を途中で切ってしまった。

 「お爺様? オブリーさん」

 「……はい、族長様は……もう……」

 「そうですか……」

 ソティアスとオブリーが会話している最中にも次々と襲って来ていたが全てエストが切り倒していた。

 「オブリーさん母様を見ませんでしたか?」

 「イルマ様は、一度此処に来ましたが、1人でも助けると言って出て行かれました」

 「どちらの方へ行ったが分かりますか?」

 「東地区の教会の方へ行かれました」

 「分かりました……建物の中にも人はいますか?」

 「はい、30人ほど……」

 「全員を呼んで下さい」

 「はい」

 オブリーを含めて35人を転移させて、東地区へ向かった。

 「母さんいないね」

 「本当に……何処に行ったのかな?」

 「教会まで行ってみる?」

 「うん、教会にも避難している人がいると思うから」

 「そうね」

 2人は、話しながらも魔術と刀を駆使し魔獣魔物を倒していく

 「ねえ、ソティおかしくない? かなりの数を倒しているのに全然減っているように感じないんだけど」

 「あ、気が付いた?」

 「どういう意味?」

 「さっきから探知魔術を使っているけど盗賊の数は減っているけど魔獣魔物の数が減っていない」

 「えっ!?」

 「次々と召喚なり転移させてきていると思う」

 「どうするの」

 「……転移陣の破壊と召喚士を倒すしか……」

 「転移陣の場所分るの?」

 「全部で4ヵ所、教会の裏、雑貨屋の横、練習に使っていた剣術道場の裏、西地区と南地区の境目の公園の中……召喚士はまだ見つかっていない」

 「了解、私は、教会と剣術道場を行くわ」

 「なら僕は、雑貨屋行ってから公園のを壊しに行くよ……無事に破壊に成功したら僕の方から行くから適当に倒して待ってて」

 「……うん」

 2人は別れて行動する事にした。


 ソティアスが雑貨屋の前に行くと盗賊の1人が転移陣を守るように立っていた。


 「へぇーあの御方が言ったように転移陣を狙ってくる者が現れたが」

 「あの御方?」

 「ああ、こっちの話だ気にしないでくれ」

 「そうですか? もしかして、その御方の名前って……カタル、カース、ナギっていいませんか?」

 「……」

 「沈黙は是なり……ですよ。この村に来ているのですか?」

 「……村には来ていない」

 「なるほど……村には来ていないって事は、村の見える範囲には来ていると」

 「ぐぅ……」

 盗賊はいきなり襲ってきたがソティアスは、刀で盗賊の剣を受け流しながら逆袈裟斬りで斬り伏せた。

 「……村の近場まで来ているのか……取り敢えず魔方陣を破壊して次に行くか……」

 雑貨屋の横にあった転移陣を破壊しもう一つの転移陣のある公園に向かいながら魔獣魔物の群れを倒して行き公園に到着した時に何者か達が戦っているのに気が付いた。

 「! 誰が戦っているみたいだけど……この村の人達は、全員、剣が魔術を使えるから戦おうと思えば戦えると思うけど……」

 誰が戦っているが気になりながら公園の中に入ると其処で盗賊達と戦っていたのは……母イルマを含めた5人であった。

 「! 母様?」

 イルマの元へ駆けつけようとしたソティアスであったがイルマを襲っている盗賊の中に洞窟の最下層で会ったフレトゥム・カティーアを見つけると体中から汗が吹き出した瞬間に見た物はフレトゥムがイルマを斬りつける所だった。

 フレトゥムはイルマに4撃斬りつけた。一撃目で、杖を持って居た左手を斬り落とし2撃目に左手を斬り落とし3撃目は、心臓に突きを放った。本来ならそこで終わりなのだがフレトゥムは、首を切り落とそうとしていたが……ソティアスが本気で放った”風切ウィンドカッター”が間に合いフレトゥムを後方へ下がらせる事に成功しイルマの元へ走った。

 

 「! なっ! お前もう最下層からもどってきたのか?」

 「! ソティすまん俺達が弱いから」

 ソティアスは、フレトゥムとその場にいた全員の言葉を無視しイルマの横に駆けつけた。

 「かあさまー! かあさま――――――――――――――」

 「……ソ、ソティ? …………」

 「母様! しっかり……して……ください」

 「わ、わた……しは、……もう……」

 

 「ガキがー! 人の死ぬところを見たくないのなら出て来るんじゃねぇ――――――」

 「ばか、ヤメロー」

 フレトゥムの後ろにいた盗賊の1人が襲い掛かって来たがソティアスは、見もしないで、”火矢ファイアアロー”を放ち襲ってきた盗賊の首を吹き飛ばしその場にいた敵味方関係なく唖然としていたが、ソティアスは、今までの口調ではありえない命令口調で村人の4人に声を掛けた。

 「四人共、死にたくなければ俺の傍に固まれ!」

 ソティアスを知っている村人達は、驚いたがその命令に逆らうことが出来ずに大人しくソティアスの周りに固まった。

 フレトゥムは、嫌な予感がしたので仲間に逃げるように声を掛けようとしたが間に合わなかった。

 ソティアスは、今までない聞いた事の無い冷たい口調で、本気で魔術を放った。

 「”酸雨アシッドレイン”」

 ”酸雨アシッドレイン”が降り終わった後に残っていたのは、ソティアスとイルマと村人の4人そしてフレトゥムの7人しかいなかった。

 「「「「!」」」」

 「な! なにー」

 生き残っていた者が驚くのは、無理はない……何故ならその場の7人以外何も残っていなかったからだ。そう盗賊、魔獣魔物も骨も残らず消えて、其処が公園であったと言っても誰も信じてくれないであろう草木が一本も生えていなかったからだ。

 「す、凄まじいな……此処まで圧倒的な魔術見た事が無い」

 「……あなたもよく……生き残れましたね」

 「ボロボロだかね」

 「まだ、やりますか?」

 「……いや、此処は、引かせてもらおう」

 フレトゥムが離れて行くのを確認しソティアスは、イルマに向き合った。

 「母様!」

 「……ソティ……ほんとうに……すごい……まじゅつ、ね……」

 「……母様……死なないで……」

 「……ご……ごめんね……もう……」

 村人達もその光景を見てどうしていいのかわからずにいた所へエストが駆けつけてきた」

 「わー何これ! ソティ何があったの?」

 「エスト……母様が」

 「母さんが? えっ!」

 エストは、母イルマが倒れているのに気が付いた。

 「かあさん?」

 「エ……エスト?」

 「うん、かあさん」

 「ごめんね……もう……リキド……ミール、に……よろしくね」

 「かあさん……ソティ……”中級治癒ハイヒール”は?」

 「……此処まで酷いのは、無理……中途半端に回復させると……余計に苦しむことに……」

 「なにかないの?」

 「……」

 「エ、エスト? ……むり……を……いわない……の」

 「かあさん……」

 「かあさま……」

 ソティアスとエストは、どうしていいが分からずに涙を流していると村人達が話をしていた。

 「俺達にもっと力があれば、イルマを守れたのに」

 「俺達がイルマに守られていたじゃないか!」

 「そうだな」

 「せめて、時間が戻れば……」

 「……! 時間が戻れば?」

 

 ソティアスは、時間が戻ればの声に反応した。

 

 「? どうしたのソティ?」

 「……時間が戻れば?」

 「!? 時間戻せるの?」

 「いえ、時間は戻せません」

 「そう……」

 エストは、がっかりした顔をしソティアスを見たが……ソティアスの顔には希望が見えたかのように満ちていた。

 「な、なに? ソティ?」

 「可能性を見つけた」

 「可能性?」

 「うん、どんな魔術を使っても時間は戻せない」

 「? うん」

 「時間は戻せないけど……時間を止める事なら出来る」

 「……時間を止めても母さんは……」

 「母様の時間を止める……」

 「……?」

 「見てて」

 エストは、よく分かっていなかったがソティアスは、イルマに話し掛けた。

 「母様……母様を助ける事の出来るかもしれない可能性を見つけました」

 「……」

 イルマは、もう声を発する事が出来なくなっていたが瞳には、ソティアスの言葉に反応していた。

 「今の僕には、母様を助ける事が出来ません」

 「……」

 「しかし、数年後、母様を助ける事が出来ます。言い切りますが……必ず出来ます」

 「……」

 「今から母様を氷で固めて仮死状態にして時間を止めます……」

 「……」

 「僕を信じてくれるなら一度瞳を閉じて下さい」

 イルマは躊躇なく瞳を閉じ開けるとソティアスを見つめた。

 「ありがとう母様、暫くお別れです。エスト……」

 「うん、母さん……又会える日まで、おやすみなさい」

 イルマは、エストに目を閉じて答えた。

 「おやすみなさい母様……いきます……”氷結フリージング”」

 「ソティ」

 ソティアスとエストの前には、氷に包まれて眠っているイルマの姿がそこにはあった。


 「ソティ……早く母さんを眠りから覚まさせてあげようね」

 「……うん」

 ソティアスは、俯いたまま返事をしてからイルマを指輪に収納してからその場にいた村人の4人を転移させた。

 「「……」」

 「……エストの方の転移陣は破壊できた?」

 「……うん、もちろん、問題なく」

 「……後は、残っている村の人達を転移させて敵を倒し……召喚士を倒すだけだ」

 「……だけって、かなりの仕事量だと思うけど……」

 「まあね」

 ソティアスは、軽く笑いながら答えた。その笑顔を見てエストは安心していた。

 「よかった!」

 「えっ!?」

 「ソティ元に戻ったみたいで」

 「戻った?」

 「うん、さっきまでのソティ……今までで一番怖かったよ」

 「そう? ごめん」

 「いいよ、まず教会に……かなりの人が避難していたから」

 「! 教会の裏に転移陣があったのに大丈夫だったの?」

 「教会は襲われていなかったよ」

 「わかった。教会に行こう」

 教会に行くとかなりの人数が避難していた。

 軽傷の者は、そのまま転移させ重症の者は、”中級治癒ハイヒール”を掛けてから転移させた。教会にいた全員を転移させた。

 「ソティ……魔力は大丈夫?」

 「……まだ、大丈夫」

 「魔力が無くなる前に転移するわよ」

 「……うん」


 その後も探知魔術で村人を探し転移させ重症人を回復させてから転移させた。

 盗賊を倒して、魔獣魔物を倒しいくと夜になり……朝日が昇り始めていた。気が付くとソティアスとエストは、一昼夜戦い続けていた。

 「ハアハアハア……フー……エスト大丈夫?」

 「何とか……ソティは?」

 「僕も大丈夫……生きている人は……もういないみたい……敵もあらかた倒したし……」

 「そう……そろそろ……私達も……」

 エストが転移する? と言い掛けた時、轟音のような雄叫びが無数に聞えてきた。

 「「「「「グルアアアアアアアアアアアアアア!」」」」」

 「な、何の声?」

 「気を付けてエスト……かなり危険なのがくる」

 ソティアスがエストに忠告した時、雄たけびの主が姿を現した。

 「! ”黒竜ブラックドラゴン”?」

 「何故此処に?」

 「……召喚」

 「えっ!?」

 「これで、転移できなくなったね」

 「どうして?」

 「こんなのを置いて逃げたら王都まで追いかけて来るよ」

 「……」

 「ここで倒すしかない……付き合ってもらうよエスト」

 「も、もちろんよ……いくわよ」

 「了解」


 エストが先に「”黒竜ブラックドラゴン”に刀で斬りつけたが……刀が折れてしまった。

 「えっ!?」

 「エスト! 一度引いて」


 エストを後退させるとソティアスは、自分の刀の”名刀氷河”を手渡した。

 「これは、ソティの刀? これも折れるんじゃない?」

 「やって見ないと分からないよ」

 「そうね」

 エストは、もう一度”黒竜ブラックドラゴン”に斬りかかった……すると”黒竜ブラックドラゴン”の足を切り落としてしまった。ソティアスは、倒れた”黒竜ブラックドラゴン”に”土槍アースランス”を放ち心臓を打ち抜き倒した。

 「……凄い刀ね」

 「本当に……この調子で行くよ」

 「了解」

 ”黒竜ブラックドラゴン”を倒しながらもソティアスは、探知魔術を使っていたが3体目を倒した時についに召喚士を見つけた。

 「! いた」

 「えっ! だれが?」

 「召喚士!」

 「本当? 何処?」

 「気が付いていない振りして」

 「分かったわ」

 ソティアスは、”黒竜ブラックドラゴン”の裏に隠れて、召喚士から自分を見えないようにして”風切ウィンドカッター”を放った……召喚士が気が付いた時には遅く……首を刎ねて仕留めた。

 「倒したの?」

 「ええ、倒しました」

 ソティアスが言い切った後、空一面に魔法陣が浮かび上がった。


 「ソティ……あの魔法陣は何?」

 「あれは、召喚の魔法陣? 召喚士を倒したら自動的に発動するようになっていたみたい」

 「何を召喚するつもりかな?」

 「分からないけど……]

[あの魔法陣破壊できないの?」

 「無理かな……あれは、生命魔力で書かれてい居るから」

 「生命魔力?」

 「文字通り……自分の命と引き換えに魔力を魔法陣に変換しているから……破壊するには、僕の残りの魔力では足りない」

 「召喚されるのを待つしかないのね」

 「そう言う事」

 

 空を割るような雄叫びをあげながらその物は現れた。

 「また、竜? それにしても大きいわね」

 「ま、まさか……」

 「何? 知っているのソティ」

 「……”古竜エンシェントドラゴン”」

 「強いの?」

 「”黒竜ブラックドラゴン”の10倍以上」

 ソティアスは、答えると同時にエストに転移魔術を展開させた。

 「! ソティ、転移するなら一緒に」

 「……ごめん、エスト……僕の残りの魔力は1人を転移させる分しか残っていないんだ……」

 「……!? そんな、ソティ……なら私も残るよ」

 「……イサーラ村で起こった事をミール姉様と父様に報告しといて、僕も後から行くから……」

 「だって、ソティ……もう魔力ないんでしょ?」

 「魔力は残っていないけど……魔術は使えるんだ……」

 「…………! まさか……さっき言っていた……生命魔力?」

 「正解……エスト、後でね」

 「…………」

 エストは、何がを言おうとしていたがソティアスは、その前に転移させた。

 「この場を切り抜けても……後から殺されそうだな」

 ソティアスは、何故がその場で暫く笑っていた。

 「さて、生命魔力があるって言っても……少しは、魔力が回復させるために休憩するかな」

 

 と考えていたが、誰かがソティアスとエストを呼ぶ声が聞えてきた。

 「えっ! ……まさか……父様?」

 

 「ソティー、エストー、どこだぁー」

 「父様、来たら駄目だァ――――――――」

 「おおー其処に居たかソティ」

 「リキド様、上」

 リキドは、兵士が指さす方を見るのと同時に”古竜エンシェントドラゴン”は、おもいっきり息を吸っていた。

 「ま、まさか”無属性大息吹ブレス”父様、みんなー逃げろー」

 ソティアスが父リキドの傍に来るのと同時に”古竜エンシェントドラゴン”は、”無属性大息吹ブレス”を放ってきた。

 「ぐぅ、間に合えー! ”水壁ウォーターウォール””土壁アースウォール””風壁ウィンドウォール””火壁ファイアウォール”」

 ソティアスは、一瞬遅れたが生命魔力で次々と4属性の壁を作り何とか防いだ。”無属性大息吹ブレス”が終わったのを見計らって、ソティアスは、今の自分で放てる一番の魔術を放った。

 「”隕石炎槍メデオフレイムランス”」を唱えると同時にソティアスは倒れてしまったが遥か上空から炎を纏った槍の形を隕石がイサーラ村に降り注いだ。

 ”隕石炎槍メデオフレイムランス”が終わった後には、”古竜エンシェントドラゴン”も”黒竜ブラックドラゴン”も残っていた全ての敵を駆逐していた。

 倒れているソティアスにリキドと兵士が集まって来た。

 「ソティ……大丈夫か?」

 「……な、なんとか命は……助かりました。それより、父様、何故来たんですか! 伝言を聞いていないのですか!」

 「な! 幾らご子息とは言え大将軍に向かってなんで口を聞くんだ。助けに来たというのに」

 「! 助けに? あなた達が来なければ、”無属性大息吹ブレス”を受ける事もなかったんですよ!」

 「防げていたじゃないか!」

 「あなた方の所へは、です」

 「どういう事だソティ? 何故目を開けない」

 「……目の中を焼かれました。もう……目は見えません」

 「「「「「!?」」」」」

 「す、すまん……リキド大将軍が君を心配していたことは分かってくれ」

 「……いえ、僕も言い過ぎたみたいです。すみません……此処で色々あったので気が立っていたみたいです」

 「いろいろ?」

 「周りを見て下さい」

 ソティアスに促されて周りを見ると地獄のような光景に皆絶句していた。村人の死体はもちろん、襲って来ていた盗賊、魔獣魔物の死体死骸合わせて3万弱が転がっていた。

 「こ、これを……ソティとエストが? そう言えばエストはどうした?」

 「エストは、王都へ転移させました」

 「そうか……ならなぜお前は、転移しなかった?」

 「転移する魔力が残っていなかったのとあんなのをそのままにできませんから」

 「魔力が無いってさっきの魔術は?」

 「……生命魔力を使いました」

 「な!?」

 「生命魔力って何だ?」

 「馬鹿! 生命魔力って自分の命、寿命を使って魔術を使ったんだ」

 「へぇーそれは、大変だ」

 「馬鹿がお前は、俺達は、こんな子供の命を削った魔術で生き延びたんだぞ……俺達は、助けに来たところが助けられたんだ」

 「!」

 兵士の中には、事の重要さが分かっていない者もいた。


 「そんな事は、どうでもいいです。何故、伝言を無視して此処へ?」

 「……暫く待っていたが襲ってくる者もいなかったし、探知魔術を使える者に確認したら王都の周りには盗賊が居なかったので、此方の助っ人に来たんだが」

 ソティアスのリキドの言葉を聞いて額を抑えてながら

 「父様……僕前に言いませんでしたが、王宮の中に反逆者がいると」

 「そう言えば、しかし」

 「……」

 「どうした?」

 「今、探知魔術を使いました……王都も襲われています。此方ほどの勢力ではありませんが」

 「な、急ぎ戻らないと」

 「「「「「おう!」」」」」

 それをソティアスが制した。

 「待って下さい」

 「? どうしたソティ」

 「王都は、暫く大丈夫です。ここで、手伝って下さい」

 「何を?」

 「村の人達と盗賊、ゴブリン、コボルトの死体を別けて集めて下さい」

 「なぜ?」

 「今のイサーラ村は、邪気に覆われています。このままにして置くと……アンデッドとして蘇ります」

 「どれくらいの期間が分るか?」

 「一日位です」

 「……わかった。最初に此方を片そう」

 「隊長! 先に王都に行くべきです。王都を救ってから此方に」

 「本気で言っているのか? 俺の息子とは言え……7才になったばかりの子供が命まで削って全てを倒したのを無駄にするのか!?」

 「しかし……」

 「此処にこの村出身者が居ないから言える事だな。ソティは、生まれてからこの村で育ち村の人達と生きてきたんだ。そのソティにゾンビとは言え村の人達を殺すと言えるのか! ソティが居なかったら俺達もその仲間入りだったんだぞ……せめて、ソティの頼みを聞いてやろうとは思わないのか!」

 「わ、わかりました」

 「父様……父様は、僕を馬に乗せて村中を走って下さい」

 「なんでだ?」

 「魔獣魔物の死骸を回収します。特に竜を……せっかくの戦利品を逃す手はありません」

 ソティアスは、30分ほどで、全ての魔獣魔物の死骸を回収し終わった。

 ソティアスは、魔力を回復させる為に眠りに入ってから5時間後全ての村人と盗賊、ゴブリン、コボルトの回収が終わった。

 「ソティ、回収が終わったぞ」

 「……分かりました」

 「どうだ……魔力は、回復したか?」

 「……駄目ですね。全然回復していません」

 「何故だ?」

 「……生命魔力は回復しにくいのかもしれません。後、”無属性大息吹ブレス”の毒が回復の阻害をしているとしか……」

 「集めた死体はどうする?」

 「連れて来た兵の中に魔術を使える人はいないのですか?」

 「いない」

 「……僕しかいないのですね」

 「ああ、だが」

 「……燃やすだけですからそんなに魔力は、使いません」

 「無理するのよ」

 「ええ」

 

 ソティアスは、積み上げられた死体の前まで来ると暫し黙祷し死体が置かれている地面に”地溶テーラディザァルヴ”を唱えて村人の死体を全て穴の中に落としてから”フレイム”を唱えて村人の死体を燃やし骨一つ残さないで全てを灰にした。”アース”を唱えて穴を埋めて灰を閉じ込めた。少し山なりにし慰霊碑を建てた後、盗賊、ゴブリン、コボルトの前に進み”フレイム”を唱えて灰にし”ウィンド”を唱えて灰を散らした。

 「村人には、慰霊碑を建てて、他には厳しいですね」

 「流石に襲ってきた人に慰霊碑を建てるほど僕は、優しくありません」

 「「「「「……」」」」」

 「さあ、王都に戻りましょう」

 「今から間に合うと思うかい?」

 「……まだ、門は一つも開いていません」

 「わかった急ごう」

 「「「「「ハッ!」」」」」


 ソティアスは、村を出る際に慰霊碑に向かって、「みんな、ありがとう……さようなら」お別れを言った。

 「ソティ……」

 「急ぎましょう。父様」

 「ああ、ソティは、眠って魔力を回復させろ」

 「はい」

 

 王都まであと1時間の距離で、ソティアスは目を覚ました。

 「起きたか」

 「はい」

 「魔力は?」

 ソティアスは、首を振った。

 「駄目か」

 「はい」

 

 リキドは、話を替えようとした。

 「エストは、無事に王都に転移させたし……イルマも無事で王都に居るんだろ?」

 「……」

 「どうした?」

 「……母様は……」

 「イルマは……死んだのか?」

 「……いいえ、死ぬ一歩手前で、氷に閉じ込めて仮死状態にしてます。今の僕では、助ける事が出来ないので……」

 「そうか、わかった……もういい……危ないけど生きてはいるんだろ?」

 「はい」

 

 暫く沈黙していたが、王都まであと10分の距離で、ソティアスは、口を開いた。

 「父様、急いで下さい」

 「何があった?」

 「予定より早く北門と西門が落ちました。内通者が援護したみたいです。おおよそですが盗賊の数700」

 「わかった……全員急ぐぞ!」

 「「「「「ハッ!」」」」」

 

 ソティアスは、探知魔術で常に確認していたが……ついに家の前まで盗賊が襲って来てミールとエスト、警備をしていた兵士と魔術師が応戦していた。

 何故がラピスも戦っているのに気が付きソティアスは、焦っていた。

 「父様、早く」

 「何を焦っている? ソティ」

 「ラピスが家の外で戦っています」

 「何? ラピス王女か? 何故?」

 「わかりません……あ!」

 ラピスが転んだ所へ盗賊の1人が剣を振り落とそうとしていたが、全員助けに行ける距離には、いなかった」

 「ラピス! ”火矢ファイアアロー”」

 その場にいた全員が思った事は、届く訳ない、届いたとしても間に合う訳ないと……しかし、今まで誰も見た事の無い勢いで飛んでいき、ラピスに剣を振り落とそうとしていた盗賊の頭を吹き飛ばした。

 「どうなった?」

 「ラピス……間に合った……良かった……」


 「隊長! 着きました。何処の門から入りますか?」

 「ソティ! どうする?」

 「いえ、真っ直ぐ行って城壁の下に付けて下さい」

 「? 何をする気だ?」

 「……お願いします」

 「……分かった」

 

 リキドは、ソティアスの勢いに負け言うとおりにした。

 城壁の下に着くとソティアスは、馬の背に立ちリキドの肩に足を乗せ城壁のうえに立ち探知で全ての盗賊の位置を確認してから魔術を放った。

 「”流星矢メテオールアロー”」

 ソティアスは、探知魔術で確認し全ての盗賊の頭を吹き飛ばしたのを安心すると城壁の下にいる父リキドの元へ崩れ落ちた。

 リキドは、驚いたが無事にソティアスを受け止めて馬の背に乗せ北門から街の中に入ると立っていた者達は何があったのが分からずにその場に佇んでいた。

 リキドも見かけた盗賊の頭が吹き飛んでいる事に驚いたが今は、ソティアスが気にしていたラピスの元へ急いだ。

 リキドが家の門に到着した時、やはりミール、エスト、ラピスを含めて全員呆けていたが、父リキドの姿を見た時にソティアスの魔術であると確信し安堵しリキドの傍まで歩き始めた。

 リキドもミール達が歩いて来るので馬を止めてソティアスと待ち受けようとしたが……ソティアスは、馬から滑り落ち地面に叩きつけられた。

 「ソティ――――――――――――」

 「きゃあ――――――――――――」

 「ソティ君!」

 全員が驚きソティアスの元に駆け付けてきた。

 ミールが確認すると

 「お父さん、エスト……ソティ君……息してないし……心臓が止まっているの」

 「なっ!」

 「えっ!」

 ソティアスは、”流星矢メテオールアロー”を放ち探知魔術で確認した瞬間に生命魔術も使い果たし心臓が止まり城壁の下に落ちたのをリキドは、足を滑らせて落ちたと勘違いしミール達の傍まで馬を走らせたのだ。

 

 街中では、歓喜に包まれていたが、一番の功労者が死んでしまった事を知っている者は、全員歓ぶことなどできずにいた。

 

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