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私の変態おじさん  作者: いちごぱんつ大佐
第一章(ここから書き直し↓)
20/85

01-1

 聖金星セント・ヴィーナス女学園は、地域密着型の超戦闘ミッション系冒険者養成学校だ。全寮制のこの学園では、生徒達は冒険に関する様々なことを学び、時には依頼を受け、報酬を手にしながら生活をしていた。


 学科は、大きく分けて二つ。戦士科と魔術科である。戦士科は接近戦闘を主に、魔術科は戦術や魔術といった後方支援を主に学ぶ。入学した生徒は、それぞれの適性に合わせて振り分けられた。


 設備は、大都市の闘技場にも負けない演習場やら、近距離、遠距離を目的とした訓練施設、魔法研究所。学習以外にも、食堂、ダンスホールなど。ダンスホールなんてどうしてあるかは不明だが、食堂のジビエを利用したランチメニューは、味もさることながら値段も手ごろで、合格点。だめ押しには、リクリエーション的な大型温泉施設なんてものもあって、文句もつけようもなく、ほぼ完璧。

 

 だが、この学園には、大きな欠点が一つあった。それは、周りに男がいないこと――男女の出会いというものがないのであった。




「はぁぁ、どこかにいい男はいないかなぁ」


 放課後、友人のミユと近くの町まで男漁り……もとい、散策に来ていたナナは大きなため息をついた。ただいま、彼氏いない歴を〇年、更新中。


 学園のあるイーストエリアは農業経済が主体の小さな田舎町であり、年頃の男たちは中央に出稼ぎに行っていたり、残っていても既婚者だったり。残る男も、卒業を前に焦った先輩達による、いささか問題のある強引な手法で狩りつくされていた。


 そんなこともあってか、町で囁かれている生徒たちの評判は芳しくない。「町中を徘徊する男食い(マンイーター)」だの「現代に蘇るアマゾネス」など、そんな不名誉な通り名がつけられている。これが男性関係の疎遠の一員にもなっているのだが、当のナナたちは知る由もなかった。


 改めてミユをみる。後衛職だからできる、腰までかかるロングヘア―に、男受けしそうな幼い顔立ち。これが男からしたら、保護欲をそそられる、のだろうか。ミユは少し見られてるのに気づいたのか、少し髪を触る。


 一方ナナはというと、どこからどう見ても普通。……うん、普通、である。何も特徴がない顔立ちは化粧したらそれなりに見られるものの、その美しくも鍛えられた筋肉はごまかしようがなく、服の隙間から、その武骨さを無慈悲に覗かせる。


(神様って不公平よね。)


 顔も、魔法も、生まれつき。努力、なんて嘘っぱち。身分だって、貴族のもとに生まれるか、宿屋の娘として生まれるか。人類平等とかいうけれども、スタートラインが違う。努力したところでどうにもならないものがある。


 と、溜息をついても仕方ない。ちょっぴりダークな気持ちを飲み込むと、そんな人生を変えてくれるような素敵な男性を捕獲……出会えるようなことを願ってひたすら町を練り歩いていく。が、むなしく時間だけが経過していき、やがては賑やかな人通りも消え失せ、今日も一日、無駄に日が暮れていく。


 すっかり諦めかけてた時――


「ねえ、あれ見て。なんかよくなくない?」


 ナナはミユに耳打ちをする。


 歳は30代前半?後半かもしれない。夕焼けに映えるシルエット。遠目からでもよく見える、端正な顔立ち。足元にある旅行鞄は、旅行者だろうか。だったら、先輩たちの毒牙にかかってない可能性は大きい。目深にかぶった帽子とトレンチコートは、この暖かい季節にはちょっと合わないかもしれないけれど、そんなことは、彼の高身長に似合いすぎて、特に気にはならなかった。


「うーん、ちょっとおじさん過ぎない?」

「ミユがショタ好きすぎるのよ!」


 なんて、ぼそぼそ話してると、男は二人と視線が合った。男は恭しく頭を下げる。


「失礼ですが、お嬢様方」


 もしかして、ナンパだろうか?バリトンの利いた声に、ナナはちょっと緊張して硬くなる。


「なんでございましょう?」


 うっかり変な敬語が出てしまったが、ナナは自分が出せる中での最高級の笑顔を振りまくと、男はこう答えた。


「唾を……。唾液を譲ってはくれないだろうか?」

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