挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

207/215

207.妖気の弾

 セレンダンジョン、最下層。
 普段と違う空気の中、「純潔を汚すもの」、ダンジョンマスター・バイコーンが徘徊してた。

 何度目かの遭遇、やっぱり珍しいモンスターだよな。

 バイコーンと、ユニコーン。
 ユニは1の意味、バイは2という意味だ。
 バイコーンはその名の通り、一本角のユニコーンと対をなす、二本角のモンスターである。

 そのバイコーンを。

「リペティション」

 で瞬殺した。
 全魔力を一瞬で使い果たし、無限回復弾の連打で回復。

 ダンジョンマスターは修行とか鍛錬とか悠長な事をいってられない、リペティションで瞬殺だ。

 長引けばそれだけほかの冒険者が稼げなくなるし、万一の事があったらダンジョンの構造がかわってしまう。

 リペティションで瞬殺するのが最善で、現実的に考えて唯一の選択肢だ。

「ふう、これでよし。今年の仕事もこれでおしまいかな」

 疲労感から回復した俺がつぶやく。
 しかしどうやら終わらなかったようだ。

 倒されたバイコーンはドロップした、セレストが使ってるバイコーンホーン二本目か、って思っていたが違った。

 階段だった。
 セレン最下層、そこにあらわれた更に下に続く階段。

 ダンジョンの精霊に続く階段。

「……ダンジョンマスターでもでるのか」

 つぶやきながら、一応警戒する。
 何があっても良いように二丁拳銃には特殊弾を全種類詰め込んだ。

 階段を降りる――降りきったら階段はすぅと消えた。
 そこは何もない、「白」が広がる不思議な空間。

「ここまでは一緒か」

 白い空間は道になっていた。道なりにしばらく進んでいくと、開けた広大な空間にでた。

 そこにモンスター(?)らしきものがいた。

 身長は160センチってところか、やや長身の女だった。
 髪が長く、クールな雰囲気が漂う美女。
 その美女の周りにソフトボールサイズの光る玉が飛びかっていた。
 まるで恒星の周りを飛ぶ惑星みたいだ。

 玉の数は七、それぞれ色が違う。
 七色の玉……光り方と妙に実体のない見た目からして、魔力の玉で間違いないだろう。

「話は通じるか? それとも――」

 口を開いた瞬間、女が手をかざした。
 透き通った肌、白魚の様な指。

 その指先から業炎が放たれた!

「ですよね!」

 うなりを上げて飛んでくる業炎を横っ飛びで躱して、まずは小手調べの通常弾と追尾弾を撃つ。

 まっすぐ飛んでいく通常弾、明後日の方角に撃ったが弧の軌道を描いて飛んでいく追尾弾。

 直線と曲線、両方を同時に放った。

 女は更に手をかざす、蒼い魔力玉が氷の盾になって銃弾を防ぐ。
 氷の盾ならば――と火炎弾、そして斬撃弾を同時に撃った。

 途中でぶつかって融合、火炎斬撃弾になって女の氷の盾をとかす切れ込みをいれた。
 すかさず追撃――。

「ぐはっ!」

 真横から衝撃が来た、とっさに横っ飛びしたが衝撃を受け流しきれず吹っ飛ぶ。

「ぐあああああ!」

 全身を灼く痛撃が二段構えで来た。
 これは――電撃!?

 着地して一回転、膝と手をついてすぐに起き上がる。
 女の周りを飛び回っていた玉が、俺が立っていた場所でバチバチと放電していた。

 息つく暇もなく女が飛んできた。
 魔力の玉じゃない、本人だ。

 魔力玉の一つに触れて、握りつぶすようにすると。

『斬人剣、召喚』

 声が聞こえた様な気がしたけどそれどころじゃない。
 女は魔力の玉が変化した剣で鋭く斬ってきた。
 とっさの事で躱しきれない、腕をクロスさせてガードする。

「――っ!」

 奇妙な現象が起こった。
 剣は上着の袖を切れなかった、しかし切ったところ、服の下が裂けて血を吹き出した。

 一呼吸遅れて皮膚を灼く痛み、斬撃の痛み。
 驚愕しつつ通常弾を連射しつつ、地面を蹴って距離を取った。

 回復の前に切られた箇所を見る。
 服はやっぱりなんともない、だけど皮膚はぱっくり裂かれている。

 回復弾を連打、傷口を塞ぐ。

 女は剣を構えて更に突進、構えもスピードもかなりのもの、モンスターだが達人の域だ。

 裂けていない服、もしかしてとおもい通常弾を連射、後にクズ弾も連射。

 高速で飛んでいく通常弾を剣ではじきつつ直進した女、のろのろと進む通常弾も剣で弾こうとするが。

「!!」
「残念それは動かないものだ」

 何があってもマイペースを崩さない超スロースピードのクズ弾、女の剣はそれをはじけなかった。
 そして推測通り、斬れもしなかった。

 斬人剣、確かにそう聞こえた。

 服は全くの無事で、しかし肌だけぱっくり切り裂かれている。
 人間だけを斬る――人間しか斬れない剣だ。

 それを解明した――が。

「時間はかけられないな」

 俺を斬った直後からほかの魔力玉が更に輝きをました。
 何かがある、直感でそれを思った。
 長期戦は不利、一気にケリをつけないと。

 俺は虎の子の加速弾を自分にうった。

 瞬間、世界が静止する。

 加速した世界の中で女に肉薄、思いっきりクロスカウンターを叩き込む。

 女は吹っ飛ぶ、しかし手応えが曖昧だ。
 吹っ飛んでる女に追いついていく魔力の玉、魔力の光が一瞬膨らんで、さっきより弱くなった。

「防御? 身替わり? どっちにしろそれからやった方がいいか」

 加速弾は三十秒、時間をかけていられない。
 俺は再突進、今度は魔力玉からやった。

 女はさすがだ、この空間を守る(、、)モンスターなだけある。
 俺だけが加速する世界の中でも反撃をしてきた。
 それはもう大分おそいものだった、人間で言うと三歳児程度の動きしかない。

 剣を避けて、高速で――しかし加速中はよく見える、背後に回る魔力の玉の攻撃を避けて。

 至近距離から貫通弾を全魔力のたまに打ち込んだ。

 加速した世界の中、魔力の玉はほぼ一斉に砕け散った。
 女の表情が強ばる中、俺は銃口を突きつけて、ゼロ距離からの通常弾でトドメを刺した。

「ふう……手ごわかった……」

 加速が切れたあと、肺にたまった空気をまとめて掃き出す。

 倒された女が徐々に消えていくのを待った。
 何があっても対応出来るように銃を構えたままにしたが、それは杞憂に終わった。

 女が消えた後、そこに現われたのは一発の銃弾と、更に下に続く階段。

 階段はきっと精霊の部屋へ続く道、今までがそうだった。
 セレンダンジョンの精霊、セレン。
 それがこの下にいる。

「っていうか、今度はストレートに銃弾ドロップなんだな」

 アウルムの時は既存の弾丸をパワーアップするものだったけど、今落ちてるのははじめてみる弾丸だった。
 ジャケットにミミズの這うような文字や紋様が刻まれている、今までのものとははっきりと違う。

 俺はそれを手にした瞬間、迷いなく銃に装てんした。

 持った瞬間分かった、これは無限系の弾丸だ。
 今持ってる雷弾と回復弾、この二つと一緒。
 撃ってもなくならないタイプの、無限系の弾丸。

 だから俺はそれを込めて、すぐに何もないところに試し撃ちした。

 撃った後、シリンダーが一瞬光った。
 もう一回撃つ、シリンダーの、新しい弾丸を込めたところが光った。

 弾自体は通常弾よりちょっと遅い弾速のもので、今の所特殊効果があるようには見えない、が。

 もう一度撃つ、やっぱりシリンダーの中で光る。
 何となくさっきのモンスターを思い出した。
 俺を切った後魔力の弾が輝きを増したが、それと今の光が似ている。
 そして輝きと共にモンスターが強くなったような雰囲気を感じた。

「……撃つ度に強くなる弾丸?」

 俺の頭の中に、人の生き血をすすって強くなる妖刀、そんなものが浮かび上がってきたのだった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ