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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第二章

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59.姉妹に迫る男

 テルルダンジョン、地下6階。

「インフェルノ!」

 セレストが放った炎の魔法が二体のスライムを灼いた。
 バランスボール程度の、まったく同じサイズで同じピンク色をしたスライムだ。

 焼かれるスライムは一体が炎の範囲から飛び出して、もう一体はそのままやかれて跡形もなく消えた。

「くっ」

 うめくセレスト。
 なぜなら、逃がしたスライムは離れたところでまた二体に分裂した。
 まったく同じサイズで同じピンク色をしたスライムだ、さっきと一緒だ。
 しかも、生き残ったスライムは魔法でダメージを負っていたが、分裂が完了した直後にそのダメージは綺麗さっぱりに消えてなくなった。

 テルルダンジョン地下6階レアモンスター、シスタースライム。

「なるほど、こうなるのか」
「同時に倒さないといけないのよこれは、片方だけだったらいくら倒してもすぐに復活するし、復活した時に全部のダメージがリセットされるの」

 倒す事は失敗したが、あらかじめ調べてきたセレストが説明した。
 それをおれと、エミリーと、新しく仲間に加わったイヴが聞いていた。

「何回倒してもダメです?」
「片方だけ倒し続けての世界記録は666回。そこでやめたらしいのよ」
「モンスターはドロップが命なのにそんな回数をよくもやったもんだ」

 むしろちょっと感心した。

「同時に倒せばいい?」
「そうだけど、二体のHPが毎回違うの」
「ちょっとまって」

 二丁拳銃でそれぞれ二体のスライムを撃った。
 放ったのは通常弾、それがほぼ同時に着弾する。

 片方はあっさり撃ち抜かれてパラパラにはじけ飛んで、片方はちょっとえぐれただけでおわった。
 そして、また二体に再生、傷も完全回復する。

「やっかいだな」
「どうするのリョータさん」
「ふむ……」

 エミリー、セレスト、イヴ。
 仲間達とその戦闘力、それを把握しつつ、おれは方法を考えた。

     ☆

 おれがピンク色のシスタースライムに向かって行った。
 スライムは同時に体当たりしてきた。
 おれの体に当たって、跳ね返って来た方向に飛んで行った。

 野外の様な洞窟の中、片方は木をなぎ倒して、片方は岩にぶつかってその岩が粉々になった。

 一方のおれはと言えば、プレスチックのバットに思いっきりしばかれたくらいの痛さを覚えた。
 スライムが更に飛んで体当たりしてくる。
 おれは進む、腹筋に力をいれて、まっすぐ歩いて進む。
 HPのSと体力のS、1しか喰らってないようなダメージを無視しつつ重戦車のようにすすむ。

 スライムはおれに次々と体当たりをしかけてきては跳ね返される。
 やがて壁際にスライムたちを追い込んだ。

「セレストとエミリーは左! イヴは右!」

 叫ぶと、まず左のスライムにセレストの炎の弾(バイコーンホーン)が着弾。
 直後におれの真後ろから、左右に飛び出すエミリーとイヴ。

 エミリーはぐるぐる頭上で回転させたハンマーを振り下ろし、イヴはウサミミと尻尾をゆらしてチョップを叩き込んだ。

 おれが体感で判別したスライム二体、それに仲間たちの攻撃を割り振った。
 ピンク色のシスタースライムは同時にはじけ飛んだ。

 分裂もダメージリセットも、面倒なレアモンスターをちゃんと倒すことが出来た。

「やったですヨーダさん!」
「いっちょ上がり、ニンジンがなかったのは残念」
「そもそもシスタースライムのドロップはニンジンじゃないわよ」

 レアモンスターを倒したドロップはなかった、倒したのがエミリーになるのかイヴになるのか分からないけど、とにかくなかった。

「でもヨーダさん格好良かったです。どっしりとスライムを壁に追い詰めていく姿がすごく格好良かったです」
「わ、わたしはそう思うわ。ひ、ひるまない姿がすごくかっこよ――」
「まるで婦女暴行のよう」
「――ふぇ!?」

 言いかけたセレストがイヴの一言で声が裏返った。

「ふ、婦女暴行ってどういうこと?」
「姉妹に迫って壁際に追い詰めて動けなくさせる」
「言われてみると似てるのです」
「似てないから! 婦女暴行とかじゃないから!」

 思わず叫んでしまう。イヴのたとえは不穏当過ぎた。
 何か話題を変えなきゃ。

「そうだ、そういえばさっきのイヴのちょっと、妙に遅くなかったか?」
「ゆっくり振り下ろされたです」
「遅くない」
「え?」
「攻撃じゃないときはこう」

 イヴは指先を揃えた右手を上下に振った、工事現場の交通整理人形の用だ。

「普通のときはこう」
「ちょっと遅い。あっ、おれにチョップする時のやつだ」
「100%中の100%はこう」
「すげえおそくなった」
「一秒あたり200回振ってる」
「本当に早すぎて遅く見えるあれかよ!」
「大丈夫、これは低レベルにはしない」
「呼び名こそなんとかしてほしいけど……ありがとう」

 秒間200回の高震動チョップで叩かれたら今のおれどうなるのか興味あるけどな。

 ふと、セレストがイヴをじっと見つめているのが見えた。
 なんかそわそわしたり、物言いたげな雰囲気だ。

「そういえばまだ正式に紹介してなかったっけ。彼女はイヴ、これから一緒に戦う仲間だ」
「それは洞窟に入る前に聞いたわ。それはいいのだけど……」

 だけど、なんだ?
 何がきになるんだろうセレスト。

「おれが勝手に決めちゃって気を悪くしたか?」
「それはない! 一家に誰をいれるのかはリョータさんの判断でいいの。そうじゃなくて……」

 まだもごもごするセレスト、本当どうしたんだろ。
 やがて彼女は勇気を振り絞って、って感じでイヴにたずねた。

「あ、あの……あなたは……リョータさんの事どう思ってるの?」
「低レベル大好き」
「だ、だいす――」

 セレストは何故かショックを受けた。
 愕然として、背景に雷が落ちてるのが見えてきそうなくらいの衝撃をうけたようす。

「ニンジンの神様だから」
「――え?」
「低レベルのニンジンは渡さない、例え世界中のお金を今ここで積まれたとしてもニンジンのヒゲの一本たりとも渡さない」
「だからそういう重い決意いらないってば」

 相変わらずだなイヴは。
 おれは苦笑いしつつ、セレストの方を向いた。

「まあ聞いての通り、彼女はニンジンが――」
「負けた……」
「なにに!?」

 声が裏返ってしまう程のツッコミ。
 何に負けたのか知らないけど、セレストはダンジョンの中でorzなポーズになっていた。

 鼻息荒くして意気込むイヴ、打ちひしがれるセレスト。
 その横で、エミリーがいつも通りに話しかけてきた。

「でもちょっともったいなかったです、トドメをヨーダさんがしたらレアモンスターのドロップが手に入ったのに」
「いや、六階はいいんだ」
「どしてです?」

 きょとんとするエミリー、おれはポケットから一枚のメモを取り出す。
 ちょっとだけ花の香りがする、可愛らしい字が書かれたメモ。
 エルザからもらった、収穫祭でまだ足りてない分のレアモンスタードロップリスト。

「高く売れるのは七階のヤツなんだ」
「なるほどなのです……行くですか?」

 エミリーに聞かれて、三人をみた。
 四人での初めての実戦は、イヴが入ったことと、おれの能力が上がったこともあって更に戦闘の幅が増えた。
 端的にいえばパーティーとして強くなった。

 なら。
 みんなをみる。orzから復活してきたセレストを含めて全員がおれを見つめ返した。

「行こう、地下七階へ」

 三人ははっきりと頷いてくれた。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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