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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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67.感謝と約束

 沸き上がる歓声と、祭りの賑わいムードに人々が戻っていく中、おれは小走りですっ飛ばされたネプチューンの元に向かって行った。
 既に立ち上がっているネプチューンは土やらなんやらで体中汚れているが、ケガらしいケガはないようだ。
 そのホコリをランとリルが払っていて、ネプチューンはそれをあたり前の事のようにさせている。

「大丈夫みたいだな」
「もちろん。迷惑かけたね。ぼくが自分のミスに責任をとらなきゃいけなかったのに」
「女の子が危なかったんだ、きにするな」
「それでも礼を言わせてもらうよ。ありがとう」

 ネプチューンは穏やかな表情でそう言った。
 あの一撃は紛れもなく強かった、それが一撃でインクルースゴブリンを倒せなかっただけの事。

 肉弾戦で言えば力Sのおれと同等か上かも知れない。
 おれも銃がなければ倒せなかったかも知れない。

「さすがだね、キミはできる男だと思っていたけど、完全に予想より上だったよ」
「そうか?」
「あの一撃は素晴しかった、惚れ直しそうだよ」
「だからそういう危ないことを――」
「そういえばキミ、腕の筋肉のラインがまた綺麗になったね。首筋の流れる様な線もすごくぐっとくるよ」
「お前やっぱりホモだろ!」

「なんども言ってるじゃないか。ぼくはホモじゃないって」
「その割には発言がいちいち危ないんだよ」
「どうしたら信じてくれるかな? そうだ、ぼくの愛する父の名にかけて誓えば信じてくれるかい?」
「ホモの上にファザコンって最悪の想像をするからやめてくれ」
「失敬な! ぼくはファザコンじゃない、マザコンだ!」
「そっちはそっちで最悪だよ!」

 顔見知りがぶっ飛ばされたから心配してみにくるの失敗だったかも知れない。
 こいつと話してると完全にそのペースに巻き込まれる、ものすごくつかれる。

「そういえば……」

 ネプチューンはおれの後ろを見た。
 おれも振り向いた、そこにエミリーが立っていた。

「キミ、ファミリーを立ち上げたんだって?」
「ああ」
「そうか……それは残念だ。キミの事を気に入ってたのに、それじゃむやみに仲間に誘えなくなったね」
「お前に気に入られると怖いんだけど」
「大丈夫、まだキミをそういう目で見てないから」
「まだってなんだまだって!」
「おっと」

 ネプチューンは口を滑らせたかのように手で押さえた。
 こいつ絶対ホモだろ。

 その追求を恐れてか、ネプチューンはその甘いマスクによく似合う、人のよさそうな微笑みを浮かべながら、ランとリルの二人と手を組んで立ち去った。
 それだけみると両手に花のハーレム男なんだが……こいつは絶対にホモだ、おれの第六感がそうささやいてる。

 今後もなるべく関わりあいになりたくない、おれはそう思った。
 ネプチューンが去った後、それまで静観していたエミリーが話かけてきた。

「ヨーダさん、お疲れなのです」
どっとつかれた(、、、、、、、)よ……」

 モンスターと戦うよりよほどな。

「あのモンスターのドロップはなんだったですか?」
「ん、ああそれか。それなら多分――」

 おれはポーチを取り出した。
 収穫祭で、出展に協力したハグレモノを人前で倒すから、ドロップを見せないためにポーチはおれがもっていたのだ。

 そのポーチを空けて、中身をエミリーに見せる。

「これは……普通の弾がいっぱいなのです」
「そういうことだ。あのインクルースゴブリンは収穫祭用の元が弱いモンスターだったからな。多分、シクロの通常モンスターのハグレモノは全部通常弾なんだろう。テルルがそうだったからな」
「なるほどなのです! でもちょっと残念です、また新しいアイテムだと思ったです」
「これからいくらでも出るさ」

 エミリーににこりと微笑んで、通常弾をポーチから取り出して他の弾丸と一緒にしまった。

「あの……」

 横からまた声をかけられた。
 今度はだれだ? と振り向くとそこにさっきの女の子がいた。
 ネプチューンに駆け寄ったため、ピンチに陥ってしまった女の子。

 おれはしゃがんで視線を同じ高さに合わせて、聞いた。

「大丈夫? 怪我はなかった?」
「うん、おじちゃんありがとう」
「そうか、ケガがなくて何よりだ。これからは気をつけるんだぞ。モンスターはちゃんと倒されたら消えるんだから、消える前に近づいたらダメだ」

 いって、おれは自分がこの世界になじみつつあるなと思った。
 モンスターが全てをドロップする世界、斃れれば消えるモンスター。
 そのあたり前の現象を子供に説明するおれは、間違いなくこの異世界になじみつつある。

「うん! わかった! あのねおじちゃん」
「なんだ?」
「アメリアね、大人になったら冒険者になりたいの」
「アメリアっていうのか」
「うん! だからねおじちゃん、アメリアが大人になったら一緒にダンジョンにつれて行ってくれるかな」
「ああいいとも」

 おれはほぼ即答した。
 大人になったらダンジョンにつれて行って、すごく可愛いおねだりだったからだ。

「本当? ありがとうおじちゃん!」

 アメリアは無邪気に喜んだ。
 十年くらいしたら彼女と一緒にダンジョンに潜るようになるのかな、それも楽しそうだなとおれは思った。

 ダメ大人になってるおれと、しっかり者に成長した彼女がしかりつけるパターンを何となく想像した。
 それも悪くないかもな、とおもった。

 そんな事をなんとなく想像していると。

 ――チュッ。

 頬に柔らかい感触がした。
 アメリアが身を乗り出して、おれのほっぺにキスをしてきたのだ。

「約束だよ」
「ああ、約束だ」

 ちょっとびっくりしたけど、子供のする事だ。
 おれはにこりと微笑んで、彼女の頭を撫でてやった。
 遠くでアメリアの母親らしき女の人が呼んで、アメリアは後ろ髪を引かれる様にしながらも、小走りで親の元に戻っていった。

「あたらしい仲間なのです」
「ああ」

 未来のドラ1候補ってところだな。
 おれとエミリーが微笑ましくアメリアを見送って、手まで振っていると。
 その向こうにセレストとイヴの姿がみえた。

 セレストは手ぶらだが、イヴは大量のニンジンを抱えている
 ぶっちゃけイヴの姿はほとんど見えない、ニンジンの山から足が生えているように見えるだけだ。

 そのセレストだが、何故かまなじりがさけそうなくらい目を見開かせておれをみつめてくる。
 一体どうしたんだろう。

「け――」
「け?」
「け、けけけ結婚するのリョータさん!?」
「はいぃ?」
「だって大人になったらとか、約束とか……」
「ああ、それは――」
「うぅ……まさか先越されてしまうなんて」
「え?」

 なんか話がおかしいぞ?
 先越されるってなんだ? むしろセレストの方がアメリアより先乗りしてるんじゃないのか?
 なのだが、セレストはものすごく落ち込んだ、まるで世界の終わりをみたような顔をした。
 そんな彼女をニンジンの山が慰めた。

「ドンマイ。ニンジンのヘタをあげる」
「中途半端な優しさがかえってつらいいぃぃ――」

 セレストはなんかねじがぶっ飛んだ様な感じで、どっぷら効果を残していずこへ駆け去って行ったのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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