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親を探す旅に出ただけなのになぜ世界を救うことに…?  作者: 黄昏の大陸
第2章 少年編 はじめての冒険からイサーラ村の試験……そして
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第5話 王都での最初の1日

 イストリア国王都イプハールに到着した最初の朝、ソティアスは暖かく柔らかい物に包まれて気持ちよさそうに眠っていると声が聞こえてきたので目を覚ました。

 「……ソティ……ソテイ起きなさい!」

 「……? ……ん……」

 「ソティ起きなさい!」

 「ん? なに? なにかあったの……!? え!? あれ!?」 

 目を覚ましたソティアスの目の前には、顔を真っ赤にして自分に抱かれていたメリスの姿があった。


 「お、おはよう! メリス?」

 「おはようございます。……ソティアス様……」

 「……」

 「……」

 「ソティ? いつまでメリスを抱いているの?」

 ソティアスが暖かく柔らかいと思っていたのはメリスだった。

 

「ソティ君、いつまでそのままなの?」

 「え!? あ!? いや! ご、ごめんメリス」

 「い、いえ、だ、大丈夫……です……」

 見つめ合っていた2人は、顔を真っ赤にして視線を逸らした。

 「クスクス……初めてかもね! ソティ君がそんなに慌てるなんで!」

 「ミール姉様……」

 「で、なんで、メリスを抱いて寝ていたの?」

 「……昨夜寝る時にこの場所しか空いて無く横になって寝ていたら……ふわふわ柔らかくおいい匂いがしたので捕まえて……そのまま寝ていたみたい、です。寝る時少しイライラしていたのが落ち着いてぐっすり眠れました。……メリス、本当にごめんね!」 

 「ソティアスさま、本当に気にしないでください」

 「ねえ! メリス、なんで僕の事、様読みなの?」

 「ソティアス様は、私達のご主人様……ですよね?」

 「え!? 違うよ! 君達は奴隷じゃないから僕は、主人じゃないよ?」

 「昨日私達ははソティアス様の持ち物だと」


 

 




 「ああ……ここでは、そうしておいた方がいいから……言い方悪いかもしれないけど、君達獣人族はこういう大きな都では誘拐されやすいから僕の物としておいた方が少しは、安全だからだよ! 誘拐されて奴隷にされたくないでしょ? 暫くは教会内からでないようにしてね! 近いうちに何とかするから……みんなにも言っておいてね!」

 「はい!」


 「さて、いつもは、走る時間だけど流石に王都の周りを走るわけにいかないしどうしよう?」

 「私は、もう少し寝る事にするよ! メリスちゃんを抱き枕にして!」

 「え!?」

 「ダメ? ソティは良くって私はダメ?」

 「い、いえ……ダメではないです」

 「じゃ、一緒に寝ようね!」」

 「はい……」

 「ああー本当だ! メリスちゃんいい匂いがする!」


 「ソティ君はどうするの?」

 「ここは、教会ですから瞑想でもしてきます」

 「そう! ……私は、もう少し横になっているわ」

 「はい、僕は行きますね」

 「いってらっしゃい」

 「いってきます」


 ソティアスは、教会内を歩き始めた。

 「ソティアス様、おはようございます。お早いのですね」

 「シスターイサラ、おはようございます……昨夜はすみませんお見苦し所をお見せしてしまいまして、昨日は、ガキとかクソガキとか言われてばかりでしたので、盗賊達に……なのでつい……」

 「まあ……クスクス……あっ、ごめんなさい」

 「いえ、いいですよ。確かに僕はまだ子供ですからね」

 「ソティアス様は、子供であって子供じゃないみたいですけどね。昨夜の”中級治癒ハイヒール”を見せられると」

 「王都には、使える方がいるのでしょ?」

 「使える方は、3人いらっしゃいますけど……二人は、4等級市民以上しか見ませんし2,3,4等級市民をみるときは、多額の寄付金を請求されます。一人は5等級市民も見てくれますが……5等級市民にはとても払えない寄付金を請求されて助かっても奴隷落ちになる方が大半です」

 「使える人が少ないので貴重ですからね、お金儲けしたい人にはいい仕事ですね」

 「ソティアス様は、お金を取らないのですか?」

 「……?」

 「いえ、昨夜は請求していませんでしたので」

 「僕は、人の命救ってお金儲けをしようとは思いません」

 「! 御立派ですソティアス様」

 「いえ、そんなことは」

 「あっ! お邪魔してしまいましたが、ソティアス様は、此れからどちらへ?」

 「僕は瞑想です。シスターイサラは?」

 「私は、他のシスター方と子供達の朝食の準備を20いえ23人増えましたから」

 「……? 僕たちの他にもいるのですか?」

 「全員で、45人になりました」

 「!? た、大変ですね。運営はどうなっているのですか?」

 「……運営は、はっきり言いますと厳しいです。寄付金は少ないですし……けど食材は、皆さまのご厚意で分けて頂いております」

 「そうですか……シスター此方の教会は、お肉とかは食べられますか?」

 「……? はい、此方の教会は食の節制はございませんけど?」

 「泊めて頂いているお礼として食材は、僕達から提供させていただきます」

 「よろしいのですか?」

 「はい、お肉は沢山ありますから……厨房に行きましょうか?」

 「あ、はい」


 シスターイサラと共に厨房に向った。厨房には、1人の料理人と3人のシスターが準備に取り掛かっていた」

 「「おはようございます」」

 「「「「おはようございます」」」」

 「あなた様は?」

 「はじめまして、僕は、ソティアス・フォルティスと言います。昨夜からお世話になっております。よろしくお願いします」

 「此方こそ、お願いします。でも、どうして、厨房へ?」

 「はい。食材の提供に」

 「まあ! ありがとうございます」

 ソティアスは、大量の肉を取り出し手渡した。

 「こ、こんなに宜しいのですか?」

 「はい、お肉は暫く持ちますので大丈夫ですよ!収納の指輪に収納しておけば悪くならないので安心・安全です」

 「便利な物をお持ちなのですね」

 「ランクDになれば誰でも貰える物ですよ」

 「……ランクDになるのが難しいと思うのですが」

 「まあ、そうですね……とりあえず食材は心配しないで大丈夫です」

 「ありがとうございます」

 「僕は、瞑想に行きます」

 「わかりました」


 ソティアスは、神像の前に行き瞑想に入った。

 朝食の準備が終わりシスターイサラが子供達を呼びに行き全員が席に着いたが1人だけ来ていなかった。

 「シスターイサラ! 今日の食事は、お肉がいっぱいで、豪勢だね」

 「昨夜いらしゃった此方の子供達のお仲間の方からの提供です」

 「ソティの? 居ないと思ったらそういう事をやっていたのね……っていない!」

 「ソティ君は?」

 「ソティアス様は、瞑想中で、お声をお掛け致しましても……」

 「ああ、反応ないと」

 「はい」

 「瞑想中は何があっても動きませんからね」

 

 皆が食べ終わりそうな時にソティアスが食堂に入って来た。

 「遅くなって申し訳ありません」

 「ソティ」

 「ソティ君」

 「ソティアス様、お食事になさいますか?」

 「はい、お願いします」

 「ご用意してまいります」

 「はい」

 「ソティ君、瞑想はどうだった?」

 「”軽病治療イルニィス”を覚えました。軽い病気なら治せるようになりました」

 「凄いじゃないおめでとう」

 「ええ、ありがとうございます」

 神父とシスター達は、その会話を聞いて驚き、口が開いたままソティアスをみていた。

 「ソティアス様、今のお話は本当ですか?」

 「今のお話?」

 「病気を治せると」

 「はい、軽い病気だけですけど。今出来るようになったばかりですので、確認はしていませんけど」

 「王都でも1人もいらっしゃいませんよ?」

 「そうなんですか? まあ、でも……お金儲けの好きな方には無理だと思います」

 「どういうことですか?」

 「神父様は、”治癒ヒール”を使えますよね?」

 「はい、教会に入り神父になる為の修行をして20年目に使えるようになりました」

 「使えるようになった時、誰かの声を聞こえませんでしたか?」

 「……!? 確かに聞き取れませんでしたか聞えました」

 「僕も最初は、聞き取れませんでしたが……あの声は、神様の声なんです」

 「ええー!? 本当ですか?」

 「はい、上位4属性魔術の全ては、神様の声を聴き、神様に教えて頂いて覚える魔術なのです」

 「……!? だから使える者が少ないと?」

 「まあ、そう言う事になりですね」

 「神様のお声を聴く為にはどうしたらよろしいですか?」

 「僕なりの意見でよろしいですか」

 「ぜひ、よろしくお願いします」

 「一般的には、瞑想しても聖魔術は覚えられないと噂されていると思います。しかし、僕も神父様も瞑想によって”治癒ヒール”を覚える事が出来ました」

 「はい、確かに」

 「覚えられない理由は、瞑想の深さが足りていないからと思います」

 「……瞑想の深さですか?」

 「はい……瞑想しても覚えられない、どうせ覚えられないと思いながら瞑想する方が多いと思います。余計な事を考えて瞑想すると深い所までいける訳ないですから覚えられないんです」

 「成程、確かにそうかもしれませんね……真面目にやっている人が少ないと思います」

 「……」

 「あぁ、すいません朝食をどうぞ」

 「はい、いただきます」


 ソティアス、ミール、エストの3人は、朝食を食べ終わると冒険者ギルトに行く事をシスターイサラに話す。

 「シスターイサラすみませんが僕達は、冒険者ギルトへ行ってきます。子供達をお願いしてもよろしいですか?」

 「はい、ご遠慮せずお任せ下さい」

 「ありがとうございます。メリス、僕達は出掛けてくるから教会内のお手伝いと皆の事よろしくね」

 「はい、わかりました」

 メリスは元気よく返事をした。

 「行ってきます」

 「お見送りいたしますわ」

 シスターイサラとメリスは、外までお見送りに来てくれた。


 「ありがとうございます。お見送りだなんて」

 「いえいえ、お気になさらないで下さい」

 「はい……ん!? シスターイサラ」

 「はい、なんでしょう」

 「教会前の広い土地は?」

 「……色んな方が買われるのですか……いざ、家を建てようとした時に病気になったり、事故になったりと不幸になるので、今では誰も買う方が居ないようです」

 「そうですか。いい場所なのに勿体ないですね」

 「はい、全くです」

 「……では、行ってきます」

 「お気をつけて」


 冒険者ギルトに向かって歩き始めて問題のある土地の横を歩いている時、ソティアスは立ち止まり土地の真ん中に目を向ける。

 「どうしたの? ソティ君」

 「いえ、土地の真ん中に男女の2人がいます」

 「「え!?」」

 「何言ってるのよソティ」

 「誰もいないわよ? ソティ君」

 「2人には、見えないのですね」

 「すいません……ちょっと行ってきますので、待ってて下さい」 

 「「え!」」

 

 ソティアスは、土地の真ん中にいる2人に向かって歩き出した。


 「こんにちは、僕は、ソティアスと言います」

 「「え!?」」

 「あなたには、私たちがみえるの?」

 「はい、はっきりと見えています」

 「俺達の姿が見えたのは君が初めてた」

 「そうなんですか? お2人のお名前を聞いてもよろしいですか?」

 「ああ、すまん。オレは、ハーフェル、こっちは……妻になる予定だったソフィーだ……よろしく」

 「よろしくお願いします。妻に予定だったとは?」

 「結婚式の2日前に近くのイサーラ村から帰ってくる際……盗賊に襲われて……2人共……」

 「……イサーラ村? 僕達もイサーラ村からきました」

 「本当かい? 俺は王都の生まれたがソフィーは、イサーラ村の生まれだ」

 「あなた方は、誰の子供なの?」

 「僕達3人は、リキドとイルマの子供です」

 「「!? え!?」」

 「リキド・フォルティスとイルマ・フォルティスの子供達?」

 「なぜ、フォルティスと?」

 「イルマは……私の姉です」

 「え!?」

 「しかし、君は、2人の息子にしては、髪も瞳も……」

 「ああ、僕は捨てられていた所をあそこにいる長女のミールに拾われて育てられました」

 ソティアスは、ミールを見ながら話した。

 「そうか……済まない事を聞いた」

 「いえ、気にしないで下さい。僕は、本当に大事に育てて頂きましたから」


 「ソティ、姉さんを見ながら何か喋っているよ」

 「うん……行ってみようか?」

 「うん」


 「あら、2人も此方にきたみたいよ」

 「ソティ君、どうしたの?」

 「……此方に2人の方がいらっしゃいます」

 「私たちには、見えないけど居るのね」

 「はい……女性の方なんですが……僕達の叔母様です」

 「え!? どういう事?」

 「僕たちの母様の妹だそうです」

 「!? ……本当に? 本当だとしても……何故誰も母さんに妹がいた事を教えてくれなかったの?」


 「……族長、お爺様に結婚を許されなくって駆け落ちしたそうです……そして、この場所に家を建てる予定だったそうです」

 「それで、この土地に家を建てようとした人に病気や事故に……」

 

 「……2人は関係ないようです。単なる偶然だそうです」

 「そうなの? 疑ってごめんなさい」


 「気にしていないそうです」


 「ハーフェルさん、ソフィーさん、すいませんが一度、失礼します。用を済ませてからまだ来ます」

 「わかったは、姉さんの事教えてね?」

 「はい……では、失礼します……行こう」

 「「うん」」


 三人はその場を離れて冒険者ギルトに向かった。


 「本当に……母さんの妹だと思う?」

 「わかんないけど。お母さんに似ている所もあると思う」

 「僕も……そう思います。もう少し話してみましょう」

 「そうね」

 「冒険者ギルトが見えてきました」


 冒険者ギルト内に入るとギルト内にいた全員が3人の方をみて鼻で笑った。

 「フン、ガキが」

 「ガキがこんな所に何のようだ!」

 「さっさと帰れ」

 その中に昨日の担当職員がやってきた

 「ソティアスさん、お待ちしておりました。用意が終わっておりますので此方にどうぞ」

 「はい」

 

 「此方が依頼合計金額の5,510,000マルテになります。ご確認下さい」

 「はい、ありがとうございます」

 「そして、冒険者ランクですが、此れからの活躍を期待して、Cランクに決めました」

 それを聞いた周りの冒険者達は、どよめきが起きている。

 「おい職員、何故そんなガキ共がそんな大金とCランクなんだ!」

 「そうだぁーインチキしてんじゃねぇー」


 冒険者ギルト内で怒声が飛び交う中、奥からギルトマスターが現れたのを見てその場にいた全員が黙り込んだ。

 

 「私から説明しよう」

 「ギルマス自ら?」

 「彼ら3人は、昨日1日で、盗賊70人を捕らえ、誘拐されていた子供50人を助けている。この中で、だったの3人でそんな事が出来る奴はいるのか?」

 「俺達に出来ないのにそんな事、ガキ3人で、出来るわけないだろ」

 「そうだそうだ」

 

 「フゥーすまんな」

 「いえ、大丈夫です」

 「うむ、依頼金とランクは正当な報酬なので受取りなさい」

 「はい、ありがとうございます」

 「また、盗賊退治を頼むよ」

 「「「はい」」」

 「それと……ソティアスさん、ミールさん、エストさん、それぞれCランクになられましたので指輪をお選び下さい」

 「……僕は、魔獣魔物自動回収をお願いします」

 「私は、体力の指輪」

 「私は、武器収納を」

 「はい、”体力の指輪”は、指輪の装着している時は本来の1.25倍の体力になります。回復する訳ではありませんので気を付けてください」

 「はい」

 「魔獣魔物自動回収は、自分又はパーティーが倒した魔獣魔物を自動で回収できます」

 「はい」

  

 「体力の指輪と魔獣魔物自動回収の指輪になります」

 「「「ありがとうございます」」」

 「他にご利用はございますか?」

 「いいえ、、今日は此れで」

 「此れからのご活躍ご期待いたしております。パーティー・フォルティス3姉弟様」

 「失礼します」

 「さて次は、商業ギルトね」

 罵詈雑言の中3人は、冒険者ギルトを後にする。3人がギルトを後にして5分後6人の男たちがギルトの受付で職員に話を聞く。

 「すいません、此方にソティアスさんが来ていませんか?」

 「お帰りになりましたよ……この後、商業ギルトに行くそうです」

 「ありがとうございます」

 「商業ギルトに行こう」

 「ああ」

 

 「おい、あんた達、あのガキの知り合いか?」

 「ん? まぁ知り合いだけど」

 「あいつらとどんな関係だぁ?」

 「関係? 命の恩人かな」

 「命の恩人?」

 「こいつ昨日の晩、死ぬ一歩手前で、ソティアスさんが”中級治癒ハイヒール”を唱えて助けてくれたんだ」

 「なぁ! あのガキが ”中級治癒ハイヒール”を唱えた?」

 「ウソつくんじゃねーあんなガキが使えるわけないだろ」

 「まあ、信用したくないなら信用しないでいいよ……じゃあな」


 6人の男達が冒険者ギルトを出た時、ソティアス、ミール、エストの3人は、商業ギルトに入った。

 

 「ようこそ商業ギルトへ、私がギルトマスターです」

 「すいません、建物は要りませんので、広い土地だけ欲しいのですけど」

 「土地だけ? 建物は?」

 「建物は、自分で建てます」

 「失礼ですけど”成長記録グロウスカード”をお見せ頂けますか?(冷やかしかこのガキ)」

 「はい」

 ソティアスが”成長記録グロウスカード”見せると暫くカードとソティアスを難度が見比べてから怒鳴り始めた。

 

「な、なんですか? これは?」

 「なにか?」

 「ご自分の”成長記録グロウスカード”をお見せ下さい」

 「!? 今、僕から出てきたの見ましたよね」

 「ぐぅ! 貴様のようなガキがこんなに高ランクなわけないだろうか!」


 ギルトマスターの怒鳴り声の最中に6人の男が入って来た。

 

 「親父、外まで怒鳴り声が聞えてきたけど何があったのか?」

 「!? お前達か……このクソガキを追い出せ」

 「君たちは!」

 「なにをしていおる早く追い出せ」

 「あなた方は……あなた方の父親でしたが……なるほど口が悪いはずだ」

 「いやーすまん」

 「な!? 何をしている。早く追い出せ」

 「親父落ち着け……この子は、俺達の命の恩人だぞ」

 「何を言っている?」

 「昨夜話した”中級治癒ハイヒール”で、こいつの命を救ってくれた子供だ」

 「こんなガキが”中級治癒ハイヒール”を」

 

 「いい加減、ガキだクソガキと言うの止めていただけませんか? 僕も怒りますよ」

 「……す、すいません。息子の命の恩人とは知らずに失礼な事ばかり」

 「……知った後でもガキと言いましたよね」

 「申し訳ありません」

 「ソティ君、もういいじゃない……許してあげたら?」

 「姉さまが……そう言うなら」


 「しかし、あなたのようなガ……いえ、子供がこんな高ランクばかりとは」

 「……実際そうなんですから仕方ないでしょ」

 「まあ……確かに」

 「昨日は、本当にありがとう。そして、失礼な事ばかり言ってすまなかった」

 「……もういいですよ」

 「今日は何しに此処へ?」

 「……土地を買いに」

 「土地? 家は?」

 「家は、魔術で建てますのでいらないです」

 「わかった……親父、土地の情報を」

 「いや、いくらなんでも子供に売るわけにはいかないよ。親を連れて来なさい」

 「父様は、王都にいますけど忙しいですからね……どうでしょう?」

 「ほう、王都に……何をされている方ですか?」

 「城で大将軍をしています」

 「え!? 大将軍?」

 

 ギルトマスターはそれを聞いて”成長記録グロウスカード”を確認した。


 「確かに同じフォルティス様ですね。本当に親子ですか?」

 「……まだ疑いますか? 父様を連れてきますか? たかが証人の為に此処まで呼んだら怒るかな大将軍様は?」

 「!? い、いえ……もういいです。分かりました」

 「でも、証人必要ですよね?」

 「私が証人になりますから大丈夫です」

 「いいんですか?」

 「はい……それで何処の土地が必要が決まっていますか?」

 「5等級地区の教会前の空いている土地全部です」

 「……!? あそこは問題のある土地で」

 「買った人は、病気とか事故ですか?」

 「はい」

 「僕たちは、大丈夫です。信じていませんから」

 「本当によろしいので」

 「はい」

 「私たちも売れないで困っていたので売れるなら何よりです」

 「決まりですね……おいくらですか?」 

 「本来なら、2千万マルテですが、ソティアス様が買われないとおそらく一生売れないと思いますし、息子の命の恩人と大将軍の息子さんと今後のお付合いの円滑化を図るために割引しまして、100平方メートルの土地を一千万マルテでよろしいです」

 「ずいぶん安くなりましたね……本当によろしいのですか?」

 「はい、本当に売れなくって困っていましたので。最後にお聞きいたします……本当にお買い上げいただいてもよろしいのですか?」

 「はい、喜んで買います」

 「ありがとうございます。今、契約書お持ちいたします」

 「はい」

 

 「昨日は、本当にありがとうな」

 「いえ、本当にもういいですから。あなた方は、6人兄弟なんですか?」

 「いや、10人姉弟なんだ。男6人、女4人、一番上が16才一番下が6才だ」

 「へぇー一番下は、僕とエストと同い年ですね」

 「へ!? 同い年?」

 「はい、同い年です」

 「子供とは思っていたけど6才とは」

「なにか?」

 「いや……才能に年は関係ないと思っただけだ」

 「そうですか」

 

 「契約書お持ちいたしました。”身分記録レコードカード”と”おマルテカード”をお出しいただけますか?」

 「あ、はい」

 「契約書にサインをお願いします。サインを確認後、”身分記録レコードカード”に土地の情報を入力いたします。入力後”おマルテカード”でお支払いただきます」

 「わかりました」


 ソティアスは契約書にサインを書き”身分記録レコードカード”に入力して貰い支払いを済ませた。確認すると

 ”ソティアス・フォルティス”

  出生月:5月 年齢:6才

  種 族:人族

  出身地:・・・・・・

  現在地:王都イプハール

  父  :リキド・フォルティス

  母  :イルマ・フォルティス 

  身分 :貴族

  土地

  王都イプハール 5等級地区106番地


 「はい、確かに。ありがとうございます」

 「此方こそ有難う御座います」

 

 「今日は失礼させて頂きます。家の設計図を描きたいので」

 「わかりました。家が出来ましたら改めてご挨拶にお伺いさせて頂きます」

 「はい、失礼します。行きましょう」

 「「ええ」」

 

 外に出ると男たちが追いかけてきた。

 「本当にあんな土地でいいのか? 幽霊が出る噂もあるんだぞ」

 「そんな噂信じているんですか?」

 「まさか」

 「ですよね。家が、出来たらご招待いたします」

 「楽しみにしているよ」

 「はい、失礼します」


 午前中にやる事が終わったので教会に戻る際に新しい土地の持ち主になった事をハーフェル、ソフィーに報告しに来た。

 「ハーフェルさん、ソフィーさん、こんにちは、」

 「「こんにちは」」

 「今、此処の土地を買ってきました。新しい家が出来たらご一緒に住みませんか?」

 「「……!? いいのかい? 迷惑じゃないかい?」

 「迷惑だなんでどんでもない……お二人は、叔父様と叔母様ですから」

 「本当にいいのかい?」

 「はい、遠慮しないで下さい」

 「わかった……ありがとう」

 「ありがとう」

 「いいえ……家が出来るまでうるさいと思いますけど」

 「気にしないでくれ」

 「はい、家の設計図を描きたいので失礼します」

 「ああ」

 「ありがとう」


 「ミール姉様、エスト……本当にごめん……何もかも勝手に決めてしまって」

 「ソティ君、気にしないで、自分のやりたいようにしなさい」

 「そうよソティ、気にしないで」

 「はい、ありがとうございます」


 3人は、教会に戻った。

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