第5話:異世界にも似たものがありました。
初めて1話分で3000文字クラスが書けました。
明日もちまちま書く予定です。
体があちこち疲れてきたころ、馬車はようやく王都の外縁に到着した。
馬車での移動の間、俺の格好が異質なためか同乗した人たちが物珍しそう話し掛けてきた。
『やぁ兄ちゃん、お前さん“異世界人”かい? オレはザルツ村のマルゴー。お前さん、昨日の夜ウチの屋台に買いに来てただろ?』
「ああ! 宿の向かいの屋台の店主さんは親父さんでしたか!」
そういえば顔がこの顔だったかもと、合点した。色々考えてて、上の空で動いてた感があるからなぁ、昨日は。
「昨日はどうも。旨かったです!」
『それはありがとよ! ところで、初めて見る顔だし今日は例の規則で王都に行くのかい?』
「そうなんですよ。あ、俺はソーマっていいます」
『お。アンナちゃんが付き添いかい?』
親父さんは、何故か俺を見てニヤニヤしている。
……?
…。
………うを。
俺は、大事なことを訊き忘れているのに気が付いた。
今更ながら自分がやらかしたことに気付き、俺は青くなった。
一見して中学生くらいのアンナと、二人で王都まで遠出。
“お巡りさ~ん、この人です!”
いかん。幻聴が聞こえてきた…
「ところで…。アンナさんはもしかしてだけど13歳かそこらじゃ…ないよね?」
若干の目眩を感じながら、転移して初めて会ってから全く気が回らなかった大事なこと、アンナの年齢について今更ながら確認した。
『女の子に歳を訊くなんて、失礼ですよ~』
「分かってる。分かってるんだけど…遠出してきてるし、遅くなったら困るしほら、一応確認しときたいというか何というか…!」
『むぅ~。分かりました! わたし19歳で、これでも大人なんですよ~』
まさかの19…! 何やら恐ろしい数字が聞こえた!
「アンナさんや? 家族にはここに来たこと、言ってあるのかい?」
『言ってあります~』
『…種族のせいでみんな子供扱いしてくるから、嫌になっちゃいます~』
……。
………ファンタジー用語“種族”、キタコレー!
アンナの説明によると、真人族(普通の人間を指すらしい)は俺たちや屋台の親父さんが該当するらしくて、世界の人口で一番多くメジャーな種族だとか。
次に、獣寄り(女性は稀有)から真人寄り(男性は少ない)まで幅広く、何らかの獣の外見的特徴を持つ、獣人族。
エルフやドワーフなど、この世界の創世期に生まれた種族、妖精族。
アンナは妖精族のなかの“シルフ”に属していて、種族柄、真人より小さい身体なのだと言った。
『子供じゃないんだから!』…と、強調するのが微笑ましいです。はい。
そして、古代ドラゴンを始祖に持つと言われる、鱗人族に鳥人族。
…と続き、他にも異なる平行世界から来たといわれる機人類など、ファンタジー世界をガン無視のぶっ飛んだ種族がいるという。
………。
恐るべし、異世界事情…!
………
……
…。
――――――――――――
…
……
………。
…で、アンナの熱弁も鎮まってきたあと。
これから向かう王都について、マルゴーの親父さんに教えてもらった。
その話によれば、王城の門前町アルナエは、王城を中心に放射状に拡がり、東と南には住宅地、西には商業地、北には工業地といった具合に区画を形成しているらしく、王城の中心から延びる主要道は、南西をメインストリートとして、八方位にそれぞれ1本ずつあり、それぞれを結ぶ外環路が同心円状につくられているとのことだった。
(フランスのパリが、確かそういう感じだったよなぁ)
説明の内容が、写真で見たことのあるパリの街の造りにそっくりだったので、アルナエの街並みも容易く想像することができた。
…といったように、馬車の中で同乗者に色々教えてもらっていたが、見ると聞くとでは大違いだということを、改めて実感した。
(なんだこの城は…!?)
目抜通りから見える王城の正面は、RPGやお伽噺に登場するような古典的な“西洋のお城”ではなく、まるで改装後の東京駅(丸の内改札側)のような、レンガを基調としたモダンなデザインの建物であった。
『初めて来ましたけど、すごいお城です~』
「ああ…」
俺は、異世界で見る初めての城の強烈な印象に、言葉がでない。
この建物を設計した人は、この世界に転生か転移かをしてきた日本人(もしくは東京駅の建造に関わった西洋の技師)なのだろうか? 確か、東京駅は明治時代のデザインをもとに復元されたと聞いた。
進化による自然物はともかく人為的に創られたモノとなると、“偶然”で似たものができる確率はかなり低くなる。つまり、城の建築に日本人もしくは旧東京駅を知る誰かが関わっていた確率が高いと思われる。
(…王城のルーツ、知れたら面白いだろうな~)
これが、アルナイル王城に対して俺の抱いた感想だった。
王城の時計塔の指す時刻は、午後1時の少し前。
俺とアンナは門前町を足早に通り抜けて、城門近くまで移動した。
『それじゃ、わたしはあのお店で待ってますから。ソーマさんはあそこの衛兵さんに、異世界から来ちゃったことをお話ししてくださいね~』
アンナは、猫の形に彫られた木の看板に〈甘味処キティ〉と書かれた可愛らしい外装の店と門の前の衛兵を指差し、俺に確認を求めてきた。
「わかった。…でも、何時になるか分からないけど本当にいいのか? あんまり遅いと、家の人も心配するだろ? むしろ俺はそっちのほうが心配だ」
若い娘さんを夜歩きさせたら男が廃るってもんで!
それと、アンナのわくわくオーラが出まくってるのは何となく分かってたし。
遠出って、きっかけがないとなかなかしにくいだけで、したくないってのとはまた別なんだよね。
俺があっちの世界で東京に行くきっかけはイベントだったし、アンナにとってのきっかけは、転移してきた俺の出頭規則への付き添い。
…まぁ、付き添いは義務じゃないから、行きたい気持ちへの理由付けなんだけどね。
俺も付き添いしてもらって助かるしアンナも王都に行けるし、お互い損はないから良いよね?
利用しあった、なんて思うのも良い気分じゃないしさ。
『すみません~。それじゃ、4時頃まで待ってソーマさんが来なかったら、お先に帰りますぅ』
アンナはちょっと迷っていたが、4時というラインで気持ちに折り合いをつけたらしい。
「うん。それじゃ4時までに、ってことでよろしく」
『じゃあソーマさん、行ってらっしゃい~』
俺はアンナの言葉を背に、城門の前に立つ衛兵のもとに赴いた。城壁の高さは3メートルほどで、思っていたよりだいぶ低い。
『何用だ?』
大柄な(といっても俺も180cmを超える長身なのだが)、虎の獣人族の衛兵が、腹に響くバリトンボイスで用件を尋ねてきた。
「こんにちは。今日は異世界転移規則の用件で、参ったのですが…」
俺はIDカードを見せながら、日本からこの世界に来てしまった事情を、衛兵に掻い摘んで話した。
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残金:4537Ы
近所の古本屋で資料(108円)を買おうとしたら、売り切れてました。
普通に買うと、2000円以上するんですよ~
…つまりは明日も資料探しの旅に出る…かもというお話。
読んでいただきありがとうございます~(´Д`)




