あたまなでられるのは嫌いじゃないよ!
初めての投稿なので、内容の薄さなど色々あると思います。
何かありましたらご指摘下さると助かります。
CROLL THE WORLD
通称【CTW】と呼ばれてるこのゲームは、VRが世間に普及し始めて約一年の時を得てリリースされたVRMMOで、先日に一周年を迎えたみたい。
数多くのゲーマーから発売を望まれ、満を持して発売されたVR初のMMORPGであるこのゲームは、その期待に応えるクオリティとなっているのだそう。
ゲーム自体はレベル制ではなく、技能と呼ばれる物を各々が取得し育てる事によって、自分の好きなようなプレイスタイルでの楽しみ方ができるもできるみたい。
それに職業というものはなく、代わりにロールというのがあるらしい。なんでもこれは、そのロールに相応しい遊び方をしているとロールとして認められ、若干の補正と派生技能などが解放されるらしい。
大工や村人、果てには遊び人なんてロールで遊べるらしいね。ロールは生き方で、現実と同じく自分を鍛えることで色々遊び方の幅が変わるみたいだね。
そして一番の売りが、AIの性能の良さなんだって。
なんでも、独自の技術を使い作られた彼らの思考は殆どボクらと変わらないみたい。どうやって作られたかは分からないけど、そのAIは感情を持っているみたいで遊んでいるプレイヤーからは絶賛されているとか。NPCの人と仲良くなって結婚した人もいるんだって。
さらにVR導入の際に決まった法案によって、個別に一つだけの専用アカウントが配布され、現実世界に支障をきたさない様に性別や身長の変更が出来ない様になっているんだって。安全面のしっかりしているのがこのゲーム人気に一役買っているみたいだね。
もちろんゲーム性としても、数多くの派生技能やレア技能、レア武器や頻繁に行われるアップデートもユーザーの心を飽きさせずに楽しませているそう。
今回は一周年を記念に大型アップデートが先日入って新マップや新技能などの他に、ユニーク系の装備などが実装されたんだって。
「それで、今更このゲームの説明をした理由は?」
人がパソコンでぽちぽちとゲームをやっていた所に乱入してきて、いきなりCTWの説明を始めた妹にボクはびっくりしたんだけどね。ドアのノックは基本マナーじゃないのかな?
ちなみにボクは普通のゲームは好きでやりこんでるけどVRが苦手なため、VRゲームはやっていないのだ。一応VRのヘッドセットは持っているけど、ゲーム用ではなく病院に行かずにお医者さんに会うために使う安いやつだからできないけどね。
「それはお姉ちゃんにも始めて貰うからだよ!」
「うん、嫌だ」
そう言って上目遣いにこちらを見上げてくる栞の言葉をバッサリと切る。たとえ妹だろうと遠慮はしないで言いたいことは言わないとね。
ボクは流される人間にはならないからね!
「お姉ちゃんがどや顔しても子供が背伸びしてるようにしか見えないよ!」
そう言いながら人の頭をわしゃわしゃしてくる。別に頭を撫でられることは嫌いじゃないけどなんか釈然としない。なんで姉のボクが妹に上から頭を撫でられなければいけないのか!
そんなことより心の中でどや顔してたら顔に出てたみたい。
「分かったからわしゃわしゃするのやめてよ。梳かすのめんどくさいんだから」
「お姉ちゃんがこんなサラサラな髪してるのがいけないんだよー。それに後で梳かしてあげるから」
まあツヤツヤでサラサラなこの髪は触り心地もいいし手入れも楽だから触りたくなるのもわかるけどね。
「けどなんで今更なの?」
「それはさっき説明した一周年が関係してるんだよー」
「大型アップデートのこと?」
わざわざ一周年の大型アップデートで今までVRゲームをやらなかった僕を誘うということはそれ相応の理由があるのだろう。
くるりと座っていた椅子を反転させてボクが真面目に話を聞き始めたから、栞も髪を撫でるのを止めて机に置いてあった櫛で髪を梳かし始めた。もうちょっと触ってても良かったのに…
「そうなの!そのアップデートでいろいろ追加されたんだけど、その中に新規ユーザーを対象とした物があるの!なんでも、キャラクター作るときに決める種族が新規ユーザーの場合ランダムが選択できて、基本種族の上位種や限定のユニーク種族になれるらしいの。だからこれを機会に一緒にやりたいなって思って」
「へえ~。本当のところは?」
髪を梳いていた手が一瞬だけ止まった。そこ考えるところなのかな……
「お姉ちゃんなら何かやらかしてくれそうで楽しそうだから!」
「素直なのはいいことだけど、人を誘うならやる気にさせないと…。まあ、少しくらいならやってもいいけどボク、ヘッドセット持ってないよ?」
かわいい妹が一緒にやりたいといっても、もともとVRゲームを遊んでいた栞はともかく、そこそこなお値段がするゲーム用のヘッドセットは在庫が薄くなかなか手に入りにくいのだ。
「それがなんと手に入るのです!」
と、とっても嬉しそうに手をブンブン振りながら喜んでいる栞。
はしゃぐのはいいけどボクのぬいぐるみたちを振り回すのはやめて欲しいな。可愛いから許すけどね!
……ん
「手に入るってことはまだ手に入ってな
「お邪魔するぞ~」
「お邪魔するわよ~」
人の言葉に割り込んで二人の男女が部屋に入ってきた。
例え昔からの友達だからピンポンしないのは許すよ。けど乙女の部屋にノックもなしに入ってこないで欲しいな。ボクもノックしないけどね。
それにしても
「大樹と瑞貴が二人一緒に来るなんて珍しいね」
「たまたま来る途中で会ったから仕方なく、ね」
「はぁ、人にアイス奢らせといて仕方なくだと!」
部屋に入ってくるなにじゃれ合いを始めたこの二人は、大鳳 大樹と早川 瑞貴と言いそこそこ付き合いの長い数少ない友人だ。友人が少ないだなんて自分で言ってて悲しくなってきた……
「夫婦漫才するのはいいけど、なんで突然来たのかぐらい教えてよ」
「「誰が夫婦じゃ!!」」
いや、息ピッタリなのもそうだしケンカするほどなんとやらを体現しているようなものなんだからねぇ。早くくっ付けばいいのに。ちなみにボクは栞とくっ付きます。はい、冗談です。
「大樹さん、いい加減話を進めてください」
「コホンッ。今日は流華にプレゼントを持ってきたんだ」
栞に促されてそう言いながら手渡された袋を開けてみると、案の定ヘッドセットが入っていた。それも先日の一周年に合わせて作られたCTW使用の限定版のようでスペックが相当よさそうだよ。
この二人もβテストからの古参プレイヤーなので自分用に買ったのを見せびらかしに来たわけじゃないだろう。どれだけこの人たちは僕にこのゲームをやらせたいんだろうか……
「手に入りにくいはずなのにどうやって手に入れたの?」
「一周年記念でゲーム内で応募できたから応募したら当たったんだよ」
「それで運が高くてゲーム好きな流華にあげようと思ったの。ただし……」
「ただし?」
「その髪なでなでさせて~!」
皆さんボクの髪が好きですね。せっかく今、梳かしたばかりなのに!
「一応言っておくが、それ当てたの瑞貴じゃなくて俺だからな」
「そうなんだ、ありがと。大樹も撫でる?」
「いや、遠慮するわ。そこの二人が怖いから」
僕の頭を撫でてる二人が殺気を放っていたみたいだ。
けどボクの頭なんだから、なでなでさせる権利はボクにあると思うんだ。うん、怖いから知らんぷり。
「それで今から始めればいいの?」
ここまでしてもらったら嫌だというのも言いにくいし、ボク自身少しくらいならやっれ見たいからね。やるなら早く話を進めたほうがよさそうだよ。元から拒否権無さそうだからね!
「おう。細かいことで分からない事あったら栞ちゃんに聞いてくれ。それじゃ俺たちは帰るわー」
「え、もう帰っちゃうの?」
「今から設定とか始めたら、私たちが帰って入る頃には流華が設定終わってやり始められると思うからね。善は急げよ!」
言うが早いか来た時と同じように唐突に帰っていった。流石廃人、ゲームに関することだと行動力が桁違いだね。そして何が善なのかよく分からなかったけどね。
栞も、ボクにざっくりと教えた後に自分の部屋に戻っていった。細かいこと教えてよ!
サイトで少し調べた後にヘッドセットをパソコンに繋げて準備は完了。さて、それじゃあ初めてのぶいあーるげーむをやろうかな!




