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スターゲイザー 〜その追放されたSSS級犯罪兵器は人権を求める。やがて彼が宇宙帝王になるまでの道〜  作者: フクロウ


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第一話 エゴ

「777号。訓練を開始します」


 西暦三◯◯◯年、人類の科学技術は限界を超えて地球外の惑星の移住に成功した。様々な惑星が移住地化され、宇宙旅行も可能になるほど、人々は豊かになった。だが、その豊かさを享受できない人達がいた。それはクローン人間だ。


 大帝国の秘密基地として使われている水星のとあるドームコロニー都市。そこでは現在でも違法とされる、クローン人間を兵器として使用する極秘実験が行われていた。


「打て!」


 ドン!と音が鳴る。777号と呼ばれたクローン人間は正確に光線銃を的に当てる。他のクローン人間達はまだまだ未熟で、上手く的に当てられなかったようだ。


「走れ!」


 続いて持久走の訓練が始まる。777号は誰よりも速く、そして安定した走りを見せた。疲れなど全く見せないほどに。次に行われた筋力トレーニングも勿論、777号にとってはお手のものだった。この男は今最も成長性を期待されているのだ。


「訓練を終了します」


 アナウンスが流れて、クローン人間達はそれぞれの割り当てられた部屋へ向かう。777号も自分の部屋に入るとある女性がいた。777号を担当する兵士だ。


「こんにちは、ハート」

「こんにちは777号。今日もスコアがまたアップしているわ。とても上出来ね。あなたならきっとそのうちこの訓練場のハイスコアを更新できるわ」

「いえ、まだ僕は褒められるべきではありません。この訓練場で一位の成績を収めないと駄目なんです。記録を塗り替えないと……。父に認められるには一番じゃないと……」

「はあ、あなたは真面目すぎるのよ。人の褒め言葉は素直に受け取りなさい。それでこの後はどうする?もう訓練は終わったからしばらく自由時間だけど」

「引き続き訓練します」

「……あなたまだ訓練するの?最近、時間外訓練をやりすぎよ。自由時間ぐらい趣味に打ち込みなさい」

「僕に趣味と言えるようなものなんてありませんよ……。強いて言えば鍛える事が趣味か」

「馬鹿だねえ……。だったら今から私に着いて来なさい。これは命令よ」

「訓練に関する事ですか?」

「違うわ。もっと面白い事よ」


 二人は基地から外に出た。空は今日も星々が綺麗に輝いている。


「相変わらず良い景色だねえ」

「僕はもう見飽きましたけど」

「そういう無粋な事言わないの」


 しばらく歩き続けるとコンテナのような建物が見えた。ハートは何が目的だろうか。


「このコンテナは何ですか?」

「これは私の家よ」

「えっ、家?これが?」

「だって私は下級戦士だもの。こういう所で暮らすしかないわ」


 中へ入ると、部屋は意外と綺麗であった。狭いながらも快適に暮らせるように工夫されてたようだ。ハートは椅子に座りゲームを起動する。


「これは……ゲーム……初めて見ました」

「やろうよゲーム。これは今流行りの意識投入型VRじゃなくて一昔前のレトロなゲームだけど」

「それは命令ですか?」

「勿論、命令よ。私に逆らう事は許さないよ」

「はあ」


 777号は無理矢理ゲームに参加させられる。そして、レースゲームが始まった。だが初心者である777号は案の定下手だった。


「アイテムは拾ったらこのボタンで発射よ。それと、ミニターボは曲がるときにLRボタンを押して火花が大きくなったら放す」


 徐々に777号は慣れていき、強いアイテムであっという間にハートの車まで追いついた。最終的に甲羅を綺麗に命中させ、777号は一位になった。


「あー負けちゃった。っていうか最初あんなに下手だったのに上達の速度凄いわね。どう?ゲームは楽しかった?」

「……メチャクチャ楽しい。何で僕は外の世界の事を知ろうとしなかったんだろう。この世界は基地で記録を塗り替える以外に素晴らしい事があるんだ!」

「ふふっ。あなたやっと初めて人間らしくなったね」


 その後も、ハートは毎日、訓練終了後に度々777号を外へ連れ出した。パーティゲームにアクションゲームなど様々なジャンルのゲームを一緒に遊んだ。777号は時間外訓練を全くやらなくなり、ハートとの楽しい日々を過ごした。


 そして。


「ねえ、777号。私と一緒にこの星を出ない?」

「え?」


 突然の提案だった。


「出るって……僕達の兵役義務はどうするんですか?」

「そんなものは無視しちゃいましょ。私達はこれから自由になるの!」


 本気で言っているのか?ハートと777号に課せられた兵士としての義務を放棄する。それは大帝国に反旗を翻すも同じだ。そんな事をすれば最悪死刑になりかねない。だがハートは本気だったようだ。


「一緒に外の世界へ出て色んな星を巡りましょ?」


 777号は大帝国に逆らう事など考えた事もなかった。兵士としての義務を果たす事が人生の全てだと思っていたから。だがここでハートの提案を聞き、自分は自由を求めてもいいんじゃないかと思うようになった。


「分かりました。ハート、一緒にこの星を出ましょう」

「ふふっ、その言葉が聞けて嬉しいわ。それと今後あなたの事は777号なんて機械的な名前じゃなくて、フォーチュンと呼ばせて。あなたの777というラッキーセブンが由来ね」

「僕の名前は……フォーチュン」


 フォーチュンは不思議な感覚になった。自分にこんな良い名前が付けられるだなんて。


「それじゃあ早速行きましょう!」


 フォーチュンとハートは懸命に走った。この星の外に出る為の宇宙船を目指して。すると、ブーッ!ブーッ!と大きな警告音が鳴った。


「こんなに早く僕達の計画がバレるだなんて」

「私達の会話は全て盗聴されていたのね」


 すると、壁の壊れる音がする。目の前には大男がいた。そして何の躊躇もなく光線銃を撃った。するとハートはフォーチュンを庇って撃たれた。


「おい……嘘だろ」

「フォーチュン……無事?」

「残念……大帝国にはどう足掻いても逆らえない運命なのだよ。お前達は追放だ、ただしこの世からなあ!」


 フォーチュンはその男をよく見ると正体が分かった。全てのクローン兵器の元であるオリジン帝王。お父様だ。


「オリジン!うあああ!」


 フォーチュンは半狂乱になりオリジンに向かって光線銃を撃った。だが難なく避けられる。


「フハハハハハッ。コピーがオリジナルに勝てるわけないだろうが。場数が違うんだよ、俺とお前じゃ」


 オリジンは銃で思い切りフォーチュンを殴った。フォーチュンはハートの横に倒れる。


「フォーチュン……よく聞いて。あなたならきっとオリジンに勝てる……。私はね……大帝国に侵略された国にいた女の子だったの。家族を殺されて……大帝国の兵士にされてそのまま光のない人生を歩むものだと思っていた。だけどあなたがいたから、私は幸せだった。一緒にゲームしたり、星を眺めたり、そんな日々が楽しかった。……だから……負けないで……」


 ハートはそのまま息絶えた。その瞬間、フォーチュンは怒りの感情に満ちた。そうだ、こんな結末を招いた元凶であるオリジンをこの世から消さなくては。


「うおおおお!」


 ドン!ドン!


「ぐわっ、何だこいつ。急に」


 フォーチュンの光線銃はオリジンの肩や膝に命中する。やがて、心臓へと当たった。


「ガアアア!」


 オリジンは心臓が止まり絶命した。幾千もの戦争を生き延び帝王にまで成り上がった男の人生はここで終わる事になった。


「さようなら、お父様」

「えっ……父さん……?」


 目の前に謎の女の子が現れた。このオリジンを父さんと呼ぶこの子はいったい……?


「人殺し!父さんの仇!うあああ!」


 謎の女の子は光線銃をフォーチュンに向けて打つ。だが命中精度はあまり高くなくフォーチュンはあっさり避ける。


「よく分からないがオリジンは君のお父さんか?こいつは殺されて当然の事をした奴だ。こいつはついさっき何の罪もない女の子を殺した!」


 しかし、女はフォーチュンの言う事に聞く耳持たず、何度も攻撃を仕掛ける。フォーチュンは面倒になったので女を無視して宇宙船を目指す。女は勿論後を追いかけた。


 もうハートはこの世にはいない。だが彼女が言った、色んな星を巡るという夢をフォーチュンは受け継ぎたかった。自由を求める限り、彼女の意思そのものが無くなる事はないのだ。


 フォーチュンは女に向かって言う。


「君の名前は?」

「……レイよ」

「僕はフォーチュンだ……。僕に復讐したければついて来い。幾らでも相手になる。そして僕は君を無視してでも色んな星を冒険してやる」

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