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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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108.ファミリーとファミリー

 次の日、アウルムダンジョン地下一階。
 クリフの狩りを見守っていた。

 まだちょっとぎこちないけど、それでもだいぶ慣れてきた。
 後は時間と共に自分のために狩ることになじんでいくだろう。

 ブラック企業につかまった様な男を助け出せて、おれはほっとし満足した。
 クリフの事は一件落着、ダンジョンを出たらシクロに帰ろう。

 そう思っていると時間が来た。
 ダンジョンの中に鐘が鳴り響く。
 澄んだ音色、黄金で出来た鐘特有の音色。

 黄金のダンジョンアウルムからとれた金で作った金。
 それを決まった時間にならすことで、冒険者がダンジョンに入る時間を知らせる仕組みだ。

 それを聞いたクリフはモンスターを倒して、砂金を拾っておれのところに戻ってきた。

「お疲れ、どうだ?」
「多分昨日よりは……」

 クリフはそう言いながら手のひらにドロップした砂金を乗せておれに見せた。
 自己申告したとおり、今までドロップした分で早くも昨日の稼ぎを上回っている。

 レベルカンストのドロップCだ、しかもこのアウルムはおれが攻略した後だからドロップそのものが倍になってる。
 これくらいの稼ぎはある意味あたり前と言える。

「よかったな」
「本当にリョータのおかげだ」
「気にするな」

 おれもブラック企業にいたから、そういうのを見過ごせないってだけだ。

 そんな事を話しているうちにまわりの景色どんどん変わっていく。
 クリフはその度にビクッとする。

「ローグダンジョンはこれがやっかいだよな、新しい冒険者が入ってくるたびに居場所が変わる」
「そ、そういうものなんだな」
「これも慣れれば便利だ、ほら」

 言ったそばからダンジョンの出口に飛ばされた、向こうにダンジョンに入ろうとする冒険者が並んでいる。

「タイミングがよければこのまま出る事も出来るってことだ」
「便利だな」
「リョータ!」

 いきなり名前を呼ばれて、それと同時に誰かに抱きつかれた。
 さらにはまわりの景色もかわって、ダンジョンないのどこかに飛ばされた。

 誰かが入って来ておれに抱きついたんだな、と冷静に状況を判断しつつ抱きついてきた人を見た。

「マーガレット」
「お久しぶりですわ」

 抱きついてきたのは空気の姫、あのマーガレットだった。
 彼女は相変わらずふわっふわしてて、上品で美しく姫然とした格好をしている。

「久しぶり、どうしたんだ?」
「新しいダンジョンの噂を聞いてやってきましたの。あえてよかったですわ、リョータに見せたいものがございましたの」
「見せたい物?」

 マーガレットはまわりをきょろきょろして、ダンジョンの中に設置されたナウボードを見つけて、おれから離れてボードに向かって行った。
 それを操作するのをながめながら、彼女に近づいていく。

 ステータスを表示しつつ、彼女は、ふわっとした上品な微笑みをおれに向けて来た。

「リョータのおかげでこうなりましたの!」

―――1/2―――
レベル:99/99
HP F
MP F
力  F
体力 F
知性 F
精神 F
速さ F
器用 F
運  F
―――――――――

―――2/2―――
植物 A
動物 A
鉱物 A
魔法 A
特質 A
―――――――――

「おお!」

 表示されたのは、おれが予想した通りのステータス、99でカンストしてドロップAになったステータスだった。

 この世界に転移してきた直後のおれとまったく同じタイプのステータスだ。

     ☆

 アウルムダンジョン地下一階。
 おれはマーガレットたちの戦いっぷりをみていた。

 たち、というのは彼女以外四人の男がいること。
 姫の格好のマーガレットに会わせたからか、四人ともいかにも騎士って感じの格好だ。

 その四人が小悪魔に攻撃をしかけた、卓越したコンビネーションでしかけて、弱らせ、追い詰める。

「姫」

 四人のうち一人が振り向きマーガレットに声をかけた。
 マーガレットは頷き、出会った時とまったく同じように重たそうに剣を引きずって小悪魔に向かって行き、男達が弱らせ、拘束している小悪魔にトドメをさした。

 砂金がドロップされた、ドロップAであっさりとドロップした。

 マーガレットファミリー。
 おれの頭にそんな言葉が浮かび上がった。
 戦闘能力オールFだがドロップオールAのマーガレットをフォローし、とにかくまわりが削ってトドメだけを彼女に譲る戦法。
 それが成り立つマーガレットのステータスと、その見た目と雰囲気。

 おれが知ってるネプチューンファミリーともおれの亮太一家とも違うタイプだが、うまく回るだろうなってちょっと見ただけで確信した。

 そんなマーガレットたちは次のモンスターに向かって行く。

「……」

 ふと、クリフがさっきからずっと何もいわずにマーガレットたちを見つめているのが見えた。

「どうした、顔色が険しいぞ」
「あれ……いいのか?」
「うん?」
「あれって、おれとおなじようにみえる……」
「……ああ」

 なるほどそういうことか。
 まわりの連中が弱らせてメインがトドメをさす。
 たしかにクリフやあの男のやり方と同じかもな。

「……」

 クリフの顔色は優れなかった、それを見て振り切ったばかりの過去を思い出したんだろう。
 なにかいわなきゃ、と思っていたら。

 次の小悪魔が倒され、マーガレットはドロップした砂金を拾って、騎士の男達と向き合った。

「はい、ラト、ソシャ、プレイ、ビルダー」

 名前を呼び、手のひらで砂金を四等分して差し出した。

「「「「ありがたき幸せ」」」」

 騎士たちは本物の騎士なのだろうか、四人一斉に片膝をついて、マーガレットから砂金を賜った(、、、)
 文句のつけようがない、姫とその臣下、って感じの光景である。

「え……」

 それに戸惑うクリフ。

「わたす……のか」
「マーガレットはあの男、あんたの隊長と違うって事だ」
「そ、そうだな。しかしなぜ……」
「リョータ!」

 クリフが戸惑っていると、砂金を騎士たちに渡したマーガレットがまた抱きついてきた。
 タックルするかのようにおれの腰に抱きついてきて、そのまま懐から見あげてくる。

「わたくしの戦い、みて下さいました?」
「ああ、やるじゃないか」
「全てリョータのおかげですわ」
「あの人たちは?」
「わたくしのファミリーですの、こういうステータスだと話したら一緒に戦わせてくれ、ってお願いをされましたの」
「向こうから来たのか」
「ええ」
「ドロップを渡したのは?」
「それはリョータの真似なんですね」
「うん?」
「え?」

 首をかしげるおれ、同時にクリフがびっくりして声を上げたのが聞こえた。

「わたくしがここまで来れたのはリョータのおかげですの。自分が持っているものを惜しげもなくわたくしに与えてくれたリョータ。その真似をしているだけなんですの」
「おれは大した事はしてないけど……」
「そんな事はありませんわ!」

 抱きつくのをやめて、一歩引いた距離から見あげながら、力説してくる。
 気品に満ちた秀麗な顔はオーラと――気迫さえ漂っていた。

「リョータのおかげですわ、誰がなんといおうと――たとえリョータがそう言っても、わたしはリョータのだと言い続けますわ」
「……そうか、ありがとう」
「それで……あの……」
「うん?」
「わたくしのファミリー、リョータのファミリーに加えさせてほしいですの」
「おれの?」

 子会社、それか下位組織とかそう言うのか。

「残念ながらわたくし一人では戦えませんの。あの人たちがいらっしゃらないと何も。だから、このファミリーごとリョータの一家に加えさせてほしいですの」
「なるほど。そういうことなら――歓迎するよ」
「ありがとうございますわ! 亮太一家傘下、マーガレットファミリーをこれからもよろしくお願いしますわ」

 マーガレットは大喜びで、更に、おれに抱きついたのだった。

     ☆

 午後になって、ダンジョンを出たところの広場。
 この広場も金が出来たから手が加えられていた。

 もともと民家のど真ん中に出現したアウルムダンジョン、その民家の残骸が撤去され、噴水がつくられ、まわりにダンジョンにまつわる商店の建築が進んでいる。
 インドールもダンジョンを中心に発展している、そう確信させる変化だ。

 そこでおれはクリフと向き合っている。

「それじゃお別れだ、おれはシクロに帰る。何かあったらいつでも連絡してくれ」

 クリフの一件が片付いた。
 マーガレットへの誤解も、彼女がおれに告白してきた時に真横から聞いていたので、自分の元隊長――あの男と違うって分かった。

 だから全部解決したと判断したおれはシクロに変える事にした。

「リョータ……いや、リョータさん」
「さん? いきなりどうした」
「おれも……そのうちリョータさんの傘下に加えて下さい! 多分二人(、、)程度の少数ですが……お願いします」

 二人。
 クリフには仲間がいる、あのブラックな男のところで一緒に耐え抜いてきたもう一人の仲間が。
 その人を助け出す、っていう宣言だ。

「わかった、頑張れ」
「はい! ありがとうございます!」

 すっかりとおれに敬語を使うようになったクリフ。
 おれがしたこと、マーガレットが見せた可能性。

 クリフはきっと、仲間を助け出せるだろう、と確信めいた気持ちに至ったのだった。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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