222話 急げ、急げ!
「それで。このメンバーで戦うとして、どう作戦立てます?」
「タンクがおらんのがネックやなぁ〜。なんなら全員アタッカー?篝火はんどう?」
「盾は練習してますけど、結構難しくて・・・。」
「付け焼き刃ならやめた方がいい。俺も盾を使ったが、ジャストガードは微妙にタイミングを外してやらせてくれない。」
「なら、全員でボコる?即刻ボコり返されそうだけど。」
「う〜ん・・・。」
「なんじゃツキさん。なんかは思いついたか?」
「全員アタッカーなのは仕方ないとして、ナインテールが2個。私とクインズさんのでトータル18回は、オートジャストガードが可能ではあるんですよねぇ。」
「俺のは覚醒させてないから、ツキさんのには劣るぞ?」
「いや、それはもう仕方ないからいいんですよ、クインズさん。そもそもツキンズから魔法マシンガンされたら、走って逃げるくらいしかないんですし。問題はメインアタッカーですよ、メインアタッカー。」
「メインアタッカー?クインズはんかツキはんやろ?機動力とタイマンセンス考えたらそうなるやん?邪神とツキンズと戦った経験もあるし。」
「いや・・・、私としてはフロムさんかなぁ〜と。後、ツキンズ抑えるのは秋ドンさんがメイン。」
「ワシ!?老骨に無理させるなよ・・・。速度とは無縁じゃぞ?見てみぃ、この樽型体型を!」
「ウチ?高速で近寄られて切られるやん!」
腹をポンとフロムさんが叩く。まぁ、それって脂肪じゃなくて筋肉なんだけどさ。少なくともHPは俺よりも断然高い。速度は確かに出ないけど、ゲームが出来ないほど遅くもない。と、言うかアバター作って『その体型でそのビルドは攻略不可能です。』なんて話はない。
「でも、この中でハンマーアーツ一番持ってるの、フロムさんでしょ?多分だけど。メイン武器もほぼハンマーだし。」
バフは俺がかけれるし、ヒールは全員と言うかゲームを始めたら最初に覚える魔法がヒールだから全員ヒールは使える。その後杖を使うかは別として、最悪でもアクセサリーで使えるようにはしているはず。そうなると、全員ヒーラーにはなれるし、ヘイト管理をうまくして致命傷さえ防げれば18回はオートジャストガードは生きてくるよな?
「それに、ツキンズは多分銃の相手は苦手なんですよ。手数で押されるのが嫌いな私、PvPメインのクインズさん。確かに闘技場で銃を使う人はいるけど、その場合はかなり距離を取ってから始めますし。」
「確かにそれは俺も分かる。銃を使わないこともないが、ゼロ距離で撃ち合うのは最後の締めだ。弾数制限なんて無いようなものだから、下手したら両手持ちグレネードやらでお互い走り回ることもある。」
「ツキンズを射撃戦に、引きずり込もうっちゅう話かいな。それなら確かにウチやな。しかし、クインズはん。ゼロ距離銃撃戦も結構楽しいで?」
秋ドンさんがクインズさんに銃の楽しさを話してるけど、それはいいとして残りは篝火さんたちか。ある意味この2人がキーマンと言えばキーマンなんだよなぁ〜。
単純に火力押せ押せで倒せるなら、それはもうHPの高い雑魚と変わらない。でも、邪神はそんななまっちょろい相手ではない。なら、どうするかと言えば・・・。
「で、篝火さんとサクラさん。」
「2人の盾になればいいんですね!?」
「死に急ぐな篝火くん!私も盾になるけど!」
「違うよ!2人にはアイテム管理してもらうの!装備交換は1カウントかかる。でも、このゲーム。拾った物をそのまま使うのはノーカウント。それを逆手に取ってポーション投げて回復してもらったり、武器をフィールドに置いてもらう。当然、割り込んでダメージ肩代わりもしてもらうけどね。クインズさん的にはどう?」
「今の話なら俺は邪神と、真正面から殴り合えばいいんだな?」
「まぁ、私はツキンズの方が性に合ってるでしょうからね。魔法マシンガンとか、舞をどこで崩すとか。前回は邪神に邪魔されて踊りきられましたけど、リベンジですよリベンジ。」
「それなら僕、シールド両手持ちにしときます。そっちの方が防御力も上がるし。」
「私は大剣のままかなぁ・・・。最悪慣れた武器の方が受け流しもできるし、決闘の誓いでヘイトも取りやすいし。」
「ちなみにツキはん。プランBは?」
「プランB?そんなも決まってますよ。全滅したら再挑戦ってね。」
「・・・、ウチ。リスポーン更新しとこ。」
「おっ!第二の商人やります?秋ドンさん。」
「どうせ半月もしたらお船の上やし、それなら今のうちに稼いどかんとな。そして、また領地防衛戦で・・・。」
「割りと種や肥料放出してくれる、プレーヤーは多かったですよ。ほら、履歴的には・・・。」
「うぉ!マジかいな!ツキさんの交渉術ちゃう?この数字。」
「杭の交換ラインナップにあるからですよ。交換してその足でここに来た人とか、ね。」
「そこの悪どい商人達はいいとして、クインズさん邪神の動きは?」
「基本的にはアーム、芋虫、殴打がメインだ。遠距離はなかったように思う。代わりに力強い、体にある芋虫が思ったよりも伸びるし、巻き付かれると外すのは結構難しい。」
「あいあい、それならある程度は踏ん張れるの。」
「アイテムどれくらいあります?サクラさん。」
「ここに来るまでに結構使っちゃったからなぁ・・・。最悪ツキさん達から借りて、安い時期に買ってから返そうか。」
そんな話を終えてパーティーチャット終了!即席だけどそのままパーティー申請して全員のHPが見れるようになった。なったのはいいんだけど・・・。
「グレイさんなにしてんの?顔が近いけど?まさか・・・、寝込みを襲う気!」
「そんなわきゃない。単純にポーション待ちだよツキさん。ほら、さっさとポーション吐き出せ!金はあるんだよ金は!ほら、ジャンプしてみろ!」
「ひぃ〜・・・、ジャンプしても水音とかしません!って、バルサミコス帝国の盟主が、なにカツアゲまがいなことしてんのさ。」
「いや、アールさんがそうすると乗ってくれるって言うから・・・。」
>> ピュアな盟主グレイw
>> くっ!今なんか面白そうなことがあったのに見逃した!
>> バルサミコス帝国もここまで来たかぁ〜
「乗るのはいいとして、そのアールさんは?」
「へっぽこだから、この先の戦いには付いてこれない。まぁ、ライブ配信でツキさんとクインズさんの戦いを見たら、流石にねぇ。で、精鋭集めて来たのはいいものの、結構アイテムの消費が激しくてポーションを買おうかとね。まだ売れる?」
「う〜ん・・・。秋ドンさん、お客さんですよ〜。」
「おっ!どうもどうも〜。商人やらせてもらってる秋ドンっちゅうもんや・・・。ツキはん、これって遺恨残りまくりやない?ウチらバルサミコス帝国の領地陥落させたんやで?」
「今からでも領地防衛戦の仕返しに、アイテム全部吐き出させようか?無論、全部買い取りという形で。」
「くっ!し、静まれウチのアキンド魂!今アイテム放出したら対邪神用のリソースがぁ!で、なにが欲しいんですのん?」
「ポーション×50、MPポーション×50。爆薬草×60。あとは・・・、怪力豆×40に特急ほうれん草×40だ。」
「ええけど、結構な額やで?盟主はん。」
「いや〜・・・、僕たちもさっき邪神に挑んだんだけど全滅してね。リスポーン更新組で再アタックをかけて、情報収集中さ。」
「ちなみにどうやって全滅を?」
「ん?情報料50万ゴールド。」
「買った!」
「それなら俺が出す。多分、ツキさんよりも俺の方が気になってるからな。」
「おお!クインズさんじゃないか!って、そこのパーティーにいると常識が壊れるから今からウチに来ないかい?闘技場殿堂入り殿。」
「生憎と既に仕事を割り振られてな、そこの狐巫女に。個別メッセージで情報は送ってくれ。そこから全員に回す。」
「釣れないなぁ〜・・・。まぁ、売ると言ったからには情報を渡そう。」
そう言ってグレイさんは情報を渡して秋ドンさんからアイテムを買って、供物族満載のエリアへメンバーを引き連れて入っていった。それを見送りつつクインズさんが買った情報を全員に共有してもらったけど、かなりメンドイことになってるなぁ・・・。
レイドに挑むのに人数制限はなかった。なら、理論上は20人でも40人でもまとまって挑んでも問題はない。少なくとも俺が商人をしつつ見送った中で、一番多いパーティーは15人。
上の状況は分からなかったけど、グレイさん達から買った情報ではっきりしたことがある。あんまり人数が多いと、アームブンブンが連発されるんだって!しかも、芋虫出しながらブンブンしてくるんだって!メダル落としかよ!もしかして、海上封鎖が上手くいってないのって、プレーヤーのせい?
確かにタコが・・・、いやコムズ?タコズ?が海で見かけられたなら、邪神と戦えば戦うほど芋虫は寄生虫されたNPCとして羽化してくるし、それをアーム振り回して海に落としてたら、NPC達も邪神討伐時よりも先に、目の前のモンスターの流出阻止だよなぁ〜。
「かなりマズイ。」
「かなりマズイのぉ。」
「ヤバいやん。」
「だな。」
「えっと・・・、アームブンブンがマズイ?」
「多分違いますよサクラさん。邪神を倒しても邪神に関するモンスターは消えない。それがマズイんですよね?」
「篝火さん正解・・・。」
「イベントとは言え、この世界で起こった出来事は事実として残る。じゃから、海上封鎖が失敗すれば・・・。」
「邪神が倒れても、邪神系のモンスターが新しく配置されるかも?」
「そう!だからさっさと封印して下を手伝うか、運営に期待して邪神を封印したら、封印したプレーヤーから産まれたNPC寄生虫モンスターが、除外されるのを祈るしかない。」
「じゃから封印なんじゃろ。メインストーリーは討伐じゃが、今の邪神は封印から始めんといかん。今回はその封印が完成して終わりなのか、はたまた封印が完了したら討伐に移行するかは誰も見とらん。」
「せやけど、リローデッドなら再構築やろうな。封印再構築して一旦、平穏へ戻るっちゅうな。」
そんな話をしているなかでも、挑むプレーヤー達は邪神を目指す。って、早くいかないとデーブルが動く!そんなことになれば立てた作戦が振り出しに戻ってしまう!
「さぁ、いきましょうか。」




