第9話 王宮への道
細かい作業が残っているとはいえ一応家が完成した翌朝、ソティアスは目を覚まして唖然としながらも自分が寝ていた部屋を見渡して一度瞼を閉じゆっくりと瞼を開けてもその光景に変わらない事に溜息をついた。
「はぁー……何故全員……僕の部屋で寝ているのかな」
そう、ミールとエストの他に子供達45人全員とシスターまでソティアスの部屋で寝ていた。
ソティアスは、寝ている皆を起こさないように歩き部屋を出てから地下にある汚物処理室に向かった。
「トイレと厨房くらいは使えるようにしとかないと」
魔晶石を3個取り出し各石に加工魔術で浄化・清掃・消臭の魔力付与を其々に組み込んでから汚物処理室に置き戸を閉めてから開けられないように土魔術で壁を作り封鎖して1階の厨房に向かい魔晶石を2個取り出し1つに水を1つに火が出るように魔力付与を組み込み家を出て朝市に向かった。
「おはようございます」
「おう、おはよう、何にする?」
「卵50個、白いパンを100個、ミルクを50人分をお願いします」
「な!? そんなに……何に使うんだ?」
「何にって、もちろん食べますよ……教会の子供達と」
「ああ、教会の子供に……全部で4000マルテになります。支払いは魔石がマルテでお願いします。
「では、4000マルテを”お金カード”で、払います」
「ありがとうございます」
「また頼むよ」
「此方こそ」
次に雑貨の置いてある店に行きフライパン2つと皿100皿、コップ50個を買い入れて家に戻り厨房に入った。
「……朝食の準備でもするかな」
ソティアスは、49人分の朝食を作った。
朝食のメニュー
白いパン 2個
目玉焼き
肉
ミルク
「最初は、こんな所かな……皆を起こしてくるかな」
ソティアスは、食堂のテーブルに作った朝食を並べると2階の自分の部屋で寝ている全員を起こしに行った。
「皆さん、朝食が出来ました。起きて下さい」
「え!? ソティアス様、申し訳ありません。私が作らないといけませんでしたのに」
「シスターイサラ気にしないで下さい。時間がありましたので作っただけですので」
「次からは私がお作りいたしますので」
「本当に気にしないで下さい……皆を起こすの手伝って下さい。冷えてしまいますので」
「あ! はい」
ソティアスとシスターイサラは、全員を起こし食堂に集まり朝食を始めた。
「「「「「いただきます」」」」」
「「おいしいー」」
「こんなに柔らかいパン初めて」
「ミルク飲んだの初めて」
「ソティ君が作ったの?」
「はい、焼いただけですけど」
「材料は?」
「朝市に行って買って来ました」
「起こしてくれたら一緒に行ったのに」
「……そういえば、どうして皆、僕の部屋で寝ていたんですか? 同室とはいえ全員に部屋があたっていたのに」
「話し合いで最初の日だけ全員一緒に寝る事にしたの」
「……その話し合い僕知らないですけど……」
「ソティが寝るの早かったのが悪い」
「僕が悪いって……昨日は疲れていたんだけど……それより何故僕の部屋?」
「いやー……皆がソティの部屋で寝たいって言うから」
「……今日から自分の部屋で寝て下さいね」
「「「「「はーい」」」」」
「……さて、本題に入りますか」
「本題?」
「はい、此れから何をするかです。学校は、先生を見つけるまで無理ですから」
「私達が教えるのは?」
「言葉の分かる子はいいんですけど、分からない子を置いていくのはよくないです」
「ごめん。そうよね」
「先生は、早めに何とかするとして、今は何をするのかです」
「何って」
「僕達は、冒険者ですので依頼を受けていきます。他の皆は朝食後に家と教会の掃除をお願いします。その後は、今の所、教会以外で敷地内から出なければ自由行動でいいです」
「「「「「はい」」」」」
「トイレは使えるようにしときましたから」
「いつの間に?」
「買い物の前です」
「……」
「お掃除の方お願いします」
「「「「「はい」」」」」
「ソティ君、私達は?」
「ミール姉様とエストは、教会の掃除をお願いします。短いですがお世話になりましたから」
「ソティは?」
「僕は、残りの作業をします。昼食後出掛けますのでお願いします」
「分かったわ」
ミールとエストはシスターイサラと共に掃除をする為に教会に向かった。
ソティアスは、魔晶石を家、学校、作業施設に必要な魔力付与を施し外に出て敷地を囲うように土魔術で壁を作り教会側に門を作り、その手前に街の人々が何時でも水を汲む事の出来る水汲み場を作った。
「……完成……僕も教会に行くかな」
ソティアスは教会に行き神父にお世話になった事にお礼を言ってから市場に向かいパンと野菜を買い家に戻った。
「昼食は、パンと野菜スープでいいかな」
昼食の準備をして完成した物を食堂のテーブルに並べてから教会に皆を呼びに行って食事を始めた。
「いただきまーす」
「ソティアス様……私まで頂いてしまって」
「シスター気にしないで下さい」
「……ところでソティアス様……”お金”は大丈夫なのですか?」
「大丈夫ですよ”お金”も魔石もかなり余裕ありますから」
「そうですか……」
昼食後、ソティアス、ミール、エストの三人は出掛けることにした。
「ソティ君、何処行くの?」
「お城……父様の所です」
「父さんの所? 何しに行くの?」
「家を作った事と皆の事、学校の事を話をしておかないと」
「ああ、なるほど」
「あと先生をやってくれそうな人が居ないが聞きに」
「居たらいいね」
「はい」
などと話をしながら5等級地区から王城の1等級地区への道を歩いていた。
5等級地区、一般市民で基本の税金(12ヵ月に一度、15才以下1万マルテ、15歳以上2万マルテ)を払っている人用の地区であり教会、市場、市民用学校がある。
基本の税金を払えない人は、”6等級”に落とされて税金を払わないでいい代わりに王都の汚い仕事を強制労働をさせられる事になる。
4等級地区、王都にある商業、工業の殆んどとギルト関連の全てが此処にある。4等級地区には住宅がなく5等級地区の殆んどは此処へ働きに来ている。
3等級地区、上級市民(元貴族、貴族の名を継げなかった者、騎兵、警備隊、地方憲兵。)で、税金は、一般市民の10倍を支払っている。4等級地区にある商業、工業の雇われ経営者が多い。
2等級地区、上級貴族の分家、王都憲兵、商業・工業の経営者の下級貴族の住む地域。税金は収入の10パーセント。貴族用の学校がある。
1等級地区、王族、上級官職、地方の村・町・街の管理を任されている上級貴族の住む地域。税金は収入の20パーセント。父リキド・フォルティスが大将軍の為ソティアス、ミール、エストは、1等級地区の身分になる。
王宮、イストリア国の王様、王の家族が住み、イストリア国の全てを取り仕切っている場所である。税金の支払いは無い。
「2等級地区に入ると雰囲気が随分変わりますね」
「貴族の住む場所だからね」
「綺麗な場所だけど住みたいとは思わないわ」
「そう言う事言わないの。王都憲兵の人がみているでしょ」
「はーい」
「こっちに来ますよ」
「おい、お前達此処に何の用だ?」
「お前達の様な者が来る場所ではないぞ」
「すいません、僕達は、フォルティス家の者です。王宮に用があっていきます」
「フォルティス? お前達が王宮に何の用だ!」
「フォルティス!?」
「父に用があって行きます」
「お前達の様な一般市民の父親が王宮にいる分けないだろ!」
「お、おい……フォルティスって」
「お前は黙っていろ」
「いや……フォルティスってまさか」
「フォルティスなんで、何処にでもいるだろ」
「居ないって……少なくっても王都には、1人しかいない」
「1人って誰だ?」
「……大将軍」
「!? ……お前達の父親の名前は何だ?」
「「「リキド・フォルティス」」」
「「!?」」
「も、申し訳ありません。上級貴族様とは知らずに」
「私達って上級貴族なの?」
「エスト知らなかったの? 父様が大将軍になった時に上級貴族になったんだよ」
「そうなんだ」
「あ、あの……私達の処分は?」
「処分ってなんですか? 別にありませんけど」
「ありがとうございます。せめて王宮までご案内いたします」
「案内は、別に結構です」
「いえ、お願いします。案内させて下さい」
「分かりました。お願いします」
「「はい」」
王都憲兵の2人に案内をしてもらいながら王城に向かう際、何度が王都憲兵に話し掛けられながら王宮に着いた時、辺りを見ると王都憲兵が15人になっていた。
「ねえ、ソティ君……何これ?」
「……さあ」
「何の騒ぎだこれは!」
「ハッ! 此方の方は、リキド・フォルティス大将軍のお子様方です。大将軍にお会いしたいと言う事でご案内致しました」
「……理由は分かったが……この人数はなんだ?」
「此処に来るまでに増えまして」
「……申し訳ありません大将軍のお子様でよろしいですか?」
「「「はい」」」
「今、お呼び致しますのでお待ち下さい」
「お願いします」
王宮警備兵が王宮内に大将軍を呼びに行き……数十分後、王宮から父リキドが現れた。
「ソティ、ミール、エストお持たせぇえええええ――――――――――――な、なんだ……この人数は?」
「……父様……此処に来るまでに増えました」
「フォルティス大将軍、お子様をお連れ致しました」
「あ、ああ……ご苦労」
「ハッ! 有難う御座います」
「……解散してくれ」
「「「「「ハッ! 失礼致します」」」」」
王都憲兵の15人がそれそれの持ち場に戻って行った。
「一体何があってああなった?」
「2等級地区を歩いていたら呼び止められて……大将軍の子供って分かったら案内すると言われて」
「そ、そうか……まあいい……話があって来たんだろ?」
「はい」
「時間貰ったから家にいくか」
「はい」
1等級地区にあるリキドの館に行くとソティアス、ミール、エストの3人はあまりの大きさに驚いた。
「此処が父さんの家?」
「ああ、こんなに大きいのはいらないと言ったんたが……大将軍なら此れくらいないとダメだと言われてな」
「でも、何故……私達を呼ぼうとしなかったの?」
「……イルマが断った。子供達を上級貴族として育てたくないと」
「まあ、貴族は堅苦しそうですからね」
「……で、話とは?」
「5等級地区に家を建てました」
「え!? 家? 何故?」
「僕達が王都に来た時に一緒にいた獣人族の子供達覚えていますか? あの子達と一緒に住む家です」
「ああ、覚えているか……教会で世話になるんじゃないのか?」
「教会に居られるのは10日間だけです。その後は、どうなるか分かりますか?」
「大森林に送られるんじゃないのか?」
「大森林に行っても集落が襲われていますので誰もいないそうです。あの子達だけでは生きていけないと思います。また襲われると思います」
「そうかもしれないか……しかし……」
「父様は反対ですか?」
「いや反対ではないか……そう言えば家を建てたと言っていたが、あれから2~3日しか経っていないだろ早くないか?」
「そうですか? 僕が魔術で1日で建てました」
「な!? 1日?」
「はい、あと学校と作業施設も建てました」
「……全部1日で?」
「はい、見に来ますか?」
「……ああ、此れから行こう」
「此れからですか? 時間は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「今から出発しますか?」
「ああ」
リキドを連れて家に戻った。
「此処ですよ父様」
「……本当に此処を1日で作ったのか?」
「ええ、建物だけなら1日です」
「そんな事、王宮にいる宮廷魔術師にも無理だろ」
「宮廷魔術師には必要ないですよ建物を建てる魔術なんて」
「……ソティは、宮廷魔術師になる気はないのか?」
「ないですね」
「……何故?」
「興味ないですし、僕が今やるべきことは裏切り者のカタル、カース、ナギの3人を捕まえる事です」
「もういいんじゃないかあの3人の事は」
「いいえ、僕の予感ですがそろそろ村の宝を狙って襲ってくると思います」
「イサーラ村は、全員が戦う事が出来るから生半可な人数では落とす事が出来ない事はあの3人も知っていると思うか」
「あれから約3年……村の緊張感はありませんから、油断している今が一番危ないと思います」
「……しかし」
「僕の単なる予感ですから信用してもらえないのは別に構いません……この話は此処までにして本題に入っていいですか?」
「ああ」
「学校も作ったので先生を探してもらえませんか?」
「学校を作るのは自由だが国に許可されていない学校に人を派遣する事は出来ない」
「方法無いですか?」
「学校は必要なのか?」
「はい」
「……2つ方法がある」
「その方法は?」
「一つ目は、”6等級地区”で探す。二つ目は、奴隷を買う」
「”6等級地区”と奴隷ですか?」
「”6等級地区”には、元々優秀だった者が多くいる。奴隷は種族に関係なく優秀な者が多い」
「……お勧めどちらですか?」
「奴隷がいいと思う。主人には絶対服従だからな」
「……値段はおいくらですか」
「安いので10万マルテから高いので100万マルテ位だな」
「お父さんの所にいたメイドさんはいくらだったの?」
「20万マルテ!? ……奴隷って知ってたのか?」
「何となく……随分と従順と思って見ていたので……浮気はしていないよね?」
「……してない、絶対していない」
「本当に? 変な間ありませんでした?」
「気のせいだ。本当ーに何もしてない」
「エストそこまで……浮気したら母様に殺されるからしないと思うよ」
「ソティ……信じてくれているのは嬉しいが……怖い事は言わないでくれ」
「…………はい、この話は此処までにしましょう」
「ああ、頼む」
「奴隷は何処で買えるのですか?」
「今から行くか?」
「そうですね」
「予算はいくらある?」
「2000万マルテ位でしょうか……魔石でいいならもっとありますけど」
「……奴隷を買い占める気か?」
「それもいいかもしれませんね」
「「「本気?」」」
「冗談です」
「……行くか?」
「はい」
4人で奴隷市場に行く事にした。




