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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第二章

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61.オートレベルアップ

 テルルダンジョン、地下七階。
 ダンジョンスノー――雪の中からガッツスライムが現われた。
 絵になりそうなワンシーンを作り出したモンスターに貫通弾を撃つ。

 一撃でスライムが三日月型にえぐれて、その後の攻撃が一切聞かなくなった。

「どうぞなのです」
「ありがとう」

 エミリーからさっきゲットしたレアアイテム、スライムの涙をもって、無造作に歩いて近づいていく。
 体が欠けたスライムは跳ねて、おれに体当たりしてきた――瞬間。

 当たった瞬間、スライムがはじけ飛んだ。
 タマネギをドロップして消えるスライムで、おれは実験が成功したことを確信した。

 テストを見守るために距離をとっていたエミリー、セレスト、イヴの三人が近づいてきた。

「なるほど、これを使えば一人でもテルルの七階で狩れるのね」
「ああ、まずスライムの特殊能力が発動するまでやって、その後一発もらって反射すればいい。無敵に入るのはHP1とかそういう状態だと踏んでたんだ」
「でもこれはあなたにしかできない」
「まあな。倒そうとするたびに攻撃をもらうのは周回に向かなさすぎる。体力とHPが両方高くないと実用化は無理だ」

「リョータさんは攻撃受けて大丈夫だったの?」
「おれは大丈夫だ」
「どれくらいの攻撃だったの?」

 セレストの質問におれは少し考えて、イヴの方を向いて自分の額を触った。
 イヴは頷き、おれにチョップしてきた。

「つよい、もうちょっと遅く」

 いうと、イヴは速く(、、)チョップをうってきた。

「体感的に今のと同じくらいだ」
「待ってて」

 イヴはスタスタと歩いて行き、木の前に立って同じ速さでチョップした。
 成人男性の胴体くらいはある太い木が半分切られてぐらぐらした。

「す、すごい威力ね」
「それでびくともしないのはさすがヨーダさんなのです」
「ええ、さすがね」

 エミリーは割と子供の様に無邪気に喜んで、セレストはチラチラおれを見るようにはにかんだ。

「つかえるけどつかえないポンコツ」
「そういうなイヴ、ダメージ反射がすごい事に変わりはない――」
「どうしたですかヨーダさん?」

 訝しむ三人。
 おれは、面白い事を思いついた。

     ☆

 ニホニウムダンジョン、地下二階。
 ここが一番、誰の邪魔にもならない場所だ。

 普通のダンジョンは冒険者が山ほどいるし、ニホニウムも地下一階はマーガレット姫たちが空気を生産しにくる。
 二階以降は一週間かよって他の冒険者を一人遭遇するかどうかって程度だ。

 その鍾乳洞の様なダンジョンで闊歩する。
 ただ、あるく。

 前とおなじ、体力がSになったときのテストと同じように、モンスターを見つけては攻撃せず、好き勝手に殴られてゆっくり歩く。

 ゾンビと次々とエンカウントして、時には奇襲されて。
 そいつらを連れてとにかく歩く。

 ゾンビが15体を越えた辺りで――ポン!
 おれを攻撃した一体のゾンビがはじけ飛んだ。
 攻撃したのとほぼ同時にはじけて、種を残して消えた。

「すごいですヨーダさん、歩いただけでモンスター倒したです」
「こんな事もできるのね」

 おれの邪魔にならない様に、離れたところで見守るエミリーたちが目を丸くして、感心していた。

 そう、前にやったモンスターをぞろぞろ引き連れて歩くあれ。
 あれは攻撃をずっと受け続ける、そこにスライムの涙を組み合わせて、向こうが勝手にやられてくれる。

「それはいいんだけど、効率は悪いな」

 おれは銃を抜き、乱射してまわりのゾンビを一掃した。
 モンスターがいなくなって、エミリーら三人が近づいてくる。

「それは仕方ないです、ヨーダさんは強すぎるです」
「そうだな。ま、こう言うことも出来るって事だ」
「どうしますかこれ。使い道のあるアイテムだと思うけど、これを収穫祭が必要としているのよね」
「かなり高値で売れるな」
「ニンジン何本分?」

 ぶれないイヴの質問に苦笑いで返す。

「とりあえず今日はもう上がろう、判断は明日で」
「分かったです」
「それじゃあかえりましょう」
「テルルに行く。ニンジンの山に囲まれてねる」

 すっかり打ち解けた三人、口々に言い合って帰路につく。
 一方で、おれはその場に立ち止まった。
 脳内にあることをひらめいたからだ。
 そんなおれに、三人が立ち止まって振り向いてくる。

「……」
「ヨーダさん?」
「どうしたの?」
「わるいみんな、今日は先に帰ってくれ」

 エミリーら三人は一瞬きょとんとしたが、すぐに受け入れてくれた。

「わかったです」
「またなにか思いついたのね、後で聞かせてね」
「低レベル気を付ける」

 何も聞かないで身を翻して、今度こそ帰路につく三人。
 そんな三人に手を振って見送った。

     ☆

 次の日の朝。
 目が醒めたらやけに体の節々が痛かった。
 何事かと伸びをすると――ぺしって感触がした。

「な、なんだ――ってそうか、ダンジョンで寝たんだっけ」

 すぐに思い出した、なぜならおれのそばに5体のゾンビが囲んでいて、おれに攻撃をしてきたからだ。
 ゾンビどもは攻撃し続け、うちの一体が反射で倒されて、種をドロップした。

 種は、おれがそばにおいてる集荷箱に吸い込まれた。

 昨夜三人を見送った後、このニホニウム地下二階で一夜を過ごした。
 今いる場所は三人を見送った場所、移動すらしていない。
 やったのは集荷箱を設置して、そしてスライムの涙をもったまま寝ただけ。

 実質何もしていない。
 何もしていない結果を――集荷箱の中を見て確認した。

「1、2、3……全部で37個か」

 一晩ここで寝ただけで、37体のゾンビを倒せた。
 効率は悪いし、実用性があるとはとても言えないけど。

 寝てるだけでも狩りが出来る、というのはちょっとだけ面白い経験になった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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