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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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212/215

212.モテ弾

 セレンダンジョン地下一階、この日もレイアと一緒に成長弾のレベル上げを続けた。
 他の日課を全部やめて、とりあえずずっとレベル上げをしてたら、成長弾のレベルが10になった。

 ――ドレイン効果が覚醒しました。

「お?」
「どうしたんですか、マスター」
「いまドレイン効果がって声が……これか」

 銃から成長弾を取り出して眺める。
 セレンがつけてくれた刻印、そこにレベル10と記されていた。

「覚醒っていったな、レベルが10になったからついたのか」
「特殊効果ですか」
「そういうことみたいだ。ドレインって言われた」
「吸収。何かを吸い取る効果ですね」
「それしかないな、問題は何を吸収するのか……レイア、リヴァイヴを」
「はい」

 レイアは流れるように、直前にドロップしたのにリヴァイヴを掛けて、レインボースライムに戻した。
 俺は成長弾を込めなおして、スライムを撃った。

 弾速と威力は通常弾の9割程度まで来た、着々と成長はしてるみたいだ。
 それよりも。

「……ふむ」
「どうですか、マスター」
「確かに何か吸収してる、体に微弱だが何かを取り込んだ感じがする」
「何かって、何ですか」
「それが分からない。HPでもMPでもない」

 俺はそう言いながら回復弾を込めて自分に撃った。
 HPとMPを回復する回復弾。

「うん、やっぱり感覚が違う」
「HPでもMPでもないですか」
「そうだ。もうちょっと試してみよう。レベル11まで行ってみよう」
「わかりました、マスター」

 レイアは静かにうなずき、またリヴァイヴを掛けた。
 リヴァイヴを掛けて、俺が成長弾で撃って。
 そのくり返し、作業、レベル上げ。

 その間、微妙に何かが体に流れ込んでくる感覚がずっとしたが、それが何なのかいまいち分からない。
 結局分からないまま、成長弾がレベル11になった。

「どうですかマスター」
「ダメだ、全然分からない」
「そうですか」
「悪い感覚じゃない、とりあえず気にする必要はないだろう。いったん引き上げて、明日にでもセレンに聞いてみよう」
「わかりました」

 朝からレベル上げをしてる内にいい時間になった。
 俺たちは屋敷に帰ろうと、転送ゲートに向かって行く。

 すると。

「あ、あの!」
「うん?」

 いきなり横から呼びとめられた。
 十代の少女、必死な顔で俺を見つめている。

 またなにか不条理な事が起きたのか?
 と、気を引き締めた俺――だったが。

「あなたの事が好きです!」
「……は?」
「格好良くて強くて大好きです――ありがとうございました!」

 少女は一方的にまくし立てた後、逃げる様に立ち去っていった。
 いや、ありがとうございましたって……告白の後にいう言葉か?
 俺、何も答えてないんだけど。

「えっと……」
「さすがマスター、モテモテです」
「いやいや、からかわないでくれ」
「からかう?」

 首をかしげるレイア。
 そうか、彼女にはからかう感情もないか。
 本気ですごい、モテモテって思っているのが分かって、逆にちょっと恥ずかしくなった。

 妙なアクシデントだったな。相手はもういないし、仕方ない帰ろう――。

「マスター」
「どうした」
「見られてます」
「見られてる?」

 レイアに言われて、俺は周りを見回した。
 言われた通り見られてる――女にだ。

 俺が立っている位置から見える女全員に見られている。
 ある人は顔を赤くしたり、ある人は熱っぽい目だったり。

 全員が、さっきの告白少女の様な表情で俺を見ている。
 どういう事なのか分からず、まるでキツネにつままれた様な気分になる。

 そこから何かイベントが起きる事なく、俺は転送ゲートで屋敷に戻った。
 転送部屋に戻ってきた俺、セレストと鉢合わせした。

「よ、ただいま」
「ただいま……えっ」
「どうしたセレスト?」

 聞くが、セレストは答えない。
 そのかわりすごくびっくりした顔で俺の顔を凝視してきた。

「どうした。俺の顔に何かあるのか?」

 もう一回聞く、するとセレストはハッとした顔で。

「う、ううん! 何でも無いわ」

 といって、そそくさと逃げてしまった。
 何もないって反応じゃないよな、絶対何かある。

 その何かって――。

「成長弾、だろうな」

 ダンジョンでの告白、熱烈な視線、そしてセレスト。
 一連の出来事、タイミングを考えれば成長弾のドレイン効果がついた後だ。

 俺はレイアを置いて、転送部屋を使ってセレンの部屋に向かった。

 超きわどいビキニを着たグラマーな精霊、セレン。

「あらいい男」

 相変わらず青少年には目に毒な格好をしている彼女の言葉を無視して、単刀直入に聞いた。

「ドレインってなんだ?」
「へえ、それがついたんだ。すごいね、それ一番レアなヤツだよ。確率もあるけど本人に素質がないと無理なヤツなんだよね。でも……うんうん、ドレインだね」

 セレンは近づいてきて、至近距離から俺の顔をのぞき込んで、一人納得した。

「やっぱりドレインのせいか、どういう事だ?」
「うふふ、例えばの話なんだけど、あたしがいきなりつやつやになって『ふぅー』とかいったら何があったって思う?」
「……エッチした、とか?」
「せーかーい」

 ピンポンピンポンピンポン! と擬音をわざわざ口でいうセレン。

「エッチしたらつやつやになる、当たり前だよね。ドレインってそれと似てる。HPでもMPでもなく、体力――スタミナの方だね、を吸い取って回復させるんだ。多分今疲れ取れてると思うんだ」
「確かに、丸一日レベル上げした割りにはまったく疲れてない」
「でしょー、そういうもの」
「それはいいけど、なんで周りの目の色が変わるんだ」
「あらいい男」
「うん?」

 何故かセレンは脈絡のない返事をした。
 俺が来たときの台詞とまったくのを繰り返した。

 それを少し考えた。

「……ドレインの副次的効果で、いい男に見える……か?」
「ピーンポーン」

 また口で言うセレン、面白がってるのが一目瞭然だ。

「そんな効果があったのか」
「確か弾に名前つけてたね? それ、モテ弾にしたらどう?」

 いやいやいやいや。

     ☆

 セレンから転送ゲートで帰ってきた。
 話を聞くと格好良くなるとはいっても、効果は「恋してる女が綺麗になる」というレベルのものだ。

 恋してる人はホルモンが多く分泌されて結果的に綺麗になってみるって話は聞いたことがある。

 納得出来たし、ネガティブな効果じゃないから、俺は屋敷に戻ってきた……んだが。

「……」
「……」

 転送部屋の外から視線を感じる。
 セレストと、エルザだ。

 二人はちょっと離れた所で、物陰からチラチラと俺を見ている。
 頬を染めて恥じらっている。

 好かれるのはいやじゃないが、この空気はちょっと困る。

 さてどうするか、って思ってる所に。

「低レベル発見」

 イヴがつかつかと転送部屋に入って来た。

「ニンジン欲しい」
「……」
「見つめるなんて低レベルのくせに生意気。十秒でニンジン一本請求する」
「……なんともないのか?」
「なにが?」

 イヴはきょとんと小首を傾げる。
 彼女と、離れた所でチラチラしてるセレストとエルザを交互に見比べる。

「イヴって、本当にニンジンが好きなんだな」
「毒ニンジンを食べて眠り姫になってニンジンにのった王子様にニンジンの口移して起こしてもらうのが夢」
「ずいぶんと具体的な夢だな」

 イヴが相変わらず過ぎて、ちょっとクスッとくた。
 その空気が伝染して、セレストもエルザも、ちょっと顔を赤くしたままだが、こっちに近づいてきて、いつもの様に話しかけてくれた。

 同じ屋敷に住んでる仲間だし、そのうち慣れてくれるといいな。

 ちなみに。
 この日を境に、俺はダンジョンでちょこちょこ告白されたり、何かを差し入れされる様になった。
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