↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憎まれ悪役令嬢のやり直し 〜今度も愛されなくて構いません〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/74

63・世界の理への問いかけ

 それからの海で遊び、辺りが暗くなってきたところで別荘に戻った。


「バーベーキューをしようよ。食材は持ってきてるから」

「いいわね」


 フェリクスからの提案で、私たちはバルコニーでバーベキューをすることになった。


「ほら、オレリア。そこの肉、もう食べられるわよ」


 と私は鉄板から肉をトングで掴み、オレリアのお皿に取り分けてあげた。


「ありがとうございます。ああ……クラリス様に取り分けてもらったお肉、とっても美味しいわ」

「はいはい」


 適当に返事をする。

 彼女はいつも大袈裟なのだ。


「フェリクスも……見てないで、いっぱい食べなさいよ。それとも、食欲ない?」

「いやいや、そんなことないよ。お腹ペコペコさ」


 ニコニコと笑みを浮かべるフェリクス。



「ははは、部員が少なすぎて存続危機があったのに、今年はこうやってみんなでバーベキューをするなんて夢のようですね」

「部長、そんなこと言ってないで、じゃんじゃん食べてください。まだまだお肉はあるんですから」

「ボクは元々、食が細いんですよ。そういうモニカくんはよく食べますね」

「いけませんか?」

「いや、よく食べる女の子は好きだ」



 部長とモニカさんも楽しそうにいちゃいちゃしてる。


 そんな二人の様子を眺めていると、早く付き合っちゃえばいいのに! と心から思う。


「ほら! ヘルムートも! なんでそんなところで、ぼけーっと突っ立ってんのよ!」

「いや……やけに張り切っていると思ってな。まるで使用人みたいだ。その上、よく食う」

「だって食べられる時に食べないと、いつか苦労するかもしれないでしょ? 食べ物っていうのは粗末にしちゃダメ。地下牢に閉じ込められたりしたら、満足にご飯を食べることも出来ないのよ?」

「どうして、地下牢に閉じ込められる際の想定もしなければならないのだ」


 ヘルムートが嘆息する。


 確かに……ちょっと張り切りすぎかもしれないが、それは今日という一日が楽しいから。


 いつまでも終わって欲しくない一日というのがある。

 こんな日がずっと続けばいいのに……って。


 きっとこんなことを考えるのは、私に死に戻り前の記憶があるからだろう。


 どんなに楽しい日々でも、なにかがきっかけに崩壊する。

 だからこそ、そうならないために努力するし、それまで悔いが残らないくらいに楽しもうとするのだ。


 そうして私たちはバーベキューを楽しんでいたが……。



 ゴロゴロ……。



 そんな音が空から聞こえたかと思うと、ぽつりぽつりと細い雨が降ってきたのだ。


「どうやら、爺やの予想は的中したみたいだね」


 残念そうなフェリクスの声。


「そうみたいね」

「今のところは大丈夫だけど……本降りになる前に、室内に戻ろうか。残念だけど、バーベキューはここで終わりだ」


 食材もほとんどなくなっている。

 じゃっかん、食べ足りない感もあるが、腹八分目にしておくのが丁度いいかもしれない。

 夜はまだまだ長いんだし、室内でもやれることは多いからね。


「分かったわ。すぐに室内に移りましょう。片付けは……」

「雨がやんでからでも十分だよ。ほら、雨が降らないうちに」


 みんなは名残惜しそうにしながらも、バルコニーから去ろうとする。

 私もその後を追いかけようとしたけど。



 くらあっ。



 食材を焼いていた鉄板に背を向け、一歩踏み出しだ瞬間。

 目眩と共に、不思議な感覚に囚われた。


「これは……」


 どうしてだろう。


 こんなことは初めてだったのに、私はこれを一(・)度(・)経(・)験(・)し(・)た(・)ような気がして、思わず足を止めてしまった。


「クラリス……?」


 私の異常に気付いたのはヘルムート。


 彼に声をかけられたが、私はそれを意に介さず、導かれるようにみんなと反対方向に歩いていった。





「ねえ……もしかして、私がこ(・)う(・)な(・)っ(・)た(・)理由を、あなたは知っているんじゃない?」





 誰に言うわけでもない問いかけ。


 私にだって分からない。

 この『あなた』というのが一体誰なのかというのも……。


 しかしこの時の私は、まるでこの問いかけこそが世(・)界(・)の(・)理(・)に迫るものだという妙な確信があった。



 バルコニーからは、森林を抜けた先にある崖が小さく見えた。


 そこには白くて高い灯台が聳(そび)え立っている。


 私は手を伸ばし、答えを求め──。



「……っ!? 危ない!」



 え……?

 黒くて細長いなにかが、私に向かって伸びてくるのが見えた。

 一瞬のことすぎて、なにが起こったか分からない。



 気付けばヘルムートが私の体を押し──彼の米神に、闇の弾丸が突き刺さったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載☆

Palcy(web連載)→https://palcy.jp/comics/2209

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中!
bj03hc29q4z7bztguwndp9icgz2_fs1_1d2_1xp_orsi.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。