逃げのもふもふも役に立つよ!
総合1万PVありがとう御座います!
まさかこんなに読んでいただけるとは思わなかったので感無量です。
今回は長く書いたつもりでしたが短かったです…。5000字位は書きたいものですね。
ブクマや評価を頂けると嬉しいです。
始まりの町から少し歩いた森、その中を更に歩いたら辿り着くぽっかりと空いた空間。
とても澄み渡っており、暖かい季節なら泳ぐと気持ちよさそうな小さな湖。その水を存分に吸い取り、、青々と成長した草花たち。雲一つない空から降り注ぐ暖かなお日様の光。
気軽に踏み入る事ができない神聖な雰囲気の様なものを醸し出している場所。
そんな所で水辺に座り、お日様に照らされてもっふんもっふんなもふもふラビットさんをもふもふしながら隣のガラドさんからもふもふ魔王さんのお話を聞いてたよ。
もふもふがもふもふでもふもふしてるけど、もふもふがゲシュタルト崩壊しそうだよ。
「儂が彼奴と知り合ったのはまだ、魔王と呼ばれる前てあってな。魔物と戯れていた所をみたのだが、こちら側のものにも関わらず人間共の匂いをつけておってな。その頃の儂は血気盛んなのもあっていきなり攻撃してしまったのだ」
もふもふさんも魔物たちと遊んでいたみたい。もふもふが好きだったのかな?いいお友達になれそうだね。
「だが死角からの攻撃をいとも容易く捌ききった彼奴はなんと言い放ったと思うか?例え異族であろうといきなり斬りかかるのは失礼であろう。と、そう言ったのだ。まさかそのような事を言われるとは思わなんだ、そこで興味を持ってから随分長い間仲良くさせてもらっていたのだ」
ガラドさんはその時の事を思い出しているみたいで、懐古と少しの悲しみが伝わってくる。もふもふさん達もその想いを感じたみたい。何匹かがガラドさんの膝の上に乗り、大丈夫?と言いたげに体をこすりつけてるよ。
「そう心配せんでもいい。遠い昔のことだ、心の整理ぐらい遠についておる」
「ガラドさんはもふもふ魔王さんの事大好きだったんだね」
「ゴホッ!?」
あっ、むせた。
「な、何を言うか。わ儂はただ良き友であったと思っているだけだ」
「おじいちゃんが想い人隠す必要無いと思うよ。いいじゃん別に。ボクはそういうの嫌いじゃないよ」
「全く、無駄に鋭いところも似ておって。」
好きな人がバレて慌てるおじいちゃんも意外と可愛いね。何百年も生きている人におじいちゃんと呼んでも良いものなのかな?まあ、いいかな。
「ボクも大切に出来る人がこの世界でみつけたいな」
向こうでは大切に思う人もいるけど、それはとても小さい世界でしかないから。こっちでなら少しの勇気を出せばいいのだろうか。
「なに、すぐにみつかる。その優しさでふれあう限り、良き物ならば人も魔物も関係なく好かれるものだ。後はルカがそ奴らを大切にするかどうかだ」
そう言ってボクと目を合わせてくる。確かにそうなのかもしれない。要はどんな人だろうとボクが大切だと思えばいいだけなのだから。
「じゃあガラドさんはボクの大切な人だね。少ししか話してないけどボクはそう思ったら。そういうことでしょ?」
「ふむ。そういうことだ、だがそう言ってもらうと嬉しいものだな。まさかまた、かけがえのない友を作ることができるとはな……。ならば儂はルカの友となろう。契約の力は持っているか?」
ガラドさんが笑っている気がする。とてもぽかぽかするオーラが出ていてもふラビさんも嬉しそうだね。けど契約ってなんだろう。
「契約って何?持ってないよ。それにボク、まだこっち来て数時間も立ってないから力の使い方をよくわからないよ」
「たった数時間で儂と会ってその平常心とは大したものだ。契約は持っていなくても仕方が無い。古くの魔王たちが、親しい者達と約束を結ぶのに使ったものだからな。今回は儂とルカの友としての誓いのようなものだ」
契約はお互いが合意した内容の元、魔術的な縁が創りだされるみたい。破っても罰などは無いみたいだから、ただ契約をする事で絆を深めたんだろうね。
ボクがお願いすると、任されたと立ち上がり契約を始めた。
ガルドさんが魔力を集め始めて、空気の流れが一変する。
冷たく鋭い用な風が周りを取り巻き始め、もふもふさん達はまた僕の尻尾に隠れだす。
そして虚空から生み出した漆黒の片手剣を地面に突き刺すと、ボクとガラドさんの間を中心に光り輝く魔法陣が生み出された。
『不倒の騎士ガラドの名において宣言する。白狐の娘ルカの良き友となる事を。そしてかの者が儂を友と思う限り、儂の力、儂の知恵、儂の全てを騎士とし、そして友として捧げるとここに誓おう!」
振り上げた剣をもう一度魔法陣へと叩き付ける。魔法陣は収束し途中で2つに別れて、それぞれの体の中へと消えていった。
そしてボクは混乱なうだよ。えっ、友達としての契約じゃないの?なんでボクに全てを捧げちゃうの?
「ちょ、ちょっとまってよ。なにかおかしくない?ボクが友達でいれば力全て貸してくれるっておかしいよね?ねっ?」
もふもふさん落ち着かせてくれようとするのは嬉しいけど、尻尾の付け根に潜るのは止めて。そこ弱いから。あっ、らめらってば~!
「ははは、落ち着けルカよ。契約とは発動者が宣言せねばならんから、先に内容を確認せねばこのような事が起こるのだ。ただしお互いの合意が必要だから無茶な要求はできん」
「確かに確認しなかったボクが悪いし無茶な要求はされてないけどさ。けどなんか違うんだよ!」
「なあに、力を貸すというのは友として当然の事ではないか。気にするな」
そういう物なのかな、そうなんだろうね。別に貰っても悪いものじゃないと思うから貰っとこうかな。ボクもガラドさんに何かあったら力をすべて貸すつもりだからね。
あ~もふもふ。この手触り癖になりますねっ。現実逃避じゃ無いからねっ。
ピロリン
チャットの鈴の音のような音とは違った音とともに、視界にはインフォメーションメッセージが流れてきたよ。なにかな。
新しい称号を獲得しました
【不当の騎士の友】
新しい特殊技能を獲得しました
【契約Lv1】
条件を達成した事により新しい称号を獲得しました
【慈愛の魔王】
称号を獲得したことによりロールが変更されました
無し→慈愛の魔王
ねえ知ってる?頭が真っ白になるって本当になるんだよ。ボクは今知ったけど。
「ねえガラドさん。今ガラドさんのせいで慈愛の魔王と言うものになったらしいんだけど、なにか知ってる?なんでこうなったのさ!」
もう泣きそうだよ。ボクは普通にもふもふしたかっただけなのに。ゲーマーのボクにはわかるよ。開始数時間の人が手に入れられるものじゃないってことぐらい。
「慈愛の魔王だと…?ふはははははは。まさか、本当に生まれ変わりのようだな。その分だと持っている力も同じような物だな」
今一ガラドさんの言葉を処理しきれないよ。頭はおーばーひーと寸前だからね。
「もしかしてもふもふ魔王さんも慈愛の魔王さんなの?もふ魔王さんの力知ってるなら教えてよ。あと笑わないでよ困ってるんだから!」
「すまん、つい驚いてしまって自然と笑いが出てしまった。彼奴が使っていた力の事なら教えてやろう。なに友となった今ならいくらでも時間が取れよう」
ボクを慰めてくれるのはもふラビさんだけみたいだ。唯一の友達は笑ってるよ。力の使い方を教えてくれるらしいから許すけどね!
それにしても嬉しそうだ。まるで会えなかった人の面影と会えたことが嬉しいのだろう。別にそれは文句ないよ。もふもふ魔王と一緒なのは嬉しいから。
ちーとはちーとをよぶみたい?
いきなりブツンと何かが繋がるような音が聞こえ、空からその声は降ってきた。
『こちらとあちらの世界の住人に告げる。この地で再び魔王が誕生した。魔王が何を目指し、何を成すのかは分からない。だがこの地は再び混沌となり終局へゆっくりと、だが着実に歩みを進め始めることとなる。そなたたちは考える事になるだろう。何を成すべきなのかを』
再びブツンと音がして、男の人のような声は始まりと同じように唐突として終わった。どこかで魔王が目覚めたらしいよ。怖いね~。だけどとりあえずは問題ないと思うから大丈夫だよ!大丈夫だよね?
だけどボクの期待は再び流れ出した合成音声によって砕けちったよ。考えは甘かったみたいだ。
『条件が満たされました。グランドクエストが開始されます。』