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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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221話 リローデッド

「はい、まいど〜。」


 新年早々から邪神前で商人をしているものの、結構ここまでたどり着くプレーヤーは増えてきた。それにつれて、同じように商人プレーする人もそこそこいる。


 まぁ、クランとしては自分たちが死んだ損失と言うか、ナイトメアキャッチャー代を稼いでおきたいと言うのもあるだろうし、ここまでたどり着くのが楽なら、それだけ商品の補充も楽にできる。


 グローズドゲームのように、魔王城近くの街の物価が安定してるなんてことはMMOだとありえないのよね。だってそれだけ来るのも難しければ、来た本人が邪神に挑んで悪いという話はない。


 そんな中であった珍事と言えば、正月で浮かれたプレーヤーが課金装備満載で訪れて『我々は必ず邪神を倒す!だから、アイテムを分けて欲しい!』と、声を上げたこととか?


 本人達は勇者になりきっているつもりでも、周りからの視線は冷ややかである。売ってほしいなら分かるよ?だってそれは商売だし。でも、分けて欲しいってことは、金払いたくないからタダでくれってことだよね?フレならいざ知らず、知らないプレーヤーに快くアイテムを渡すプレーヤーなんていない。


 残念なことに、ここにいるのがプレーヤーなら声を上げたのもプレーヤー。勇者不在のゲームでなにかをくれと言うのはただのたかりだし、そんなプレーヤーに渡すくらいなら、自分で邪神に挑むと考えるのがプレーヤー。


>> ツキちゃん稼ぐ〜


>> 他にも商人増えたけど、先駆者有利か?


>> 価格として納得できるからじゃね?

  俺達参拝者も見てるし、下手な不正はできない


>> 素材での交換も受けてるからなぁ〜

  流石に杭の欠片よこせはしてないけどさ


「つ、着いたぞ・・・。」


「あの目玉なんなんや!ノックバックさせたら潰れるとか!」


「まぁまぁ、フロムさんも秋ドンさんも・・・。クインズさん、危ないところを助けてもらって、ありがとうございましたし。」


「クインズさんありがと〜。いや〜、大剣振り回してたら壁に押される押される。」


「かまわんよ。どうせここにいる面子はツキさんのところを目指してるしな。で、あそこで商品並べてウハウハの狐をどう見る?」


「ギルティ!」


「ギルティや!」


「え〜と、ギルティ?」


「でも、最前線補給拠点になってたんだよね?ギルティ。」


「フレ一同からギルティと言われているが?」


>> 咎人にされるツキちゃんw


>> まぁ〜、ボロ儲け羨ましいし?


>> 実際商品売ってくれる人がいないと

  詰むプレーヤーが多い説


>> 緊急換装とアイテムの保有率

  古参ならどうにかなるんだろうけど

  クランとかに入ってると、それだけメンバー

  に使って減るからなぁ〜


>> 12/27から戦ってるから、お金はあっても

  アイテムが厳しいプレーヤーは多い


  死なない立ち回りができる=アイテムリソース

  節約


「ヘイ!私は邪神の攻略率を上げていただけの、よい狐巫女です。だから、なんの罪もない!それに・・・、ちゃんと自分達の分は残してますよ。」


「残してもらって嬉しいのは嬉しいですけど、僕は多分邪神に挑んでもすぐに殺されるなぁ・・・。」


「大丈夫だよ篝火くん。私もすぐに死ぬから!」


「サクラ・・・、それは大丈夫とは言わん。」


「せやけどフロムはん。ウチも死ぬで?下手したらこの先の供物族エリアで、モンスターと間違われて頭ふっとばされてまう!」


「秋ドンさんはフレンドリーファイア対策は?」


「ごっつちゃんとしてきたで?なんや、クインズさんはお硬いなぁ。」


(俺はこのノリについて行けるのだろうか・・・。フロムさんを見つけて、ツキさんのところに行くならと組んだんだが・・・。)


「まぁまぁ。で、私が死んだ後は?」


 クインズさんが遠い目をしてるけど、なんだかんだで連れてきたメンバーはそこそこ強い。秋ドンさんもカンスト手前、フロムさんは言わずもがな、篝火さんはトラブルオンラインを始めて約2ヶ月半くらいだけど、領地防衛戦を戦い抜いてPvPの経験は豊富になってるし、サクラさんも同じく。


 はたから見れば変なパーティーなんだろうけど、ゲームって結局は気が合う合わない、チームプレーするにしても気兼ねなく指示できたり、されたりする状況じゃないと楽しくないのよねぇ。


 まぁ、誰かリーダーを決めて騎士団ごっこして楽しむ人もいるけど、本気になり過ぎで規律やら規則なんかをつけられると、窮屈で仕方ないし。


「パーティーチャットで話そう。その方が情報としても価値がでる。一応、挑むまでは配信にも流さないでくれ。」


「了解で〜す。」


>> ケチー!


>> 情報に飢えた参拝者がいるんですよ!


>> 邪神攻略の情報はちらほらでてるけど

  討伐したって話はないな


>> 今が元日の夜、明日の18時までは粘るんじゃない?


>> 悪い文明の運営がなにか仕込んでる?


 パーティーチャットに意識を切り替えつつ、露店の方も完売次第売り切れの表示をだしておく。これで待たれて商品がなくても文句は言われないだろう。パーティーチャットの方は音声も、配信には乗らないようにしたし、これで心置きなく話ができる。


「さてと。設定はこれでいいとして、先ずは私から。ここで商売しつつ何度も挑むプレーヤーと話をしてましたけど、封印は1つ完成してるみたいですね。そして、ツキンズは居残りなのか、まだ邪神のところにいるみたいです。」


「ナイスやツキさん、抜け目ないやん。」


「情報は金ですよ?そう言う秋ドンさんは?」


「ウチはNPC方面やな。早い内に篝火さんやらサクラさんと合流できたから、色々やっとったけど憶測の域をでらん話で、戦場で助けたNPC数=邪神に投入できるNPCやないかと言われとるで。」


「それって、かぐやとかで助けたNPCってこと?」


「そうですツキさん。ツキさんが助けた子供のNPCや僕やサクラさん、秋ドンさんで助けた多数のNPC。これが再起組として邪神に投入されるかもと。」


「私たちが助けたNPCって、結構怪我したNPCが多かったんだよね。その癖して、療養じゃなくて武器をくれっていうし。」


「ワシはさっきインしたからそこまで情報はもっとらんが、海上封鎖しとる戦艦は範囲を狭めるような動きをしとった。邪神がまた逃げるなら空振りじゃろうが、邪神側もおいそれとは逃げんじゃろ。」


「逃げない?もっと色々なところを渡り歩きそうですけどねぇ?なにか理由が?」


「それは俺とフロムさんとで話してみたんだが、先に教えてくれ。邪神の封印については多分、俺が施したものだと思うがどの位置だ?」


「確か背中ですよ、真後ろから見て多分右側。片方しか芋虫が出てなかったから、不格好だったみたいな話は聞きましたね。真正面から見たら左側に隙があるとかも言ってましたし。」


「なら、俺がやった封印で間違いない。少なくとも特殊モーションまで使って杭を打ち込めば、それで封印にはなると思う。ただツキンズが残ってるのは想定外だ。」


「ツキンズはやはり?」


「私とクインズさんの間の子ドッペル。いや、間の子と言うよりも長所取りドッペル?オーソドックスに接近戦も魔法戦もやる超絶お邪魔モンスターって話です。」


 流石に大魔法乱発のクソ仕様ではないと思いたい。でも、大魔法でふっ飛ばされたパーティーも多いんだよなぁ・・・。邪神本体の攻撃は戦った感じだと結構シンプルで、芋虫呼び出しと、それが羽化してNPCになっての物量戦。


 巨大アーム振り回しによるフィールド広範囲攻撃、そして雑で大ダメージ貰うぶん殴り攻撃。地味にフィールドの中に潜って移動するのも面倒だけど、回避には使わないっぽい。なにせ俺とクインズさんの杭攻撃は回避せずに受けてたし、封印される時もその回避方法は使わなかったのだろう。


 逆にツキンズはどう手を付けるべきか・・・。アレイスターの地下でもそうだったけど、プレーヤーの長所を取ってモンスターのステータスを上乗せするとか、かなりのクソ仕様ではある。


「オーソドックスに考えるなら、俺とツキさんがツキンズを食い止めて、その間にフロムさんチームで封印の構築か?」


「それならウチはツキさんチームやな。基本銃での攻撃やけど、舞を崩したりするんはやっぱり銃やで?それに、遮蔽物のないフィールドなら端から端まで弾も届くやろ。」


「フィールドの淵で走り回ります?秋ドンさん。多分落下判定もあるから、かなりシビアですよ?」


「その前に私と篝火くん死なない?ツキさんほぼ一撃死でしょ?」


「ツキさんにHP求めても仕方ないぞ、サクラ。亜人は物理攻撃と魔法攻撃が一番伸びる。逆にHPは育ちにくい。そんな中で最低身長、最軽量アバターなら下手すりゃレベル200もいかん人族に負ける。」


「ツキはんから尻尾取ったらなにが残るん?」


「ハッハッハ・・・、可愛い私だけが残る!」


「ただのコスプレ美少女やないかーい!」


「秋ドンさんにツキさん、俺達は真面目に攻略をだな・・・。」


「いやいや、クインズさん。ツキンズの芋虫尻尾、あれを刈り取れば多分HPそのものは高くないはずですよ。いくらステータスが邪神並みと言っても、HPまで邪神と同じだと・・・。いや、まさか・・・。」


「なんじゃ?」


「邪神って増えたとか言うんですけど、聞き取れない部分が何か所かあった。仮に、その1つが『我々が増えた』だったら最悪だなと・・・。」


 優秀な個体・・・、それが俺とクインズさん。そこから混ぜ合わせて作られたツキンズ。仮に・・・、そう仮に、だ。山ほど攻めてくるプレーヤー相手に大規模レイドをしようとしたら・・・?


 当然全員が攻撃できるようにモンスターをデカくする。でも、邪神はそんなにデカくない。なら、挑む先の邪神を代替わりさせていき、プレーヤー側も邪神側も新しいカードでイベントを進められる。と、言うか芋虫が出なくなったら封印と言う設定なら、今の邪神よりも倍近く出てるツキンズの方が優秀だよな?


「それはつまり・・・。俺が封印を施した邪神を封印しきった場合、次はツキンズが邪神としてプレーヤーに襲いかかるかもと?」


「だって、同じ邪神を同じ風に封印するのは作業でしょう?クインズさん。」


「・・・、それは確かに。邪神リローデッド、か。」


「あの〜、僕メインストーリー未攻略なんですけど・・・。封印箇所ってわかりやすいんですか?」


「胸を張って、攻略率ゼロパーセントのツキが通りますよっと。大丈夫篝火さん、芋虫をモグラ叩きして、台ごと叩き壊すだけだから。」


「サクラ、場所は覚えとるか?」


「確か・・・、腹?」


「顔と背中じゃ!」


「ハンマー技とかもっとらんから、ウチは援護に徹するで〜。」


「秋ドンさん・・・、ノックバックは?」


「ぎょうさんあるで?」


「寄生されたNPCにラーニングされるから、いざと言う時まで禁止でお願いする。」


「マジか!クインズはん!」


「ちょっとちゅ〜も〜く。」


「どうしたのツキさん。」


________________________




  なぜ・・・、終わったと思っていた?


  なぜ・・・、終点だと錯覚した?


  なぜ・・・、なぜ、なぜ、なぜ!!!!


 本当の邪神、滅びることなき者をご覧に入れよう。



〜運営より〜

 

12/27より3周年イベント


『邪神リローデッド』が開催されます!


参加制限はありません。

報酬一覧、討伐形式は→こちら



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「運営からの開催宣言・・・、文。」


 あっ、クインズさんがモアイみたいになった。フロムさんと秋ドンさんも目が点になってる。そうだよなぁ・・・、読み返すと運営は有言実行してるんだよなぁ・・・。邪神がまた来るから終点云々だと思ってたけど、そんな優しい運営はここにはいない。いるのは悪い文明と言われる運営だけ!


 そして、全員参加ならなにかしらのギミックがある。なら、それはなにか?今いる邪神を初期状態の邪神とするなら、それを封印すれば封印したチームは勝ち。


 そして次のチームは邪神ツキンズを封印すれば勝ち。その際優秀な個体を作れば、次の邪神もお手軽に設置できるし、なによりメンバー次第では邪神そのものの強さが変わる。


 当然だろう?カンストプレーヤーが討伐終了すれば、次は未カンストプレーヤーが邪神に挑み、それを繰り返せば自ずと邪神そのものは弱体化する。クッソ〜・・・、確かに塔の外壁にも杭がこれ見よがしに大量の刺さってたんだよなぁ〜。


「えっ、なに?なにがあるの?」


「さぁ?僕には分かりませんよサクラさん。ただ、僕たちは以外は死んだ魚の目をしてますけど・・・。」


「簡単な話じゃよ・・・。今の邪神が基準点なら次の邪神・・・、ツキンズは今の邪神の倍は最低でも強い。」


「せやな・・・。今の邪神が芋虫5、ツキンズが10なら、追加された5匹分の強さは保証されてるんやない?」


「ツキさんと2人で挑んだが、確かに邪神よりもツキンズの方がウザかった・・・。なにより『ツキンズ?』のハテナ部分は確定されてない未知を表していたか・・・。」


「・・・、ナイトメアキャッチャー使うので、1回使える盾にでもして下さい・・・。」


「同じく。ツキさんにまともに勝てるとも思えないのに、流石に私じゃ死ぬ!」


「いや、2人はここで意地でも勝ったほうがええで。ウチもやけどな。」


「じゃな。気合い入れろ、2人とも。自分第一でいいから生き残れ。」


「ですね〜。次とか考えたくない。」


「同感だ・・・。」


「えっと・・・、なんで?」


「リローデッド、再装填もやらせてるんですよ運営は!ツキンズが邪神になれば、次は邪神ツキンズ+ハテナ付きのドッペルミックス。つまり、今以上に次は状況が悪化する。」


 仮に今の邪神を討伐と言うか封印?したメンバーがイベントコンプリートで除外されるなら、ツキンズは作られないし、フロムさんとかとのミックスも生まれない。


 その代わり次の挑戦者は死ぬほど辛い・・・、わけでもない。仮に今の邪神を討伐してツキンズが邪神となり、再度ミックスを作るときにレベル1のプレーヤーだけだったら?


 当然選ぶのはその中からで、ツキンズ潰しに注力できる。まぁ、その邪神ツインズを倒せるかは別としても、相方となる邪神候補が弱いのは明らかにプレーヤー有利だろう。但し、ステータスをどう設定するかなんて知らないけどさ。


「途中で死んだらやり直しですよね?運営なら間違いなく『笑顔で悪夢が振りほどけなかったね』って言いそうですけど・・・。」


「ナイトメアキャッチャーとか、1個しか持てないのに!」


「なんにしても今封印して一抜けするか、明日の17時頃まで粘って弱いテーブル用意してもらうかですね。」


「俺は邪神を倒したいと思うが?」


「ええんやない?クインズはん。ツキンズなんかは後に回せばええよ。カンストプレーヤーが大勢でボコってくれるやろ。」


「ちなみに、1対多数のPvPならクインズさん何人倒せる?」


「闘技場のバトルロワイヤル形式でなら、10人は倒せる。ツキさんは?」


「う〜ん、闘技場はもう籠もらないしなぁ〜。あっ!ハロウィンの時なら、フィールドでモンスターもPK対策してなかったプレーヤーも含めて数百とか?」


「それはもう災害ですよ・・・。あのメテオは怖かった。」


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