213話 朝はまったり釣り
「明けまして、おめでとうございます。明けまして、おめでとうございます。」
>> あけおめ〜
>> あけおめ、ことよろ
>> 明けてしまわれたのですか!
>> くっ!鎮まれ・・・、鎮まれ仕事へのカウントダウン!
>> 1人じゃ無理だろう?
手伝ってやんよ!
>> おっ!なにするの?
>> 辞表〜
>> おいバカ、やめろ
「はい。散々あけおめ言ったので、来年まではもういりませんね。」
>> 言わんのはいいとして、なんでまったり飯くってんの?
>> 攻略はよ!内部映像ないんよ!
「いや〜・・・、腹も膨れたし釣りとかします?でっかい岩の上で糸垂らして。」
>> 夜のやる気どこ行ったw
>> どうして狐巫女は斜め上に行くのか?
>> 神主さ〜ん、サボってる巫女がいますよ〜
>> ハルPいないから適当にやってんな?
「いやいや、賽銭バッティングで肩が壊れそうなんですよぉ〜。」
ハルP>> ウチは廃神社ですよ、ツキ
真面目に仕事をするのです
「ぬっ!小癪な!ワシはこうして仕事をしておるのじゃ!今日は術で縛られたりはせんぞ!と、まぁ。広場でどっこいしょっと。」
>> えっ!?ガチで座り込んだ?
>> 大麻はフリフリしてるけど・・・
エギング?
「慌てない慌てない。そもそもですね、今日は元日。つまり、二日酔い、食べ過ぎて胃もたれ、初詣からの初売り行方不明者、深夜テレビだら見からの寝落ち勢等々。まともな戦力はいない!」
基本無課金のゲーム。どの層がやってるかと言えば、圧倒的に大人である。そもそも子供だけをターゲットににした場合、収益そのものが先細りになるから、労力の少ない切り売りと言う形を取るし、それでも課金制にしようとするならキャラクタービジネスを押し出す。
元日の朝なんてものは大概の大人は寝てるし、動き出すにしても昼前くらいから。だから、こうして太公望よろしく大きな獲物がかかるのを気長に待つ方がいい。
「運営からのログインボーナス福袋とか開けちゃう?おみくじ形式だけど、大吉とか引いちゃう?」
>> 大吉なに〜?
「大吉はですね・・・、モチモチナックルです。えっ?なにこれ、引っ付いたら離れないって、吸盤?ガム?」
>> インファイターなら欲しい
>> いや、ナックルって両手装備・・・
>> 端的に言ってゴミですな
「さ、流石に何カウントかで外れるでしょう。・・・、ワイバーンにコレで取り付けば、後はヒール連打でリローデッドに触れる?いや、まさか・・・。」
>> ちょっと用事を思い出した・・・
>> プレーヤーさんチーッス!
「中吉がミカンアーマーで、吉がお年玉シールド、小吉が門松肩当てに末吉が御来光ヘルメット・・・。なんでしょね?御来光ヘルメットは悪意がある。」
ヘルメットと言いつつ、メット部分はなく代わりに装備イメージ画像だと頭の後ろに御来光が見える。コレってスキンヘッドアバター用のネタなんじゃ・・・。と、言うか全体的にステータスだけ見ると、地味に使いやすそうにが憎い!
「そして、なんで凶を通り越して大凶にした!」
>> おっ!ツキちゃん大凶?大凶引いちゃう?
>> 大凶は特殊武器の御札か
>> 覚醒させるの地味に大変そう
記念装備だと割と売る人少なくない?
>> いや〜・・・、あの見た目装備使いたいか?
>> ネタなら御来光?
「う〜ん・・・。ステータス的なハズレはないけど、見た目的には全部ハズレ?門松肩当てで世紀末ごっこは捗りそうですけど・・・。」
門松が肩についてタックル・・・。はっ!ザクか!ザクタックルか!いや、門松よろしく3本松だしなぁ・・・。なんにしても開けてみないと始まらない。インベントリから福袋を取り出し、それを開くとルーレットスタート!
「あら?今回は射る形式か、どれどれ。ハズレはないからなにか当たりますよ〜。貫け!」
適当に弓を射ってくるくる回るルーレットへズドン!そのままルーレットが止まると、当たった商品が見えてくる。えっ!?今のところここでしかおみくじ引けないんだけど、マジかよ・・・。
「おかしい!巫女なのに大凶とかおかしい!」
>> 期待を裏切らないツキちゃんw
>> 新年早々サボろうとするから〜、もう!
>> 雪でコケるなよ?滑っつコケるなよ?
>> 全力の前フリじゃねぇか!
「ぐぬぬ・・・。わたくし、狐巫女のツキはこの大凶御札を覚醒させます!後4っつ買い取るぞーーー!!!値段は今のところまだ決まってないから5千ゴールド!早いもの勝ちだよ〜!お年玉価格だよ〜。今はジャイロにいるよ〜。」
低くもなくかと言って高くもない。いや、全員当たる可能性のある福袋装備なら、使わないと決めたプレーヤーなら売りにくる。なにせ、御札は扱いが難しい妨害装備だしなぁ〜。メイン火力にするにしても、かなり心細い片手装備だし。
「なにをしてるんだツキさん。」
「あら、クインズさん。明けまして、おめでとうございますは売り切れたので言えません。代わりに大凶御札買取してます。」
「配信者は大変そうだな。御札なら俺も引いたから価格がマッチするなら売るが?」
「5千ゴールド!」
「・・・。絶妙なラインだが、いいだろう。どうせ俺は使わないし。ほい、交換申請。」
「まいど〜。5千ゴールドでハンマープライス!後3人早いもの勝ち!なんなら正月装備全部買い取りでもしようかな?」
>> ガタッ!
>> ガタガタッ!
>> ポーション高騰してるし売るか・・・
>> 杭交換するよりも、売る方がお得?
>> ミカン化するツキちゃんw
>> ハッピーセットだなw
「で、なんでまたクインズさんも私の横に座り込んで?」
「いや、流石に今から突貫はせんだろ?レイドだぞ?1人で殺しきれるようなボスを悪い文明の運営が置くわけない。それに、太公望するにしても1人じゃな。」
首を竦めて見せるけど、考え方は同じか。この感じだと前線にはNPCはいないんだろうし、滝壺バンジーしてる組も暇つぶし路線が濃厚。と、言うか今しか試せないことを試してる的な?後はモンスター狩って杭の欠片集めに精を出してる組。
そんな事を考えつつ、結構売る人が多くて正月装備は集まっていく。なんだかんだでクインズさんが横にいるのは、目立つからいいんだよなぁ〜。闘技場殿堂入りとはそれだけ凄いことだし、その本人も尖った人という訳でもないし。
「まいど〜。あっ!御来光は買い取り終了で〜す。後はモチモチナックルだけで〜す。」
「その御来光、覚醒したらどうなる?」
「してみましょうか?重ねて覚醒、そして装備!」
「うおっ!眩しっ!」
「覚醒ボーナスは・・・、日の出日の入りができる。って、チカチカさせるだけじゃん!対人戦ガチ装備かよ・・・。」
「相当うざいな、ソレ。一カウント後にいきなり目眩ましとか、下手すら俺でも距離をとる。ミカンアーマーもフレッシュな果汁が飛び出すだろ?」
「そうですね。接近戦で切られたりしたらパックリ割れてミカンの汁が・・・。なんでまた作り込むかなぁ〜。」
「だから飽きずにできる。ある意味運営との知恵比べだからな、これ。ツキさんも新武器は検証派だろ?」
「しないとなにが出るやら。この大凶御札だって、覚醒させたら割とガチっぽくなるし。」
相変わらず御札の火力は低い。その代わり、大凶御札は投げると相手に向かって飛んでいきノックバックかスタンさせる。確定ではなく確率。そして、どちらが出るかも確率。一応、覚醒ボーナスは『不運なアナタへ!』とのみ書かれているから、なにかしらの不幸が起こるんだろう。
まさか引いた本人ではなく、強制的に大凶を相手に引かせる装備だとは・・・。まぁ、ラックなんてないこのゲーム、流石に即死なんてことはなく、精々何回も送られて確率が上がり続けるとか?
「おっ!まいど〜。記念に大麻振りますよ〜、必要ですか?」
「参拝者です!お願いしますツキちゃん。」
「おっ!なら豪勢にいきましょうか!本年の御多幸と息災を祈り・・・、祓へ給へ 清め給へ・・・。」
左右左と振り音もバサッ、バサッと響かせる。コレで福袋装備も買い取り完了!と、言うかなんでまたモチモチナックルだけ遅かったんだろ?
>> コンプリートおめ〜
>> モチモチナックル攻略・・・、割とガチだ
>> マジでやってたのかよ・・・
>> 最初の距離さえどうにかすれば
下手すると盾サーフィンよりも安定する
ポーションは結構いるけどな
>> おっ!ナックルアーツで繋げて・・・
>> 渡りきった!
>> いや・・・
下を進むルートも少しは思い出して上げてください
>> 新年一発目の夢・・・
俺は空へ羽ばたく!
>> 鳥人間かな?
「さて、そろそろいかないか?買い取り終了だろ?」
「いや〜、クインズさん。そろそろっていいますけど、多分邪神リローデッド移動しますよ?」
「その前に乗り込もうと思う、視察に。」
「なるほど、物見遊山なら付き合いましょう。ポータル開放後に移動して中見てないから、はじめからなんて言われたら、泣くに泣けないですし。」
コメント欄を見ると誰かがリローデッドにたどり着いたとある。それが何人目かは分からない。でも時間も10時を回って、寝てる組もそろそろ起きて動き出す。なら、朝の特番風配信やるならこのタイミングだろう。なにせ、待ったらクインズさんという大物も釣れたしね!




