286話 次はどこへ行こうか?
「言葉は聞いたな?」
「小豆と水飴で間違いないかなぁ。どっちがどっちかは別として、判定してダイナゴンに持っていけばクエスト完了だよ。それよりもボスドロボスドロ〜♪」
「やっぱりこの瞬間だよなぁ〜。ツキさんは銃系統が出たらいらねぇんだろ?」
「ガトリング砲ならちょっと欲しいけど、片手銃はいらないかな? どうせ亜人だとと言うか、今のレベルだと銃下手は治らない……。いや、100ポイントあったら捻じ曲げられるのかな?」
「運営が珍しくくれた100ポイントか、なにか使ったかイヴァさん。」
「いや、何の話だよツキさんに陸亀さん? フロムさんは知ってるか?」
「お前さん……、今いてよかったのぉ。運営からのお知らせでキャラメイクキャンペーンがあったじゃろ? アレを最後まで読んでタップするとボーナスポイント100くれるぞ?」
「マジか!? やっべー、それは早くタップしてねぇとな! 宝箱の開封は任せた!」
運営が珍しく丁寧に長文を送り付けてくるなら心せよ……。読み飛ばしたり、件名で判断すると色々と貰いそこねるぞ! しかし100ポイントなぁ〜。そもそもステータス的な話をするにしても、トラブルオンラインのステータスにラックや器用さ賢さはないし、なんなら定番の回避率なんてものもない。
そもそもフルダイブでプレーヤー依存だから、自分で回避するか否かを求められるし、仮に回避が限界突破したようなステータスで攻撃が当たりません! なんて事になれば、前提が全部ぶっ壊れる。
だからこそ魔法攻撃力や物理攻撃力、命中率なんかになってくるんだけど、その命中率もよく見えて弾が当たるとかだからなぁ〜。
供物族のステータス考えると単眼の代わりに相当よく見えてるんだろう。逆に亜人はあんまり見えてないとか? なんにしても片手銃は亜人には軽すぎるらしいし……。
「それより開けようぜ〜。てか、開けていい?」
「いいですよ〜。なんなら大麻を振っておきましょう! フリフリと。」
「これでいいもん出たら、本当に幸運の大麻じゃな。それで、どうじゃ? 陸亀さん。」
「シェル・オッターアーミーの核に水毛、シュノーケルにシェルボム、アクアガトリング砲に他はゴールドだな。おっ! オッターフィンも出てるが……。水中装備不足の奴いる?」
「道中が豪華な分控えめと言えば控えめですね。ガトリング砲は火山とかなら使えるかなぁ〜。」
「ワシは最初から全部報酬は棄権しとる。まぁ、ガトリング砲は若干欲しいが……。」
「ん? フロムさんガトリング砲持ってなかったっけ?」
「あるにはあるがウォーカーアーマーの装備を考えると、両手ガトリングもありじゃろ? まぁ、肩に付けてブッパじゃがな。」
「あの手で長物持つのは結構無理がありますからね。最悪、両手に盾持たせて固定砲台的な?」
「それだとあの機動性が死ぬだろ? ツキさんの配信で見たけど、大型パイルバンカーは? 突撃して大ダメージ狙いとか。」
「う〜ん、集中砲火されると結構脆そうだからなぁ〜。なにより操作性って話をすると悪くはないけど、プレーヤーほど小回りは効かないのよ?」
「100ポイントゲット! なんに割り振るかなぁ〜。体力でもいいし、防御力でもスピードでもいいなぁ〜。スピードが上がれば直線での速度も柔軟性も増すし、慣れは必要でも戦いやすくはなる。で、なにが出たんだ?」
「ガトリングとかですよ。」
「防具なら欲しかったが、武器はいらねぇな。と、そろそろ外に出ようぜ。ここだとポータルで行けるが、どこに向かう?」
「船大工の集落でええじゃろ。中身の分からんコンテナも見つけたし、鑑定してもらわんとな。」
フロムさんの言葉で船大工の集落へ行き、コンテナを鑑定してもらい中身を確定してから魔法都市トルネコへ。ダイナゴンへ小豆と水飴、それにパーツを渡せば晴れてミッションコンプリートだな。しかし、変装アイテムやらの情報はなしかぁ〜。
ブライト方面ではやっぱりコスプレで押し通すしかないし、引っ越しもしないといけないから、なにかを探すにしても中々なぁ〜。いや、そもそも暗殺クエストとかしてる陸亀さんがいるなら聞いてみるのも手か?
俺がギルティ方面のクエスト受けてたのは結構前だし、その時は潜入ミッションと言っても芸を身に着けたりする方が強かった。なら、ガチに潜入して暗殺することを考えるなら、知らない間になにか実装されてる可能性も……。
「ダイナゴンの所でウォーカーアーマーがどれくらいでできるかか。やっぱりすぐに出来ると思うかい? フロムさん。」
「どうじゃろ? かぐや送りは阻止したが、元は和菓子店じゃろ? 後日取りに来てくれも考えられるぞ? 見た限り結構ボロボロじゃったしな。」
「俺は助っ人報酬でもうウォーカーアーマーは持ってるから、次は装備してカラーリングしてからの見せ合いか? 割とカラーエディットの幅は広いし、自分で染料探してペイントなんかもできるぞ? 迷彩柄とかにするか?」
「いやいや、やるならダークグレーで無骨な感じじゃな。真っ黒は絶対にやらせてくれんが、赤いラインアイは暗い色がよく映える。」
イヴァさんとフロムさんはフレだからか、ワイワイと話が盛り上がってる。まぁ、料理人と技術屋だから作ると言う部分でお互いの琴線に触れる部分が多いんだろう。ウォーカーアーマー改造計画とかまで話し込んで盛り上がってるし。
でも、確かにあのパーツリストを後からフロムさんに聞いた限りだと結構カスタムとかも出来そうなんだよね。と、そこじゃないそこじゃない。ちょうど2人が話し込んでるからいいんだよ。
「陸亀さん、陸亀さん。」
「ん? なにツキさん。ツキさんもカラーリングで試したいものとかある?」
「いや、私は素材の味を噛み締めつつ今のエンブレムだけでいいですよ。そうじゃなくて、暗殺任務受ける時に変装とか要求されません? 有力者暗殺するなら忍び込むだけが能じゃないでしょう?」
「変装? 一応ないことはない。かなり少ないが、例えば尻尾の生えたアバターなら尻尾を隠せとか、天使の輪っかが付いてるならその輪っかを隠せとかな。NPCがなにで判断してるかは別として、色々隠せってのはある。」
「ふむ……。」
「誰か暗殺でもするか? こう……、首をコキャッとね。」
陸亀さんが首を折るような手つきをしてるけど、別に悪徳NPCに天誅しにいかなくてもいい。しにいかなくてもいいけど、そこそこなにかは実装されてるようだ。なら、そっち方面を探してみる? 受けられないわけでもないし。ただ、2章も進めたいんだよなぁ〜。
「暗殺はいいけど、隠す系のアイテムとかを探してるんですよねぇ。」
「う〜ん……、今もあるにはあるが俺が知ってる限り確実なのは2章だな。今のドン・スミスは世襲していって過去を回想はするけど、そこまでの技術は受け継いでない。でも2章のドン・スミスは色々と技術を持ってるらしい。」
「らしい? てか、2章にもすでに?」
「オフレコにしてよ? 一応、お互いギルティ方面もできるから話すけど、2章でもオケアノスはある。そして、割とそのオケアノスは重要っぽい。」
「……、そこってNPCも?」
「行ける。ただ、そこそこ進める必要はある。」
「分かりました。追われても面倒なので、有用な情報を買ったとして10万ゴールド支払いましょう。」
「分かった、ツキさんは俺から情報を買った。そして、俺はツキさんに情報を売った。これで裏の情報売買は成立だ。」
「なにしとるんじゃ〜。ダイナゴンのところにもう着くぞ!」
「気にしなくていいですよ。私の旅の次の目的地を考えてただけですから!」
そう、目的地。現実でも引っ越すしゲームでも2章を進める理由もできた。なによりまずはブライトをこちらに呼べるか? も試さないといけない。思った以上にやることは多いし、不確定なことは多いけど、人生なんてそんなもんだな。それに何より……、引っ越したと知られれば両親が訪れるかも……。
中々心の準備はできない。なんなら『お前なんか知らん!』と縁を切られる覚悟もいる。それだけのものぐさをして、今の姿にたどり着いてしまってるんだしな……。でも、それはもう後悔しない。仮に縁を切られたなら、両親には悪いが生きるために過去を捨てたとでも思っておこう。




