表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憎まれ悪役令嬢のやり直し 〜今度も愛されなくて構いません〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/74

4・おしどり夫婦

「クラリスがリタに『ありがとう』と言った!?」

「パパ! これはすごいことよっ! 今日を『ありがとう記念日』と名付けて、急いで領内に周知を徹底しなくっちゃ!」

「や、やめてーーーーー!」


 リタから話を聞いて。

 年甲斐もなくはしゃぎ、勝手に話を盛り上げる両親を私は必死に止めていた。


 そんな記念日作られたら、恥ずかしくて街中を歩けない!

 もうっ……! 感動の再会なのに、こんなことをされたら涙も引っ込んじゃう!


 生前の両親よりも少し若い。まあそれも当然で、ここは八年前だからなんだけど。

 なんにせよ、二人の元気そうな姿が見れてなによりだった。

 ……感動の再会というわけにはいかなかったけど。


「うむ……クラリスがそう言うなら、記念日のことは一旦保留にしようか」

「残念ね」


 保留じゃダメだ。未来永劫考えないで欲しい。


 お父様が残念そうにしているのを、リタはニコニコと後ろから眺めていた。


「記念日のことは残念だけど、クラリスがそんなことを言ってくれて嬉しいわ。なにかあったの?」

「と、特になにもないわ。ふと思っただけ」


 まさかあなたの娘さんは、八年後に冤罪にかけられ処刑にされますよ……と言えるはずもない。


「それに……それだけじゃないわ」


 わざわざ宣言する必要はないと思っていた。

 しかしこの調子だったら、これからなにかをやる度に記念日を作られそう。だからここでまとめて言っておくのがいいだろう。

 

「これからは勉強も頑張る。私は女だから跡取りになれないかもしれないけれど……伯爵令嬢として、恥ずかしくないように生きるわ。これは私なりの決意表明」

「「…………」」


 お父様とお母様が目頭を抑える。


「おお……っ、クラリスがそんなことを言ってくれるなんて……」

「クラリスちゃん、今までお勉強大嫌いだったもんね」

「うむ。しかし伯爵令嬢としての自覚が出てきて、私は嬉しいよ。クラリス、大人になったね」

「そうだわ。今日という日を『クラリスちゃんが大人になった記念日』に制定して……」

「だから記念日はダメだってば!」


 ほんと……どうしてお母様は隙あらば記念日を制定しようとするのだろうか。

 だけどこうやって仲睦まじく、私のことを話している二人を見ているとほっこりする。


 おしどり夫婦という言葉は二人のためにあるんじゃないだろうか? 

 そう思えるくらいに、お父様とお母様の仲は良好だった。


 最初は政略結婚だったそうだけど、徐々に二人は惹かれあっていき、今ではご覧の通り。そんな両親に私は憧れていた。

 だからこそ、二人の期待に応えようとするあまり気が張って、『悪役令嬢』と呼ばれるに至ったのかもしれない。


 きゃっきゃっしている二人を見ていると、『真実の愛』という言葉が頭に浮かんでくる。



『クラリス、すまない。僕は真実の愛を見つけたんだ』



 これは婚約破棄された時に、元婚約者から言われた言葉だ。

 それを思い出すと、胸が痛くなってきた。


 いけない……忘れましょう。思い出しても辛くなるだけだから。


「こほん。それよりもクラリス」


 お父様は咳払いを一回してから、こう口を動かす。


「明日はお茶会だね。準備は出来ているのかい?」

「お茶会?」

「おや? もしかして忘れてたのか? ダメじゃないか。明日はアシャール公爵家が主催するお茶会だろう? そこにお前も参加することになっているじゃないか。勉強を頑張るのもいいけど、まずは目の前のことだ」

「あ」


 アシャール公爵家でのお茶会──。

 その言葉を聞いて、私はさーっと血の気が引いていくのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載☆

Palcy(web連載)→https://palcy.jp/comics/2209

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中!
bj03hc29q4z7bztguwndp9icgz2_fs1_1d2_1xp_orsi.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ