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トロフィーヒロイン・モンスターガール  作者: タカリ
第一章 トロフィーヒロイン・モンスターガール
32/50

32 【洞窟のダンジョン(★)】ボス戦

お久しぶりです。手間取っていた確定申告がようやく終わったのでまた更新を頑張っていこうと思います。

みなさんの応援、感想お待ちしております。

「うわあああああああ!!!」

「ギャウウウウウウウウ!!!」


 ゴブリンくんと二人、駆ける。大量のゴブリンに追われながら、とにかく必死に俺たちは逃げていた。


 ■


 ――時は六月。ゴールデンウィーク明けで学校に戻った後もコツコツと魔石を集め、ジョブカードとゴブリンくんの強化が完了した。

 ★ランクのカードは魔石百個が強化上限だったようで、俺のMPは紅雪・赤ずきん・ゴブリンくんの三匹をなんとか呼び出せるくらいに増え、ゴブリンくんもステータスがかなり上昇した。


 このメンバーならボスも倒せる! もしかしたら紅雪と赤ずきんの二人だけでも十分だったかもしれないけど、ゴブリンくんも揃って万全の体制が整った!

 俺たちが負ける要素など、万に一つもない!!


「――まさかそれがフラグだったなんて!! わかるかあああああ!!!」

「ギャウウウウウウウウウ!!!!!」


 右に左にボス部屋の中を縦横無尽に駆け回る俺たち。


「ゴーブゴブゴブゴブ!! ゴブブブブ!!」


 部屋の奥には一回り大きなゴブリンが仁王立ちし、周囲に大量のゴブリンを呼び出して(・・・・・)いた。

 ダンジョンのボスは通常のモンスターと違い大幅な強化を受ける。

 単純に『個体の強さ』がワンランク上になるボスもいれば『特殊なスキル』を覚えているボスもいて、強さや戦い方にムラがあるらしい。

 今回のボスは『特殊なスキル』を覚えているタイプ――【眷属召喚】スキルの使い手だった。大量のゴブリンを呼び出し、しかも一匹一匹のゴブリンが強化されている状態で出てくる。

 数の暴力を前にして、俺たちの戦線は完全に崩壊していた。


「マスター、今助けます! ええい、邪魔です!」

「切り放題だけど、なかなか死なないのね?」


 紅雪と赤ずきんも大量のゴブリンに埋もれてしまっていた。最初は三対一くらいで優勢に戦っていたのに、今は十匹近いゴブリンに囲まれている。

 俺を追いかけ回すゴブリンも十匹くらいいるので、現在のボス部屋にいるのはボス一匹と取り巻き三十匹という地獄絵図だ。これが広いボス部屋じゃなくて狭い場所だったら完全にゴブリンに押しつぶされていただろう。


「はあはあ、こんなの……! どう考えても★ランクじゃないだろ……!!」

「ゴブブブゴブゴブ! ゴブゴーブ!!」

「ああ! また増えました! どれだけ呼び出すんですか!?」


 紅雪たちが倒す端から新しいゴブリンが投入されていく。このままじゃ先に俺たちが――というか、俺が潰れる。運動不足による体力の衰えはさすがのジョブカードでも補いきれなかった。

 紅雪たちじゃなくて、まず真っ先にこのパーティの弱点である俺から潰す戦略、恐るべし……!


「――ん? 弱点?」


 ★ランクに見合わないゴブリンの異常召喚?

 大量の取り巻き?

 パーティの弱点?


「まさか……!」


 脳裏に閃いた可能性。直感が正解だと囁く。もし間違っていても生きて帰れるのだから出直せばいいと打算がよぎる。

 なんでもいい、状況を打破するために、今するべきことは――。


「ゴブリンくん、後ろの連中に向かって突撃だ!!!」

「ギャウウウウウウウウ!!!???」


 『え、また僕がやるんですか!?』という顔をしたゴブリンくんが勇ましく後方集団に突っ込んでいく。十匹近い敵ゴブリンにもみくちゃにされるが、それでも多少の時間を稼げる。


「紅雪、赤ずきん! 敵を引き付けていてくれ! 少しの時間でいい!!」

「はい、わかりました、マスター!」

「何か考えがあるのね?」


 乱戦をしていた二人に声をかけて、僅かな時間でいいから周りのゴブリンの注意を引いてもらう。

 まだ一、二匹のゴブリンは俺を追いかけようとしてくるが、ほとんどの敵はもう俺に意識を向けていない。数の暴力でタコ殴りにされているゴブリンくんや、集団の中に飛び込んで血の花を咲かせている紅と赤のエースに集中していた。

 そのわずかな隙をついて全力で駆ける。


「――このパーティの弱点はおまえだ、ボスゴブリン!」

「ゴブッ!?」


 取り巻きが離れた隙に一気に距離を詰めた。普通なら【魔物使い】のジョブ持ちがダンジョンボスの目の前に飛び出すなど自殺行為だ。なにせ【魔物使い】は自分が戦うジョブではないのだから、ボス補正ありのモンスターの攻撃にさらされればあっという間に戦闘不能になってしまう。


 だが、今回はこれが最善の一手だった。


「おらぁ! どうしたゴブリン! それでもボスか!」

「ゴブッ、ブギャッ、ゴボッ、ブギュゥッ!?」


 今回のボスは『大量召喚』と『取り巻き強化』のボス補正を持つ代わりに『戦闘力が皆無』という【ボスゴブリン版魔物使い】だった。『ボス=強い』という先入観があったが、取り巻きよりもまず先にこのボスを仕留めるべきだったのだ。


 俺に殴られている間は召喚もできないようで、ボスはまるでサンドバッグのように無防備に殴られている。

 このままこいつを倒せば、勝てる――!!


 ――ザッ


 テンポ良く殴り続ける俺の背後で足音。


「私がここでお守りいたします、マスター」

「ああ。ありがとう」


 乱戦の中から抜け出してきた紅雪が俺の後ろに陣取り、ここから先は一歩も通さないという気迫を発して周りのゴブリンたちを足止めしていた。


「アハハハ、楽しいわ、楽しいわ! ねえお願い、もっと綺麗な赤を見せてちょうだい? こんな風にね?」


 紅雪が抜けた後の敵集団では赤ずきんが真っ赤な血染めのコートをひるがえし、楽しそうにダンスを踊っていた。血の雨が降りしきる中で、レインコートを着て遊ぶ子供のように跳ね回っている。


「ギャウ……」


 ゴブリンくんは時間稼ぎでとても健闘したけど死んでしまった。

 君の犠牲は忘れない。三日間ゆっくり休んでくれ。


「さあ、続きといこうか」

「ゴ、ゴブ……ゥ……」


 邪魔者はいない。俺とボスゴブリンのタイマンだ。

 さあ、どちらが強いか勝負と行こうじゃないか。


 ■


 「……こう来たかぁ……」


 ボスと取り巻きの殲滅完了後。

 ボスゴブリンがドロップしたカードを見て、俺は天を仰いでいた。

 今回ドロップしたのは★★スキルカード。ボスゴブリンの持っていたスキルである。


 【繁殖力強化】★★:繁殖力がかなり強化される


 「あのゴブリンの大量召喚って、もしかして【繁殖力強化】のスキル効果だったのか……」


 戦闘に使えないハズレスキルだと思っていたけど【繁殖力強化】の対象って取り巻き召喚とかもありなのか。これ組み合わせ次第では化けるんじゃないか?

使えないと思っていたスキルが実は……というテンプレ。

繁殖力強化がまさか戦闘に使えるとは思わないでしょうね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 待ってました。 更新お疲れ様です。 [一言] 確かにありがちなテンプレですね。 とはいえ、ダンジョン誕生して1年少しですから、まだまだ検証不十分なスキルも多いでしょうし、ダンジョン外での閑…
感想一覧
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