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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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95.更に強く

 アウルムダンジョン、地下三階。
 一人で入ったおれはダンジョンを探索した。

 細く曲がりくねった道を進んでいくと開けた空間が見えてきた。
 地下ダンジョンだが、体育館の様な開けた空間。
 中に小悪魔がうじゃうじゃいた。

 通常弾を込めて、照準をつける。
 空間――モンスターハウスには入らないで道の方にいた。
 そのため見えてる部分は少ないが、そこに入ってきた小悪魔を狙撃した。

 一発一殺。
 しっかり狙いをつけて、次々にヘッドショットを決めていく。
 撃たれて、地面に墜ちて、消えたモンスターはそのまま砂金ドロップして、それがポーチに吸い込まれる。
 ドロップアイテム調査はすんだ階層だから、ポーチはつけている。

 小悪魔は次々と道の方に群がってきた、黒い玉もうってきた。
 こっちも負けじと打ち返す。

 複数体が連射してくるマシンガンの様な黒い玉をよけて、通常弾を打ち返す。
 映画のような銃撃戦だ。

 精神はFだから当たるとまずい、回避を優先して戦った。
 よけて撃つ、撃ってよける。

 それを繰り返して、小悪魔を一掃した。

「全部で57体、ざっと20万ピロってところか?」

 ずっしりするポーチのそこを指で弾いて重さを確認する。
 モンスターハウス一個分が大体それくらいだ。

 とりあえず20万ピロは稼げた、だが今日の目的は金じゃない。

 開けた体育館の様な空間に入って、銃をしまってじっと待つ。

 約3分、また小悪魔が現われた。
 地面を割って生まれてくる光景はまるで植物の様な。

 そいつはおれに近づいてこない、黒い玉を撃ってきた。
 遠距離攻撃のモンスターだからな。

 黒い玉をひょいってよけた、簡単なもんだ。
 よけたそばから更に撃ってくる、これも簡単によける。

 一匹だからな、それほど早い玉じゃないし簡単によけられる。
 反撃しないでよけ続けると、また小悪魔が生まれた。今度は天井からプリッ、産卵されたかのように生まれてきた。

 そいつも黒い玉を撃ってきた、二匹になった。

 倍になった玉をよける、反撃しないでよけ続ける。
 まだじゃれ合いの域だ。

 よけ続けてると三体目、四体目、五体目……。
 小悪魔は次々と生まれ、玉の数が増えてきた。

 おれはよけ続けた、反撃しないでモンスターを溜めて攻撃をよけ続けた。

 小悪魔は増え続け、徐々に弾幕になっていき、おれの集中力も次第に高まっていった。

     ☆

 村の一角、燕の恩返し予定地。
 早速建築をはじめた買い取り屋・燕の恩返しと、それが完成するまでの仮設店舗のテント。
 そのテントの中で、おれはイーナに手当てを受けていた。
 テントの中にもう一人燕の恩返しの女店員がいて、こっちはカウンターに座って店番をしている。

「びっくりしたわよ、砂金を売りに来たサトウさんがケガしてるなんて。というかサトウさんがケガしてるの初めて見た」
「そうだっけ、最初の頃はよくあったと思うけど。もやしだけだったころ」

 本当に初期の初期、エミリーに部屋を借りてやろうと、三日で二万ピロを稼ごうってした時とか。
 あのころはボロボロになりながらもやしを持ち込んでた記憶がある。
 あの頃は銃がなかった、そして今も回復弾をついつい使い切って、それでケガしたままここに来た。

「その時のサトウさんしらないから」
「そうか」
「っていうか、アウルムってそんなに危険なところなの? サトウさんがこんなケガするなんて」
「一階はそうでもない、ソロでも普通にやれる。二階と三階はパーティー組んだ方がいいな、集団戦になる」
「そうなの?」
「ああ、ソロで行ったら――」

 イーナの手当てする手を止めて、銃を抜いた。
 足元に転がっている石ころを拾って真ん前に軽く放り投げる。

 そして二丁の銃を抜く!
 パパパパパパーン! と左右計十二発の弾丸を見当外れの方向(、、、、、、、)に撃つ。
 そしてリロード。慣れた手つきでクイックリロード。

 十二発の弾丸を込めて、撃つ。
 更にリロード、十二発。
 撃った後にリロード、十二発。

 計、48発。

 おれが無傷で(、、、)よけ続けられた小悪魔の数だ。

 撃った弾丸は全部追尾弾だった。見当外れの方向に放った48発の弾丸は軌道をかえて石に群がっていった。

 スターダスト

 ニホニウムのダンジョンマスターを倒した時に編み出した、流星雨の如く追尾弾を一斉に叩き込むやり方だ。

 48発の弾丸に群がられた石ころは次々に撃たれ、砕かれ。
 やがて、跡形もなく消えてしまった。

「とまあ、こんな感じで集中砲火を浴びる。だからパーティー必須だ」
「……」
「イーナ?」
「えっとごめん、地下二階と三階に行くとこんなことをされるって事?」
「ああ」
「そこで狩りをしてきたの?」
「今日の分は全部三階で狩った砂金だ。どれくらいになったっけ」
「50万弱」
「結構な額になったな」
「というよりあんな攻撃をどうしたの?」
「よけた。たまによけきれなくてこうなるけど」

 イーナに手当てしてもらった所をさして、おどけて笑う。

「よ、よけた?」
「まだまだだけどな。48匹まではよけられるけど、それ以上はこのざまだ」
「いや充分にすごいから。というか嘘でしょあんなのよけるなんて」
「すごくても安定しないとダンジョンはな……」

 おれは苦笑いした。

 よける練習をしたのは、この先例え精神がSになっても強力なモンスターと戦う時のためだ。
 体力がSでもダンジョンマスタークラスなら結構ならダメージをくらう、同じように精神がSになってもそれを上回ってダメージを与えてくるモンスターがいる可能性が高い。

 だからものぐさがって受けるだけじゃなく、よける能力も身につけた方がいいと思った。

「その修行もしばらく休みだな。手持ちの回復弾――回復手段使い切ったから」
「そうなんだ」

 イーナは立ち上がり、砕かれたいしころのところに行き、その残骸を拾い上げる。

「これみたいに、どっか同じような攻撃だけどダメージをあんまり受けないところがあればいいのにね」
「え?」
「え?」
「……あ」
「あ?」

 イーナは不思議そうな顔をした。
 おれはイーナに近づき、手をとってまっすぐ目を見つめた。

「ありがとうイーナ! その手があった」
「え、ええ?」
「ありがとう! 本当にありがとう!」

 また来る、とイーナに別れを告げ、おれはダンジョンに向かってダッシュした。

     ☆

 残されたイーナはポカーンと亮太を見送ったが、徐々に表情が変わっていった。

「……まったく、男ってヤツは」

 去っていく亮太の後ろ姿を見つめ、握り締められた手を手で包む。
 祈りを捧げる修道女の如く、胸もとで大事そうに包み込んでいた。

「ダンジョンの事を話す時は子供みたいになるんだから」
「あなたは恋する乙女みたいだけどね」
「うっさいわね、そんなのどうでもいいでしょ」

 カウンターに座る同僚に指摘されたイーナ、顔を真っ赤に染め上げてしまう。
 前に親友を同じようにからかった彼女、因果応報である。

     ☆

 アウルムダンジョン、地下二階。
 モンスターハウス。

 おれは光の玉の弾幕の中で踊っていた。
 弾幕の密集や軌道は地下三階とまったく一緒だ、違うのはこっちが物理攻撃で、体力Sのおれにはほとんど効かない。

 そこでおれはよけた、受けるじゃなくてよけた。

 45、46、47、48……。

 倒さないでいるとモンスターはどんどん増えていく。
 やがてよけきれる限界を越えて光の玉が当たる。

 ほぼ無傷だった。深呼吸をしてよけ続けた。
 イーナに気づかされた、同じ弾幕だけどダメージを受けないところ。
 ここで修行する発想はなかった、物理攻撃なら受けてもいいという考えが染みついてしまったからここでよける発想はなかった。

 それを気づかされて、ここで修行をした。
 ダメージはほとんどなく安全だが、おれは「当たったら大ダメージをくらう」、地下三階にいる時と同じ気分でよけた。

 修行は夜まで続き、60体までなら当たらないでよけ続けられるようになった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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