お尋ね者、商売を始める。
私がお尋ね者となり、懸賞金が懸けられても、街の人や傭兵、冒険者の態度は変わらなかった。
寧ろ、私の名前が王国中に知れ渡り、賞金稼ぎが他の街からやってくる様になった。
それにより、街の内外から人々が行き交う様になり街は前以上に活気立っていた。
「おッ♪ こいつ、めっちゃ金持ってるでーッ♪」
私はと言うと、こうやって倒した賞金稼ぎから所持金を貰って生活している。
正直に言って懸賞金を懸けてくれた事に、私は感謝している。
最近は、この街のチンピラどもは粗方倒してしまって、私に喧嘩を吹っ掛ける奴がいなくなって困っていたのだ。
そこに、懸賞金目当ての賞金稼ぎがゾロゾロとやって来てくれたのである。
まさに『棚ぼた』、『鴨葱』って訳だ。
「姐さん、今回も結構な儲けになりましたぜ〜」
ヤヌックが不敵な笑みを浮かべながら、こちらにやって来た。
「ほな、酒場行こうか」
***
テーブルの上には、結構な金額が広げられた。
「おい、ちゃんと配当は渡したんやな」
「へい。渡してこれです」
私たちは、私と賞金稼ぎの勝敗を賭けた商売を始めたのだ。
今の所、私の全戦全勝で、勿論これからも全戦全勝だ。
それを知ってる街の人は配当が少なくても私に賭けるし、知らない出稼ぎや行商人は配当が多い方に賭ける。
「今日は一見が多かったですからねー」
ヤヌックは商家の息子というう事もあって、阿保だが頭は回るのだ。
文字の読み書きも出来るし、計算もすぐに出来る。
最初は冗談のつもりで始めた商売も、ヤヌックが上手い事回しているお陰で街では大人気だ。
「ヤヌックすごいやんッ」
「へへへー。それじゃあ姐さん。今夜は……あ、痛ッ!」
私が褒めると調子に乗ったので軽く頭を殴ってやった。
「それとこれとは話がちゃうやろッ!」
【今回の売り上げ(賭博)】
金貨1枚
銀貨32枚
銅貨48枚




